第54噺(145噺中) 「減塩」
今回、慢性腎不全になって、減塩の重要性が心から納得できました。
入院前の体重が73.5kgであったのが、減塩食で、退院後61kgまで減りました。何と12キログラムもの水分が私の体から出ていったのです。
腎不全で塩分が十分に排泄れないために、次第に体に塩分が蓄積します。塩分は水分と結合して水分を離しませんから、塩分の量によって水分は体内に貯留するという具合です。
入院当初の私の体には、胸水が溜まり、軽い心不全になり、腹水が溜まり、腸管が浮腫を起こしアップアップの状態でした。朝、自分の姿を鏡で見た時に薄く白く見えたのです。以前から持っている私の第六感能力の「半年の命」のメッセージでした。慌てて採血をして自分の状態が露見したのでした。友人の腎臓内科の教授に連絡を取り、今回のエピソードになったのです。
腎臓が丈夫な人であれば塩分は問題ありませんが、60歳代の人は、若い人の腎機能の50%くらいには低下しますから、高齢と共に塩分は控えた方が賢明と考えます。私の今の腎機能は、健康な60代の人の8分の1しかありません。
一般的な日本人の食事では、1日の塩分摂取量は12グラム程度です。私は現在、減塩6グラムで頑張っています。ラーメン1杯で7.5グラムも塩分が含まれていますから、今の私は、ラーメン1杯も食べることは厳禁なのです。チョッと辛い・・・。しかし、減塩6グラムの食事を毎日料理してくれる妻の苦労からすれば大したことはありません。
さて、塩分は生命にとって大切なものであることは、誰も異存はないでしょう。しかし、減塩することで体に良いということと矛盾する気がします。その矛盾点に対する答えは、哺乳動物という観点から考えると得られます。
地球上の哺乳動物で塩分を摂取するのは人間だけてす。では、人類はどうして塩分を取るようになったのでしょう。海のそばに生活していた人類が、取った魚と海の味である塩味に興味を持ったとしても不思議ではありません。大陸の人類が、狩りをした獣の肉の保存や味付けに岩塩を利用したのも容易に想像出来ます。つまり、人類は生存のため、食料の安定供給のために、他の哺乳動物を超越した頭脳をフルに使って塩を生活の中に取り入れたのです。
哺乳動物で汗をかくのは人類だけです。塩分を摂取するようになった人類は、尿排泄だけでは、摂取した大量の塩分を他の哺乳動物のように体の外に排出することが出来なくなりました。仕方なく皮膚に汗腺という器官が発達し、たくさんの汗をかき、余分な塩分を体の外に排泄することが出来るようになったのです。
ここで人類にとって「棚から牡丹餅」とも言うべき効果が得られました。地球上のほとんどの大陸は乾燥地帯が多く、汗をかくことが蒸発を促し、気化熱で体表の温度を下げてくれるのです。他の哺乳動物にはないキメ細かな体温調節が可能になったのです。他の哺乳動物に比べて活動範囲が格段に拡がったのです。ただし日本のように湿度の高い地域では、汗をかいても水分蒸発がなく、気化熱で体温が下がることがないので、日本の夏に汗をたくさんかいても、体温を下げることがないために、熱中症で数万人が毎年バタバタと倒れてしまうのです。
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