情けは人の為ならず
医師であり、目の前に起こる事象を分析する理系の頭を持つ私は、父親の金の失敗をたくさん見てきたお陰で、おカネのありがたさを高校生の頃から自覚していました。
なぜかと言えば、その頃、父親が株の相場に失敗して、多額の負債を背負い、裁判を抱え、家族に迷惑を掛けたからです。
ですから、おカネのやり取りや買物のやり取りをみて、目の前で起こるギブ・アンド・テイクの考え方に終始しても、おかしくはありません。
結婚し、子供ができ、見よう見まねで子育てをしている時の話しです。
子供をしつける際に、お菓子やオモチャを子供に与える時、子供に対して、「何と言うの?」と質問し、「ありがとうでしょう?」と言っていました。
それを見ていた妻から、「自分の子供に対して、ギブ・アンド・テイクを強要するのは、おかしい!我が子に対して、ギブ・アンド・テイクを強要する躾は、納得がいかない!」と責められました。自分の子供には、見返りのない愛情をギブ・ギブ・ギブすべきだと。
そこで、ハッと気が付きました。自分の育った環境が、常に正しいとは限らないのだと。そこで今までの自分を改め、愛情の見返りを求めず、子供に与え続けました。(そのつもりでした)
その結果を今回の入院で初めて知りました。
妻の私に対する献身的な奉仕、子供たちの私への心配や愛情を強く感じたのです。つまり、私が注いだ愛情が、30年経過した今頃、返って来たのです。
「情けは人の為ならず」「人を恨まば穴二つ」という「ことわざ」があるように、良い事も悪い事も、巡り巡って自分に返って来るという仏教的な概念(因果応報)です。
人間が認識出来る時間よりもはるかに長い時間がかかるのです。
この歳で少し悟りを得たのかも知れません。
| 固定リンク
コメント
高橋先生、様々な事を教えて下さりありがとうございます。
本当に本当にありがとうございます。
心に響きます。🍀
投稿: | 2017/03/24 11:02