難治性の前立腺肥大症の治療
前立腺肥大症の治療を長年しても、症状がなかなか改善しない患者さんが多く来院されます。
❶その理由は、超音波エコー検査をすることで判明します。
触診で前立腺の大きさが正常でも、超音波エコー検査調べてみると、予想外にとても大きい場合が多々あります。前立腺が大きいことが治りの悪い一番の原因です。前立腺の大きさの正常は、約20ccです。ところが、前立腺が相当大きくても、排尿障害の治療薬であるαブロッカーであるハルナールやユリーフ、フリバスしか処方しません。なぜなら。前立腺を小さくする抗男性ホルモン剤を処方すると、前立腺ガンの腫瘍マーカーであるPSA値が簡単に低い値になるからと言って処方しないのです。しかし、抗男性ホルモン剤で簡単にPSA値が低下するということは、前立腺の大きさでPSA値が容易に高くなるということでもあります。そのことを理解して抗男性ホルモンのを処方するのであれば、問題はありません。
❷前立腺肥大症の大きさが40cc以上であれば、使用する抗男性ホルモンは、プロスタール、40cc以下であれば、アボルブを使用します。なぜ使い分けるかと言うと、プロスタールは前立腺肥大症を元の大きさの半分に、アボルブは前立腺肥大症を元の大きさの7割の大きさにする能力があるからです。
❸抗男性ホルモン剤を処方しても、症状がなかなか改善しない患者さんもおられます。その場合、超音波エコー検査で、その理由が判明します。膀胱三角部が前立腺肥大症によって押し上げられ、いわゆる「膀胱の魚の目」状態になるからです。この部分が過敏になると、頻尿、残尿感、膀胱疼痛、陰部疼痛、陰部のしつこい痒み症状になります。すると、泌尿器科の主治医は「慢性前立腺炎」と誤診するのが落ちです。その場合、頻尿治療薬であるベタニスやベシケア、ウリトス、トビエースなどが必要になります。
❹これら薬剤でも症状が軽快しなければ、最後の手段として内視鏡手術が登場です。内視鏡手術でこの膀胱の魚の目を切除すれば良いのです。他の病院で前立腺肥大症の手術(TUR-Pやレーザー手術)を実施しても、「膀胱の魚の目」が手付かずの場合、症状は取れないからです。
❺ 治療をまとめると、次のようになります。
前立腺肥大症を小さくするために、抗男性ホルモン剤としてプロスタール、アボルブがあります。
排尿障害の治療薬としてユリーフ、ハルナールがあります。
膀胱三角部の興奮を抑えるために、ベタニス、ベシケア、ウリトス、トビエースを処方します。場合によっては、ユリーフやハルナールの手助けが必要になります。
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コメント
2月15日手術予定でした診察カード33307です。
毎日先生のブログを拝見しています。
つい二ヶ月前のことを思えばこれほどまでにご回復の様子、うれしく思います。
ただ、退院後は透析に通われながらの診察ということで、体力的にはまだ万全ではないことと思います。
手術ができる体調になりましたらブログでお知らせください。
それまではどうぞご自愛ください。
【回答】
もう手術は始めています。
投稿: 診察カード33307 | 2017/04/18 12:58
先生が手術出来るまで回復されたという事で本当に本当に嬉しく思います。
神様は先生の事も私たちの事も見捨てなかったのですね。
この一ヶ月、悲しみに暮れ倒れそうでした。
近々、伺います。
投稿: | 2017/04/18 13:34
今日の13時過ぎにお電話して、5月9日(火)に手術して頂くことになりました診察カード33307です。
久しぶりに電話越しにお聞きした先生の声は、張りも声量も戻り頼もしく感じられました。
来月の手術どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 診察カード33307 | 2017/04/18 17:19