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第65噺(145噺中) 「気・血・水」

前回の「五行陰陽」に関連してお話を続けましょう。
五臓六腑すなわち肝臓、腎臓、肺臓、脾臓(膵臓)、心臓、胆嚢、膀胱、大腸、胃、小腸、三焦の間には相性関係と相克関係が存在することは解説しました。ではこれらの関係はどのようにして情報伝達・意思の疎通を図っているのでしょう。

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そこに介在するのが、「気血水」です。「気」は気というエネルギーを意味します。別の言い方をすれば、具体的に見ることも触れることもできない、つまり得体のしれない存在が「気」というエネルギーです。
「血」は文字通り血液のことです。「水」も血液以外の液体・体液を意味します。

これら「気血水」が五臓六腑の間を駆け巡り、情報伝達しているのです。そしてこの気血水の量が減ったり多かったり流れが悪くなることで病気になると漢方では考えます。病気を治すために、気血水の治療だけに目が奪われてしまします。しかし、これはおかしなことです。なぜなら、気血水はあくまでも情報伝達の手段であって、情報伝達が上手くいかないからだけを病気の原因にするのは無理があります。

第12噺「病気の気」で解説したように、気を「先天の気」と「後天の気」に分けます。先天の気はもともと持って生まれた気のことで、「元気(原気)」といいます。後天の気は呼吸や食事によって得られた気のことで宗気(大気)、営気、衛気に分けられます。宗気は心肺で血管内を流れる営気と血管外を流れる衛気に分かれます。営気は主に内臓を衛きは主に体表を流れる気です。

このように解説しても「気」というものは得体のしれないものです。得体のしれないものは理解できないので治療応用発展の妨げになります。もう少し「気」というものに正面から考えてみましょう。
本来「気」とはご飯を炊くときに微かに見ることができる湯気です。ですから旧漢字では「〆」ではなく「米」を使った「氣」という字で表現されます。つまり肉眼的に見ることができなくて触っても実体のないことを「気」という言葉で表現していることになります。科学は発達し、それまで見えなかったことが手に取るように具体的に理解できるようになりました。気血水の考え方から4千年も経過しているのですから当然でしょう。

第58噺「男性の更年期障害」で解説したように、男性ホルモンには男としての活力・男らしさ・気力を作ります。また女性ホルモンには女性としての優雅さ・優しさ・女らしさを作ります。それぞれ男の「気」、女性の「気」そのものと言えます。つまりホルモンは「気」なのです。4千年前では微量なホルモン定量測定は出来ませんでしたから、「気」の範疇に入ります。

血液に溶けているカルシウムイオンが少ないとイライラします。最近の若者の食事の中にカルシウムが少ないことで「切れやすい」若者が増えています。要するにカルシウムイオンは心の安定化に欠かせない電解質です。つまり血液に溶けている電解質も「気」の範疇に入ります。

中枢神経から末梢神経に至る電気の流れもつかみ所のない存在ですから、神経伝達も「気」の範疇に入ります。神経伝達を生理学的に観ると、神経細胞膜内外のナトリウムイオンとカリウムイオンの出入りの連鎖反応でしかありません。ここにもナトリウムとカリウムという電解質が登場します。また、神経のつなぎ目では、アドレナリン・ノルアドレナリン・アセチルコリンなどのホルモン物質も介在します。

西洋医学的に考察すれば、「気」の流れを自由自在に操れる人は、体内のホルモンや電解質や電気を自由に操作できる人だとも言えます。もちろん、西洋医学的な観察では理解できないような「気」の存在も否定はしません。

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