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第78噺(145噺中) 「血液サラサラとドロドロ」

採血をしていて、『この患者さん、血液がサラサラだなぁ?』と思う時は、必ず貧血の患者さんです。逆に『ドロドロだなぁ?』と思う時は、濃い血液。いわゆる多血症の患者さんの時です。
採血した血液を遠心分離器にかけると、2層に分離します。上澄みの透明感のある部分が血漿成分で、下に沈殿した部分が血球成分です。試験管の長さで血球成分が35%~45%が正常と言えます。35%を切るような場合、血液は薄くサラサラとなります。

血液は体内環境を維持する重要な存在です。ですから外部環境の如何にかかわらず常に一定の濃度でなくてはなりません。水分を多く摂取してものどがカラカラの状態であっても、血液濃度は常に一定なのです。
ところが、巷の常識は異なります。水分を1日2㍑~3㍑摂らないと血液がドロドロになってしまうというのです。この常識は完全に誤った理論です。これを唱える医師がいるとしたら、過去に学んでいたであろう生理学や生物学などの基礎医学をおろそかにしたに他ありません。素人的発想です。

この夏も熱中症で何万人もの人が倒れました。彼らは一生懸命に水やミネラルウォーター・スポーツドリンクを飲んでいました。なのに何故熱中症で倒れたのでしょう。理由は簡単です。脱水症の予防しかしていなかったからです。水分を大量に摂取しても汗が出るだけです。日本は高温多湿の環境ですから、汗をかいても不感蒸泄で体温は下がりません。熱い汗が出るだけです。当然、体に熱がこもり熱中症になるのです。サウナ風呂の中でいくら水を飲んで汗をかいても体温が下がらないのと同じ理屈です。水分を摂らなければいけないのは脱水症の治療や予防であって、熱中症の治療や予防にはならないのです。体を冷やすことが熱中症の予防です。

血液がもしもサラサラになると、流体力学のベルヌーイの原理で血流速度が上がります。血管に狭いところがなければ良いのですが、動脈硬化などの狭い個所があると、血流速度は部分的に早くなります。すると血管壁周辺に渦流が発生し、血管壁を傷めます。傷んだ血管壁は動脈硬化となり、一層動脈硬化の範囲が広がるのです。脳梗塞の患者さんの再発率が10年間で50%を超えようとしています。現在の血液サラサラにすることで脳梗塞の再発が防げないエビデンスを物語っています。

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コメント

高橋先生のお陰で、膀胱の諸症状が寛解した患者です。本当に先生、ありがとうございます!

この度、先生にご質問させて頂くのは、筋違いであるのを知りながら、お聞きします…。

私の母親がかつて子宮ガンにかかり、子宮をリンパを含めて全摘しており、それから3年経ちますが、
いまだに、無いはずの子宮あたりに、痛みを感じる様です。この様な痛みを取るには、何科を受診したら良いのでしょうか?
【回答】
おそらく手術後の組織癒着などによる痛みの後遺症でしょう。
患部に痛みセンサーなどが新たにできてしまったことによる痛み感覚でしょう。
本当の痛みではないので、痛み止めが効きにくいのが現状でしょう。
対策として中枢性の痛み止めであるリリカやカロナール、さらには自律神経の安定剤か抗鬱剤で軽減するかも知れません。」


また、肺辺りに痛みがあり、PET診断を受けた所、肺ガンが見つかり、現在、仕事の傍ら、放射線治療を受けています。
放射線治療もなかなか辛いらしく、憂鬱そうです。
【回答】
肺癌であれば、一般的に手術だと思いますが、それができずに放射線治療を選択されたというこちでしょう。
肺癌の悪性度が高いのか?と思われます。
もしも悪性度が高いのであれば、確かに放射線治療も無意味でしょう。」


母は北海道在住、60才で、157センチ40キロと痩せ形で、
ガンが治る前に放射線によって肺が弱り、冬場には肺炎かなにかで死んでしまうんじゃないかと心配しています。
この放射線治療は妥当でしょうか?
【回答】
主治医とよく相談されたら良いでしょう。」

私は、樹木希林さんの様に、痛みだけを緩和ケアで取ってもらい、ガンを無理にやっつける必要ないんじゃないかとも思ったりします…。治療がキツそうなので‥。  

先生の範囲外の質問で本当に申し訳ございません。

投稿: 高橋先生にお世話になっている者です。 | 2015/09/11 10:06

上記の質問をした者です。
高橋先生に関係のない質問をしてしまいすみませんでした。
お答え頂き、本当にありがとうございます。とても参考になりました。
母に伝え、また、主治医の先生と相談します。
ありがとうございました!

投稿: | 2015/09/11 19:47

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