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理念

Jikeimotto
どの企業にもどの大学にも、企業理念や大学設立理念というものがあるように、私の母校である慈恵医大にも次のような理念があります。

「病気を診ずして、病人を診よ」

この言葉は、慈恵医大の創立者である高木兼寛先生の理念です。
医師は学問として病気を診るのではなく、病気で苦しんでいる人を診なければなりません。ところが、最近のデータ至上主義で、検査データや画像データに比重を置きすぎて、患者さんを実際に診ていない医師が多くいます。例えば、呼吸器の病気なのに聴診器を当てないで即CTとか、前立腺癌の疑いがあるのに触診もしないで即MRI検査等々、例を挙げたらきりがありません。

こういう風潮は、おそらく難関の受験を勝ち抜いてきた頭の良い人間ばかりが医師になるからです。なぜなら、頭が良いと効率的な思考をし、最小限の努力で最大の効果を得ようと、無駄な行為を排除し余分なことを考えなくなるからです。余分なことを考えないということは、想像力の多様性の欠如に通じます。目の前のあらゆる患者さんの苦しんでいる病気を一人の医師がすべて既知として知ることは不可能です。データだけではなく、想像力もフルに生かして診察しなければ本当の医師とはいえません。慈恵医大も私が受験した頃の10倍程度の倍率から、今では50倍ほどの超難関の医科大学になってしまいました。これからの卒業生が「病気を診ずして病人を診よ」の精神を持ち続けることが出来るのか心配です。

Takagikenkan
慈恵医大のホームページには次のような記載があります。
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 東京慈恵会医科大学は、高木兼寛により明治14年(1881)5月1日に創立された成医会講習所をその起原としています。
 当時は、ドイツ医学を範とした研究至上主義が主流でしたが、高木兼寛はイギリス医学である「病者を病に悩む人間とみる医風」へと転換すべきだと主張し、明治15年、有志共立東京病院なる慈善病院を発足させました。
 また、「医師と看護婦は車の両輪の如し」との信念に基づき、わが国最初の看護婦教育所を明治18年に設立し、建学の精神に則った全人的医療を開始しました。
 この思想は100有余年の歴史の中で色あせることなく基本的精神として受け継がれ、現在もなお教職員の中に浸透しています。
 「病気を診ずして病人を診よ」という理念は、これらの歴史的背景を簡潔かつ明瞭に表現されたものであり、教職員、同窓はもとよりさまざまな広報を通じて、広く社会にも知られています。
 私達は、この理念のもとに高い倫理観を持ち、つねに患者さんの立場を尊重しながら「病者を病に悩む人間とみる医風」を検証し続けてまいります。
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コメント

先生は、お忙しい中、様々な事をお考えなのですね。
診療だけでなく、それに裏打ちされる哲学まで幅広く医療を思い、考えていらっしゃるんですね。  

すべて、先生の優しさ、患者、人間への愛から来るのでしょうね。まさにお医者様の鏡ですね。偉そうにすみません。先生を尊敬しています!

投稿: カープ坊や | 2016/03/16 06:13

私も先生をとても尊敬しています。
先生の前だと緊張していない自分がいて驚きます。
そして気が付くと涙がこぼれています。
先生は私が泣こうが叫ぼうが怒ろうが騒ごうが
いつも冷静沈着で穏やかで淡々としていらっしゃる。絶対に見捨てないだろうな....と、いう安心感があります。

「人は人を支え人に支えてもらい人を生きる。」
先生の考えていらっしゃる事を考える度、
この言葉が浮かんできます。


投稿: | 2016/03/16 21:43

「先生と二人三脚でこの病気と闘っている気がします。」と、言った私に
「そうだよ。」と、笑っていた先生。

患者側からすれば相方は高橋先生だけれど高橋先生は日々、違う相手とその度に紐を結び紐をとき、また紐を結び走り出さなきゃいけないのだから相当の気力、体力、精神力が必要なわけです。

職場や地域や学校や.....様々な場所で様々な人を見渡すと他人の事を考え、まして他人の為に動いてあげれる人というのが年々減っているように思います。

だったら自分がそういう人になりましょう.....
高橋先生のお言葉、考え、行動などから
そういうメッセージを強く感じます。

高橋先生の事、とても尊敬申し上げています。

投稿: | 2016/03/19 08:26

高橋先生、お身体の具合いはいかがですか❓

間もなく桜咲きますね。
去年ニコに座りながら桜を眺め
「来年の桜の季節は高橋先生のお世話にならなくても良いように...。」と、思ったのですが
再手術をお願いした私です。

人生はままならないものですね。
人生はままならない事の連続です。

その度に何かを悟り自分なりに吸収し生きていくしかないのかもしれません。

私は高橋先生にお任せし、ついていくだけです。
そして健康を取り戻したら出会える人々に少しでも恩返し出来る人間になりたいと願っています。

投稿: | 2016/03/21 08:59

高橋先生とも長いお付き合いになりました。

「イヤ、イヤ、もっともっと何年も何年も通っている患者さんいっぱいいるよ。」と、言われそうですが経過した時間ではなく、この二年弱、高橋先生とは医師と患者の枠を越え様々なお話を聞かせてもらいました。

高橋先生はいつも口ぐせのようにおっしゃる
「僕なんてたいしたことないんだよ。」
「僕なんて普通の人間。全然たいしたことないんだよ。」
「世の中、僕より頭の良い人間なんてウジャウジャいるんだよ。」

私はこの言葉を聞く度、いつも思う。
世の中の困った人々に本当に必要とされていらっしゃる方なんだなぁと。

先生、心配じゃないと言ったらウソになる。
けれど私は今まで通り先生を信用しついていくだけです。


投稿: | 2016/03/27 13:40

昨日の激闘?で気力、体力を使ってしまい今朝の診察では言葉が出てこず、ちゃんとお礼も述べないまま帰宅してしまい、ハタと今、先生に何と申し訳のない事をしてしまったかと慌てています。

先生、昨日の手術、本当にありがとうございます。
先生は私の何倍も何倍も大変だったと思います。
私を見捨てないで下さって本当にありがとうございます。

当たり前の事ですが先生と私の世界観は天と地ほど違います。昨日は先生の世界観が(私が勝手にそう思っているだけですが)今まで以上に垣間見れ使命を持っていらっしゃる方の宿命を肌で感じ深く感動致しました。

プロフェッショナルとは……真摯である事、こだわらない事、とらわれない事、逃げない事……
でしょうか?

先生のお姿から、そう感じました。
先生、私は昨日という日を生涯忘れずに生きていきます。

今度こそ良いご報告が出来ますように。

投稿: | 2016/04/06 14:11

高橋先生、おはようございます。

どこに書き込めば良いのかわからなかったのでこちらにさせていただきます。

一昨々日の手術、本当にありがとうございます。
昨日はこの三年間の中で一番調子の良い一日でした。文章だと限界があるので次の受診の際ご報告したいと思います。
来週か再来週には伺いたいと思っています。
その際、書類の方も宜しくお願いします。

時間の経過とともに手術中の事が鮮やかによみがえります。
高橋先生の技術と熱い思いと執念とで無事終わりとなった事に改めて感謝申し上げます。

投稿: | 2016/04/08 08:43

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