第114噺(145噺中) 「誤診の原因」
例えば、残尿感や頻尿の症状がなかなか治らないと、とりあえず「膀胱炎」と診断されて、膀胱炎に特定した検査と治療が行われます。治療後、検査結果がたまたま正常であれば、安易に「気のせい」と診断されます。
症状→病名→検査・治療→「気のせい」一見、論理的な診断手順です。しかし、この診断手順では、誤診を多く作るだけです。何故なら、患者さんの訴える症状の数は、病気よりもはるかに多いからです。共通する症状を持つ病気は実に多いのです。誤診しないためには、とりあえず診断した医師の経験と知っている病気の数によるところに掛かっています。
しかし、この逆の診断手順を考えてみましょう。
病名→様々な症状→病名に合った検査・治療
この診断手順では、様々な症状振り回されないで、医師がいかに多くの病気をキチンと知っているかに掛かっています。つまり、日頃の医師の能力に依存します。
そうなんです、初めの診断手順では、様々な症状を軽視して、医師が理解できる症状のみを選択し、その結果とても狭い範囲の病気にのみ集中するのです。つまり、誤診し易くなるのです。医師は、前者の診断手順と、後者の診断手順の両方向から考察して矛盾なければ、正しい診断と考えられます。
医師は、理解できない症状を認めた患者さんに遭遇した場合、勉強できるチャンスと考え、全力で思考しましょう!
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