第68噺(145噺中) 「カルテ」
ドイツ語でカルテkarte、英語でチャートchartと言います。
厳密にいうと若干意味は違います。ドイツ語のカルテは、患者さんの住所・氏名・病歴・診察所見・検査データを記録したカードを意味します。英語のチャートは、患者さんの臨床記録、病歴を意味します。
どちらにしろ、患者さんの訴えや所見を記録して、そこから病気の本質を見出すためのアイテムと言えます。
ところが、「おしっこが近い」と訴える患者さんに、「1日何回ですか?」と質問しても、「数えたことがありません!」、「多いです!」、「分かりません!」の一点張りです。カルテに記載していく上で具体的な数字を記録しないと、今後の治療経過もあいまいになってしまいます。しつこく質問すると、不機嫌そうにやっと答えるのです。
また、「いつ頃から症状がありますか?」という質問に対しては、「ずっと前からです!」と答えるのです。私も意地になって「100年前からですか?」と質問を切り替えします。
カルテは、患者さんの病気をつまびらかにするためにアイテムです。診察の際には、なるべく具体的に回答して欲しいというのが診療するサイドの医師の気持ちです。
【備考】
カルテの語源はギリシア語のkharte^sから来ています。意味は紙です。
このkharte^sが古代ローマでcarteになり、フランス語でcarteカルト、ポルトガル語でcartaカルタ、ドイツ語でkarteカルテになったといいます。
ちなみにお正月の歌留多カルタはポルトガル語から、フランス料理のアラカルトは紙carteに書かれたメニューという意味になります。
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コメント
先生、「100年前からですか?」と言われたら、私ならブフッと吹き出してしまいます!
十人十色の患者さんに対し、先生は1人…。
先生の分身がいるといいのでしょうが、
頑張って下さい!先生の味方より
投稿: カープ坊や | 2015/07/24 14:03