第19噺 (145噺中) 「乾布摩擦」
タオルを利用して全身、特に上半身をゴシゴシ摩擦する健康法です。昔から日本で行われていた健康法です。寒空に上半身裸で気合を入れて摩擦するイメージでしょう。「寒風摩擦」だと誤解されている方も多いと思います。
写真のように、子供たちが健康に風邪を引かない元気な体を作るために励行されている学校・幼稚園も多いのでhないでしょうか。
乾布摩擦の原理は次のようです。
人間の体の皮膚には神経皮膚分節という考え方があります。皮膚の神経支配領域が、イラストのように細かく分かれています。
例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍・急性膵炎などでお腹が痛くなることは容易に理解できますが、背中が痛くなるのは不思議ではありませんか?その理由は、胃・十二指腸・膵臓の神経支配が胸椎の5番から12番にかけてあるので、その臓器の痛み症状をそれに対応した皮膚分節が痛くなるのです。逆に、その痛みのある皮膚分節を刺激してあげると胃の痛みが解消されます。これを皮膚内臓反射(体性内臓反射)といいます。
この反射を利用して上半身の皮膚を刺激することで、刺激された皮膚分節に対応した内臓が呼応して刺激を受けるという理論です。内臓はほとんどが上半身に存在しますから、上半身を刺激すれば内臓全部がくまなく刺激されるという訳です。内臓を鍛える体操や運動は存在しませんから、これが唯一の方法でしょう。
スポーツで心肺が鍛えられるとお思いでしょうが、実際は心肺に負荷を掛けて頑張らせているに過ぎません。その証拠に運動選手が骨折などでベッド上安静になると、安静時の体に心肺機能が対応できなくなり、急性心不全や肺水腫になることがあります。
【参考図書】
解剖学アトラス 文光堂
カラー図解 生理学の基礎 メディカル・サイエンス・インターナショナル
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