第59噺(145噺中) 「死因」
現在、日本人の死因の一番多いのが、悪性新生物(癌・肉腫など)です。私たち人間の死亡率は100%です。長生きしてせいぜい100歳くらいです。
前立腺癌の疑いの患者さんが多く来られます。前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA値が高いからと言って来院されるのです。超音波エコー検査を行い、前立腺を触診しても前立腺癌の証拠がない場合は、ほとんどが前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症が原因の単なる排尿障害によるPSA値の異常です。「安心してください」とお話ししても、数か月に1回の経過観察時期でも、前立腺癌が心配で仕方がないようです。
そのような患者さんに、「では将来、何が原因で死にたいのですか?」と質問します。すると決まって、「ポックリと死にたいです」と答えが返ってきます。ポックリと死ねる病気?あるいは死因とはいったい何でしょう?
「ポックリ」とは、突然死ということになります。それまで病気知らずであった人が、ある日突然「ポックリ」死ぬわけですから、原因不明死になります。当然、警察や行政による司法解剖に回される訳です。そんな「ポックリ」死を希望されるのでしょうか?
他に突然死としては、2番目の死因の心血管疾患、4番目の脳血管疾患があります。心血管の場合は、心筋梗塞・狭心症・動脈瘤破裂などがあげられます。突然死ですが、痛いですよ。
脳血管の場合は、くも膜下出血・脳梗塞・脳卒中などが上げられます。突然の強い頭痛、半身麻痺などの後遺症も考えると恐怖です。
ちなみに、有名人の死因を調べてみましょう。
お釈迦様は、食中毒になり、ひどい下痢と腹痛と嘔吐で衰弱しながら亡くなられました。それが涅槃像です。
キリスト様は、皆さんがご存知のように十字架に磔にされ槍で突き殺されました。さぞ痛かったでしょう。
歌と踊りの天才であったマイケル・ジャクソンは、主治医による睡眠薬や麻酔薬による衰弱死・事故死です。
天使の歌声であったホイットニー・ヒューストンは、麻薬常習のご主人によって薬漬けアル中になり、最後は衰弱死でした。往年の彼女は声がガラガラでした。
名裁きで有名な大岡越前守は、直腸癌による出血と腸閉塞で苦しみながら亡くなられました。
才能豊かな歌舞伎の中村勘三郎さんは、食道癌の術後の後遺症で惜しくも亡くなられました。
個性的な俳優であった萩原流行さんは、警察車両の不注意で転倒させられ、後続車に轢かれ亡くなられました。
非凡な、神様に祝福されていると思われる、天賦の才がある素晴らしい人たちでさえ、このような不本意な不慮な死に方をしているのです。まして平凡な私たちが、どんな死に方をしても仕方がないでしょう。
慢性腎不全で闘病している私が、将来、どんな死因で旅立つのか・・・ワクワクします。
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コメント
先生お世話になります、京都の学会など精力的に活動されお元気で何よりです私も先日頸動脈のエコーしたら甲状腺片側に嚢胞が18mm9mmあると言われ同じ心境ですやはり死にたくはないから生への欲望が湧き色々心配してしまいます先生のように病をまめ日々悟り充実して生きる事ができ
投稿: けんじ | 2015/05/27 16:03
先生お世話になります、京都の学会など精力的に活動されお元気で何よりです私も先日頸動脈のエコーしたら甲状腺片側に嚢胞が18mm9mmあると言われ同じ心境ですやはり死にたくはないから生への欲望が湧き色々心配してしまいます先生のように病を受け入れ克服して日々悟り努力されてるのには本当に頭が下がります
投稿: けんじ | 2015/05/27 16:08