第32噺 (145噺中) 「腰痛症」
腰痛症には様々な原因があります。腰筋筋膜症、ギックリ腰、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、転移性骨腫瘍、尿管結石、腎梗塞、腎外傷、膵炎、胃十二指腸潰瘍、膵臓ガン、列挙したらざっとこんなものでしょう。
腰筋筋膜症
一番多い腰筋筋膜症から解説しましょう。
いわゆる一般的な腰痛症で、重いものを前日持ったとか、腰をかがめた作業を長時間行ったなどと、腰に負担を掛けたと明らかに原因が想像できる腰痛症です。休息で筋肉を休めてあげれば回復します。
ギックリ腰
チョッとした動作をしたら急に痛くなる状態です。原因は椎間関節や仙腸関節の亜脱臼が原因とされています。脱臼と言っても完全な脱臼ではなく、ほんの数ミリ程度の関節のズレです。そのわずかのズレが関節周囲に炎症を誘発し痛みの原因になるのです。一般的に2週間程度の日常生活で自然治癒しますが、中には治りの悪い人もいます。その場合、矯正をしてあげると軽快します。ギックリ腰になりやすい人は、日常生活でお相撲さんが行う四股踏みを行うと予防になります。【参考図表:健康体操研究所】
椎間板ヘルニア
腰痛症の中で一番有名な病名です。脊椎の構造で椎体と椎体との間に椎間板という軟骨性のクッションが存在しています。そのクッションには核という硬い種があり、クッションがつぶれてしまわないように頑張っています。ところが、椎間板に長年にわたって繰り返し荷重負担が掛かると、クッションである軟骨の一部に亀裂が入り、その隙間から種である核が外に出ようとするのです。クッションの一部が核の為に外側に膨らみます。膨らむだけであれば良いのですが、膨らんだ先に神経の枝があると、その神経の周囲が炎症を起こし始めます。炎症は神経を刺激し、その支配領域の筋肉痛や神経痛となって椎間板ヘルニア症状となるのです。
予防対策として賛否が分かれるところですが、カイロプラクチックで有名なマッケンジー体操があります。
椎間板からでっぱている部分(ヘルニア)を椎間板の中心に戻そうとする体操です。物理的に有りそうと思われる体操理論ですが、現代医学からは?扱いを受けています。
しかし、腰痛症の患者さんに、この体操を指導すると良い結果が出ているので、私は信じています。
変形性脊椎症
加齢とともに椎間板は水分が少なくなりやせ細ってつぶれてきます。すると椎体と椎体との間が短縮します。椎体と椎体は上下を強靭な靭帯で固定されていますが、椎間板の短縮のために隙間が生じます。人体は不用意な隙間を許しません。その隙間に骨で補強し埋めようとするのです。その補強された骨が骨蕀(こつきょく)と呼ばれるとげ状の構造物になります。想像通りに周囲を圧迫しますから腰痛症の原因になります。
脊柱管狭窄症
椎体の後ろに脊柱管という仮想の管が存在します。それを脊柱管と呼びます。この脊柱管には脊髄神経の本流が走行しています。そのい脊柱管が脊椎の骨異常形成などで次第に狭くなり、脊髄神経を圧迫すると痛みが出現します。保存的治療としては、プロスタグランディンE1製剤の服用で脊髄神経の血流改善を図ったり、外科的手術で脊柱管を開放することで脊髄神経への圧迫を解除する治療が取られます。
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