食事の行方

食事をすることで、エネルギーを人は手に入れます。食事を口に入れ、十分に咀嚼します。砕かれた食事は食道を通過でき、胃ー小腸ー大腸を通過する間に、食事に含まれる栄養素が、それぞれ粘膜から吸収されます。吸収された栄養素は、腸間膜静脈から下大静脈ー門脈ー肝臓に注がれます。

肝臓に注入された各種の栄養素は、肝臓でそれぞれ処理・分解・合成され、目的にあった物質に作られ、血液中に流さられるのです。その物質は、ブドウ糖、アミノ酸、タンパク質、コレステロール、中性脂肪、酵素、ミネラルです。

ブドウ糖は、直接のエネルギーなります。エネルギーが余る場合は、肝臓で脂肪に変換され、皮下脂肪や腸間膜の脂肪や肝臓に蓄積されます。それが肥満や脂肪肝になるのです。それでも処理されないブドウ糖は、タンパク質と結合し、糖タンパク質となりあらゆる細胞膜に付着して、糖尿病の原因なります。

筋肉の疲労物質と思われていた乳酸という物質は、実は筋肉内のエネルギーだったのです。ブドウ糖からエネルギー物質であるグリコーゲンが生成されます。グリコーゲンは筋肉の速筋に利用され、乳酸は遅筋のエネルギー物質だったのです。また、グリコーゲンは膣の細胞で産生されて乳酸菌を育てます。その乳酸菌が乳酸を作り、腟内を酸性環境にして、雑菌から膣を守るのです。

アミノ酸は骨髄に供給され、骨髄の細胞の原料なります。その細胞は各組織に供給され、臓器や皮膚や血管の修復に補充されます。

肝臓で合成されたコレステロールは、大きなHDLコレステロールから分子量の小さなLDLコレステロールになります。LDLコレステロールは内分泌組織に供給され、それを材料にしてホルモンが合成されます。ところが、内分泌組織が老化現象で機能が低下すると、LDLコレステロールが、過剰になり血液中のコレステロールが高くなります。いくらコレステロールを増量しても、内分泌は低下していますから、ホルモンは合成されません。肝臓は理由が分からないので、さらに合成を増加します。コレステロールは肝臓で10行程で合成されるので、もったいないので、分解されないで血管壁に蓄積されます。それが動脈硬化の原因です。

コレステロールが高くなる原因は、内分泌の機能低下ですが、一番多い原因が更年期の男女に起きる男性ホルモンや女性ホルモンの低下です。コレステロールを下げるためにメバロチンなどの抗コレステロール剤が利用されますが、これは実に非生理的な治療です。植物由来のホルモン剤と言われる大豆イソフラボンなどの偽ホルモン剤を服用すると、中枢神経や肝臓が男女ホルモンが増加したと勘違いして、コレステロールの産生を低下させます。

ミネラルは細胞の働きを助け、神経の電気伝達に重要な働きをします。従って、ミネラルのバランスはとても重要です。

要らなくなったタンパク質やミネラルは、腎臓で絶えず排泄されます。腎臓がダメになると、タンパク質やミネラルが過剰になり、それが尿毒症です。

アルコールを飲み続けると、肝臓はアルコールの分解に力を入れます。それが長い年月続くと、肝臓はアルコールの分解に特化します。そのため、肝臓の他の部分が必要でなくなり、肝臓の一部が壊死を起こします。それがアルコール性肝炎です。壊死を起こした部分に細胞が次々に充填されます。しかし、無秩序に充填されるので、それが原因で肝硬変になるのです。ですから、栄養状態が悪くなり特有な風貌になります。

菜食主義者は、動物性タンパク質を摂取しないで、大豆など植物性タンパク質だけで代用していますが、同じタンパク質でも、植物性タンパク質で動物性タンパク質を決して代用できません。その分、肝臓に負担をかけます。また、免疫システムにも極端な変化が生じます。つまり、白血球免疫だけ亢進し、免疫抗体が作られません。そのような状態では、免疫抗体が必要なインフルエンザの際に、白血球免疫だけが異常興奮して、肺炎や敗血症を合併し易くなり、死亡率が高くなります。
菜食主義者の人は、当然、エネルギーを感じられません。なぜなら、肝臓にかなりの負担をかけるからです。

また、コレステロールが十分に産生されないので、 脳下垂体が何とかしようと過剰に努力したため、脳下垂体が疲弊(疲労困憊)して、脳下垂体からさまざま生命維持に必要なホルモンが分泌されなくなり、寿命が短くなります。昭和初期の日本人の食生活は、ご存知のように、ほぼ菜食主義者風です。したがって、その結果、平均寿命が男性で46歳、女性で49歳でした。このように動物性タンパク質や動物性コレステロールは精鋭維持になくてはならない栄養素なのです。長生きをしたければ、肉を少なくても1週間に1度は食べましょう。

肝心要（かなめ）、あるいは肝腎要とはよく言ったものです。常に肝臓が重要な働きをしているからです。食事の栄養も重要ですが、肝臓をいたわってください。