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膀胱の「魚の目」

❶排泄障害が長期間継続して起こると、 膀胱出口が十分に開放しないため、排尿の都度、膀胱出口が振動します。その振動は 膀胱出口近くに連結する膀胱粘膜の膀胱三角部をも振動させます。そのため膀胱三角部は常に過敏になり変形します。膀胱三角部は、膀胱の知覚器官ですから、その結果、頻尿、疼痛、残尿感、尿意切迫感、痒み・痺れなどの陰部不快感を作るのです。

❷つまり排尿障害が元になり、慢性前立腺炎症状や間質性膀胱炎症状、過活動膀胱、膀胱疼痛症状などの症状が形成されます。従って、まるで膀胱三角部に痛い「魚の目」ができたようなものです。ですから、この治療は魚の目の痛みを除去すべく、治療や外科手術をしなければ治らないのです。しかし、この突拍子もない考え方は、なかなか理解してもらうのに難しいです。一般の泌尿器科医師に「膀胱の魚の目?」と言っても、「聞いたことがない!気狂いの医師に騙されているだけだ!」と怒られるだけです。
治療薬としては、αブロッカーであるユリーフやハルナール、エブランチルなどです。また、β3刺激剤であるベタニス、抗コリン剤であるベシケア、ウリトス、トビエースなどがあります。
また、前立腺肥大症がなくても、アボルブを服用すると前立腺が柔らかくなり、膀胱三角部への圧迫が解除されるため、膀胱三角部の興奮が治るのです。

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❸ここでご紹介する患者さんは、50代の男性で、以前から慢性前立腺炎で悩まれていた患者さんです。常に陰部が痺れていて、いつも自殺を考えてしまう毎日の患者さんでした。奥さんと二人して来院されますが、毎回、奥さんは困った顔をされていました。そこで、αブロッカーのユリーフとβ3刺激剤(ベタニス)を処方しましたが、症状がなかなか改善しませんでした。強いご希望もあり、仕方がなく、手術することになったのです。ところが、一見無関係なアボルブを併用したところ、症状が軽減し、とりあえず手術は延期しました。

❹超音波エコー検査で、膀胱三角部は顕著に膀胱側に突出しています。これが膀胱の「魚の目」です。手術では、この部分を切除・除去しなければなりません。ただし、外見上、魚の目の深さは分かりませんから、臨床経験、場数に寄るところが多いのです。

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❺この「魚の目」部分は、肥厚し硬いので、間質性膀胱炎の治療で有名な、膀胱水圧拡張術を実施しても、ビクともしません。その代わり、膀胱の他のほとんどの部分が傷むだけです。したがって、膀胱水圧拡張術を実施し後、平均で8ヶ月後症状がすぐ再発するのです。この写真は、間質性膀胱炎と診断された50代のご婦人の超音波エコー検査所見です。膀胱三角部が突出し、尿道に沿って、排尿障害の証拠である石灰化を認めます。この患者さんの訴えは、「頻尿・下腹部痛」です。


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