第111噺(145噺中)「神は細部に宿る」
平滑筋について、今までにもかなり深く解説しました。
下部尿路症の主な原因は、チッポケな平滑筋の集合体である膀胱や前立腺の興奮が原因です。平滑筋の一個の細胞は、それ自体大したことはありませんが、大量に集まり集合体になると、大脳では制御できないほどの強い意志を持つのです。平滑筋の細胞は一個一個が全て繋がっている(ギャップ結合・電気結合と呼ばれています)のです。一つの細胞を刺激すると、その情報か全ての細胞に即座に伝わり、情報共有するのです。ひとつの細胞の意志が、全ての細胞の意志になるのです。それは、まるで増幅装置のようです。
この増幅装置が、少しでも異常があれば、強く感じるのですが、病的な場合、執拗な頑固な症状に変貌するのです。
ある有名な建築家が、建物を設計する際には、まずは一つの窓の設計から全体のバランスを考えるそうだと言うのです。そして、「細部に神は宿る」あるいは「神は細部に宿る」と言ったそうです。
下部尿路症も同じで、膀胱や前立腺の症状を牛耳っているのは、小さな小さな平滑筋なのです。
健全な平滑筋は、まるでコンデンサーのような働きをします。情報を入力して、一定期間情報を溜め、時期をみて情報を放出するという機能です。
排尿障害で負荷を受けた平滑筋は、細胞内の核が完全に消失し、まったく制御不可能となります。すると、コンデンサーの働きが崩壊し、まるで増幅素子であるトランジスタのような振る舞いをするのです。わずかな情報を大げさに表現してしまいます。これが、下部尿路症の症状の本質です。
治療としては、この興奮した平滑筋を鎮めてあげれば良い事になります。そのために、αブロッカーや抗コリン剤やβ3剤を利用するのです、つまり、トランジスタをコンデンサーに変身させるのです。
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コメント
ちょうど二年前の今日、10月14日に高橋先生に初めて内視鏡手術をしてもらいました。
この二年間、私は高橋先生から知識と技術と
、そして何より智恵を提供してもらい何とか生きてこれました。
高橋先生は私が診察室で泣こうが笑おうが怒ろうが、いつも淡々と切々と私を諭して下さいました。
「僕はあなたの人生相談じゃないんだよ。」と、言いながらも決して私を見切る事も見捨てる事もせず私の話を本当によく聞いて下さいました。
私もまた、しつこいほどによく通いよく質問をさせてもらったと自分でも呆れています。
高橋先生には感謝の気持ちしかありません。
この感謝の気持ちを表現出来る言葉を探しています。が、見つかりません。
高橋先生と話していると、亡くなった父のような、故郷の大自然のような、そんな錯覚を起こします。
何度も手術してもらったのだから、きっと治る日がくると祈り信じています。
それまで高橋先生、どうぞお付き合い宜しくお願いします。
良い週末をお過ごし下さい。🍀
投稿: | 2016/10/14 18:05
「他人の気持ちがわからない強者になってどうするの?」
高橋先生のこのお言葉を私は生涯忘れないようにとノートに書き留めました。
私はこの病にならず順調に人生が進んで行っていたなら間違いなく今以上に傲慢で強引で他人の気持ちなんて微塵も考えない本当に嫌な奴になっていたと思います。
出鼻をくじかれ何度も何度も打ちのめされ嫌というほど挫折を味わい何を悟らなければならないか、ようやくようやく気がつき始めたところです。
劣等感があっても赦す事が出来る、そんな高橋先生を目標にしたいです。
投稿: | 2016/10/18 19:48
いつだったか何処かの何方かの投稿で
「僕にとっては高橋先生の考え、治療がど真ん中ストライクでした。」と、書かれてあり
いつの日か私にもそう思える日が来て欲しい、
と切に思ってました。
完治とは言えなくとも、この3年間で一番、楽に生活出来ていて
「あぁ、やっぱり高橋先生を信じ高橋先生の考え、治療についてきて良かった。」
と、しみじみ思っています。
泣いて笑って怒ってまた泣いて……ハチャメチャで、みっともない私でしたが高橋先生は見捨てる事なく、面倒みて下さいました。
「感謝」以外の言葉はありません。
高橋先生に返す事は出来なくても、世の中巡りめぐって何処かの誰かにいつか恩を返したいと思っています。
高橋先生も、どうぞどうぞ実りの秋をお楽しみ下さい。🍀
お元気でお過ごし下さいますように。🍀
投稿: | 2016/10/24 22:20