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第18噺 (145噺中) 「老廃物」

新陳代謝で産生される(排泄・排出される)老廃物にはどんなものがあるかご存知ですか?
私たちの身体に取り入れた全ての物質が、代謝の結果、老廃物として排泄されます。主なモノを上げると、乳酸、尿素、二酸化炭素、水です。

一つ一つ解説していきましょう。
Lactacid【乳酸】
ご飯やパンなどの炭水化物は、消化吸収されブドウ糖に変化します。ブドウ糖は肝臓や筋肉でグリコーゲンという物質として蓄えられます。そのブドウ糖やグリコーゲンが分解され、ATP(アデノ三リン酸)というエネルギー物質に変換します。その中間産物が乳酸です。このエネルギー産生経路から老廃物として乳酸が生じるので、運動なので筋力を酷使すればするほど乳酸はたくさんたまることになります。
血液中に放出された乳酸は肝臓と心臓で分解・解毒されますが、過度の運動では解毒か処理能力を上回ってしまうので、血液中に尿酸濃度が高かくなります。乳酸は、その名の通り「酸」なので、血液が酸性に傾きます。血液はアルカリ性が正常ですから、酸性に傾くために、身体はだるくなり、身体的パフォーマンスは確実に低下します。ですから、運動をしたら必ず休息やインターバルが必要になるのです。
ここまでは、今まで信じられていた事実ですが、最近、乳酸に対する考え方が180度変わりました。乳酸が疲労物質と考えられていたのは、運動後の血液中の乳酸濃度が高くなるという実験結果が根拠でしたが、運動中、運動後の乳酸濃度が高いから乳酸=疲労物質と考えるのは余りに短絡的です。実は乳酸はブドウ糖に代わるエネルギー物質だったのです。


【尿素】
食事で食べた牛肉や豚肉はタンパク質として消化管に入り、アミノ酸に分解され、再度人間のタンパク質に合成され人間の血肉になります。新しいタンパク質があれば当然古いタンパク質が存在します。使い古されたタンパク質はアミノ酸に分解され、アミノ酸は尿素になって腎臓から尿中に排出されます。人間は常にタンパク質代謝が行われていますから、毎日一定量の尿素が産生され排泄されているのです。腎臓の機能が低下して、この尿素を処理できなくなり(排泄できなくなり)、尿素が血精液症脊柱にたまってしまうのが尿毒症です。

Purine【尿酸】
タンパク質の一種で遺伝子情報を担う核酸・DNAには、プリン体骨格構造を含む物質が存在します。それが、アデニン、グアニンというアミノ酸の一種です。これらプリン体を含むアミノ酸は分解され尿酸に変化し、尿から排泄されます。しかし、尿酸は水溶性ではないので、尿酸が多いと結晶化し、痛風の原因となります。尿酸は更に分解され尿素に変化します。
プリン体を含む食品は旨味成分が多いので、痛風の患者さんは注意が必要になります。

【二酸化炭素・水】
ブドウ糖やグリコーゲンから乳酸ルートとは異なるルートでエネルギー物質ATPが産生されます。このルートの方が乳酸ルートよりもエネルギー効率が良いのです。ブドウ糖が分解されエネルギーを放出するために呼吸した酸素が利用されます。その際に、二酸化炭素CO2と水が放出されます。この二酸化炭素は呼気で排出され、水は代謝水として体内で再利用されます。

【コレステロール】
コレステロールは体にとって必要なものですが、食事などで産生過剰になると排泄されます。どこから排泄されると思いますか?実は胆嚢にたまる胆汁がそうです。胆汁の中のコレステロールの濃度が濃いと結晶化して、胆石、コレステロール結石になります。胆石手術の適応は、胆石が胆管に詰まったり炎症をおこしたりする時です。

【ブドウ糖】
糖尿病で血液中の糖分が過剰だあると、血液の浸透圧が高くなり、身体は血液を十分に利用できなくなります。そのため、血液中のブドウ糖を減らすために、腎臓からブドウ糖を尿と一緒に排泄するのです。これが糖尿病です。そういう意味ではブドウ糖はエネルギー物質でもありますし、老廃物ともいえるのです。孔子曰く、「過ぎたるは尚及ばざるが如し」です。

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