« 第21噺 (145噺中) 「血管年齢」 | トップページ | 第23噺 (145噺中) 「消毒と治癒力」 »

第22噺 (145噺中) 「四十肩・五十肩」

Kyoukujomある程度の年齢になると、肩が痛くて上がらなくなる病気があります。「四十肩」「五十肩」という名で知られている病気です。専門用語で「肩関節周囲炎」です。
一般的に上腕骨をぶら下げている蕀上筋腱が炎症を起こした病態を意味します。蕀上筋は上腕をイラストのように外転させる時に利用する筋肉です。そして上腕が重力の重さで下の方に引っ張られているのを支えているのも蕀上筋の仕事です。つまり何もしていない時にも蕀上筋は働いているのです。
イラストのように蕀上筋は解剖学的に非常に狭い部分を走行しています。上腕骨に付着する近辺は段々細くなります。その部分は栄養する血管は当然細い血管1本になります。40年も50年も負担を掛けると、細い血管もつぶれ血液がいかない状態になります。すると虚血性の炎症を起こし、「四十肩・五十肩」になるのです。
症状としては、腕をイラストのように上げようとすると痛くなるというものです。炎症を起こしている蕀上筋の部分を抑えると圧痛という痛みを感じます。
治療は、消炎鎮痛剤の服用と湿布です。痛いからと言って肩を動かさなくなると、関節が癒着して肩が動かkなくなります。これを「フローズン・ショルダー(凍結肩)」と呼びます。

Zenkyom適切な治療を行えば、四十肩・五十肩は1ヵ月程で治ります。
しかし、治療しているにもかかわらず何カ月も治らない患者さんがいます。ドクターショッピングを何件もしながら治らないので、当院を受診する患者さんがいます。
そのような患者さんは、不思議なことに四十肩・五十肩のように肩が上がらない症状がないのです。簡単に肩を上げることは出来ますが、チョッとした動作で肩が痛くなるのです。このような場合、ほとんどが前鋸筋の炎症です。痛い肩を押しても痛くないのですが、わきの下の筋肉を押さえると激痛が走るのです。前鋸筋の痛みは、わきの下の痛みとして感じないのですが、どういう訳か肩の痛みとして錯覚するのです。この現象を関連痛といいます。
治療としては、わきの下の筋肉を十分にマッサージしたり、わきの下に湿布をすれば軽快します。この場所が整形外科医の盲点です。
【参考図表:動きの解剖学Ⅰ 科学新聞社】

|

« 第21噺 (145噺中) 「血管年齢」 | トップページ | 第23噺 (145噺中) 「消毒と治癒力」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 第21噺 (145噺中) 「血管年齢」 | トップページ | 第23噺 (145噺中) 「消毒と治癒力」 »