« ふるさと納税 | トップページ | パラレルワールド »

第89噺(145噺中) 「ジェネリック 後発品」

Generic
テレビコマーシャルなどでジェネリック後発品の宣伝が多く流されています。
「効果は同じで、値段が安い、ジェネリック医薬品等々」よく見聞きするフレーズです。
国の政策も、医薬品のジェネリックパーセントを上げようと必死です。私たち医師に対しても、処方箋は商品名ではなく、一般名に記するように指導しています。

例えば、ハルナールという商品名ではなく、タムスロシンという一般名(薬剤名)にしろと言うのです。社会保険からも患者さんに対して、ハルナールに比較してタムスロシンだあれば、こんなにも安価だ!という通知が届きます。本当に効果が同じであるのならば、全く問題はありません。しかし、実際にジェネリックを使用してみると、明らかに効果が先発品に比較して劣るのです。ちなみにジェネリックの対語は先発品オリジナル品、ブランドネーム品と言います。

これらの現象は、このように考えれば理解できます。例えば、設計図が同じでドイツで製造したベンツと、同じ設計図で中国や北朝鮮で製造したベンツが全く同じものだと言われたら・・・納得できますか?
ジェネリックは少しでもコストを抑えるために、日本では製造されていないことがあります。どの国かは言及できませんが、日本よりも品質の劣る新興国で製造され、それを日本に輸入し日本で加工している場合があります。

日本で製造したジェネリックであっても、先発品の細かな工夫や知恵が商品に反映されているとは限らないのです。
最近、私が経験したことをお話ししましょう。
私は大学病院で慢性腎不全の治療を受けています。このところ、血圧のコントロールが上手くいきませんでした。就寝前の血圧が180~200にもなる勢いです。血圧の薬は、オルメテックというARBの先発品とアダラートCRのジェネリックを服用していました。薬局の先生とその話をしていたら、アダラートのジェネリックは、処方した40%の患者さんが、元の先発品に戻すという情報を仕入れてきてくれました。試しにアダラートの先発品を服用したところ、驚く事に翌日から血圧は30も下がりビックリです。この事を大学病院の主治医に話したところ、やはり驚かれました。しかし、大学病院は国の政策に従順で、ジェネリック薬品しか院内処方できません。そこでアダラートだけは私のクリニックで購入することにしました。

ジェネリックのタムスロシンもハルナールに比較して効果が違います。ハルナールは化学合成すると2種類の光学異性体ができます。構造式は同じで、ちょうど左手と右手の関係です。ハルナールの場合、左手しか効果がありません。ハルナールは、この左手だけを抽出して薬にしています。特許が切れてジェネリックが登場する時点で、構造式は公表されていますが、化学合成の方法や抽出法は公表はされていません。ジェネリックの製薬会社は、独自の工夫で藥を化学合成しますが、抽出法まで開発出来ているとは限りません。国は構造式さえ同じであれば、光学異性体に関係なく同じ薬剤として認められるのです。臨床治験を実施すれば効能に差がある事は分かるのですが、ジェネリック薬品は臨床治験が免除されているので、このような現象が起きるのです。
ジェネリックが効く場合もあります。例えば、ハルナールの半分の効果で改善する患者さんの場合は、ジェネリックが効くのです。あえて100%の効力がなくても良い患者さんと言えます。ある意味しあわせです。

ロキソニンという痛み止めも特許が切れ、ジェネリック薬品が雨後のタケノコのように沢山市場に出回りました。しかし痛み止めとしての効果は先発品のロキソニンにの方が秀逸で、消費者である患者さんは、先発品に戻して欲しいと要望がたくさんあったのも有名なエピソードです。

医療費を下げ、患者さんの治療効果を維持するためには、先発品の価格もジェネリック薬品と同じ価格にするべきでしょう。そうしないのは、ジェネリック医薬品業界に天下りが影響しているのでは?と勘ぐりたくもなります。

|

« ふるさと納税 | トップページ | パラレルワールド »

コメント

先生、お疲れ様です。血圧のコントロールが不安定とのことで、心配になります。早くよくなりますように。ちなみに私もふるさと納税しております。お肉ですけど。タラバも美味しそう

投稿: 羽○○ | 2016/03/08 19:39

高橋先生

 血圧が200近くにもなるとの事、心配しております。どうぞお大事になさって下さい。

 私の母も二次性高血圧治療の手術を受けるまで色々な降圧薬を使用していましたが、アダラートのジェネリックで効果が弱くアレルギーは強く出る経験をしました。また、高血圧発作時の頓服としてデパスも使用していたのですが、入院時院内処方のジェネリックでは全く効果ゼロで、医師に懇願して先発品を出してもらった所200以上の血圧がすぐ40以上低下しました。殆どの医師も看護師も同じ成分・同じ効果と信じていたようで、結果を観て驚いていました。医師で一人だけ、効きの悪いジェネリックが多くて困る、安くても効かなきゃ患者さんが困るのに、と話してくれた方がいました。
 膀胱炎になった時も抗生剤のジェネリックを1週間飲んで菌が消えたように見えても1~2日で再発し、先発品にしてもらうと完治するという経験も2回あります。

 北海道で開業医をしている友人がいるのですが、7年ほど前に製薬会社の担当から「ジェネリックは効果半分、副作用2倍もあり得ると心配している。先発品と同じ成分と国が宣伝しているが、同じ効能を目指しているがせいぜい正しいのでは。添加物が違う物質のこともあるし臨床治験が手薄なので副作用が心配」と聴かされたとの事でした。
 高橋先生が何度も書かれているハルナールの例を拝見しても、やはり「同じ成分」というのは私も素人ながら誇大表現なのではと思ってしまいます。
 
 ただでさえ辛い体で病院に行ってもせっかくの薬が効かず、また受診し直して変更では、時間も手間もお金も無駄になります。品質を吟味せず闇雲にジェネリック普及に走る国の姿勢はとても不安に思っています。

 

投稿: masa.y | 2016/03/10 15:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ふるさと納税 | トップページ | パラレルワールド »