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第44噺 (145噺中) 「乗り物酔い」

Ejis「酔い止め」の薬を服用しても、乗り物酔いを防げないのが現実です。
実は、私が小学生~中学生のころ、長距離のバスで必ず「乗り物酔い」をしていました。薬局で「酔い止め」の薬を購入して服用しても気持ち悪さや便意・下痢が催してくるのです。
大人になってからは「乗り物酔い」はしなくなりましたが、その頃の気分の悪さや恐怖感は今でもトラウマとして残っています。

 

Namihokusai慢性前立腺炎の患者さんで、たまたま海上自衛隊の自衛艦に勤務している人がいます。
その患者さんが「酔い止め」のお薬をついでにと希望されました。話の中で、「酔い止め」を服用しても、海が荒れていると、なかなか船酔いを抑えることができないということでした。そこで、一般的には絶対に処方されないであろう「秘伝の特効薬」を患者さんに十分に説明して処方しました。

 

Typhoon152週間後、患者さんが来院され、その結果を教えてくれました。
今回、大きな台風15号が日本列島を縦断するように通過したために、海の時化(しけ)は長期間にわたってひどく、当然船の揺れも半端ではなく、ひどい時には船の向きが(+)45度から(-)45度の90度の振れ幅だったそうです。自衛艦乗員の猛者も含めて8割の方は船酔いしたそうです。
ところが、この患者さんだけは、私の処方した「秘伝の特効薬」を服用したお陰で、全く船酔いしなかったので大喜びです。

 

「秘伝の特効薬」に興味をもたれた方も多いでしょう?その「秘伝の特効薬」とは、気管支喘息や尿失禁の治療薬で有名な「スピロペント」です。
なぜ気管支喘息の治療薬が「酔い止め」として効くのでしょう?
ここで「乗り物酔い」をした時の症状を列挙してみましょう。
【1】吐き気がする。
【2】吐く。
【3】お腹がグルグル音を鳴らす。
【4】便意を催す。
【5】下痢をする。
【6】顔面蒼白になる。
【7】冷や汗をかく。
【8】めまいがする。
【9】血圧が下がる。
【10】脈が速くなる。
列挙すれば、だいたいこんなもんでしょう。
これらの症状は医学的にはショック症状かあるいはショック前駆症状を意味します。
つまり、「乗り物酔い」は「ショック状態」なのです。
「ショック状態」は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、交感神経が立ち直れない時に起きる現象です。
体の平衡感覚に負荷がかかり、そのコントロールをするために自律神経(交感神経・副交感神経)も「ドミノ倒し」的に負荷がかかり、自律神経のアンバランスが極限状態になって「乗り物酔い」になるのです。
「スピロペント」は交感神経を興奮させます。その結果、気管支を拡張させ、あるいは尿道筋肉を収縮させます。これが気管支喘息や尿失禁の治療薬としての「スピロペント」の存在価値です。
乗り物に乗る前に、「スピロペント」を服用しておけば、交感神経が常に興奮状態にあり、「ショック状態=乗り物酔い」にならないのです。

 

ただし、「スピロペント」には厚労省の承認の薬効上「乗り物酔い」の適応がありませんから、ご希望の方は地元の懇意にしている開業医に相談して、処方していただいて下さい。

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