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第二噺 (145噺中) 「風邪」

我々人間が一番罹患する病気が「風邪」です。
風邪はウィルスによって飛沫感染します。ウィルスの症状の強さによって、臨床上、普通の風邪、インフルエンザ、スペイン風邪、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome重症急性呼吸症候群)などに分けることが出来ます。
風邪の症状は、咽頭炎・発熱・鼻水・くしゃみ・関節痛・頭痛・吐き気・咳・中耳炎・急性胃炎・急性腸炎・肺炎など多岐にわたるので「風邪症候群」ともいわれます。
これらの症状は、ウィルスが原因の毒素を作るのではなく、人間の免疫システムが作る症状なのです。咽頭炎は喉に存在する常在菌に反応して白血球が集まり炎症を作ります。風邪ウィルスを攻撃する免疫抗体は微熱で産生能力が高まります。サラサラの鼻水には免疫抗体がたくさん含まれています。免疫抗体は関節部の骨髄で作られるので、風邪をひくと関節痛になるのです。微熱が出ると頭が痛くなり活動が制限されます。結果、安静になるので風邪対策には好都合です。頭痛は胃腸症状、特に吐き気とリンクします。咽頭の炎症が広がると耳管から中耳に炎症が波及します。風邪のウィルスによっては、胃腸の粘膜に感染するタイプもあります。胃腸の粘膜は強く反応して胃腸症状を作ります。風邪が長引くと免疫の興奮を抑えることが出来なくなり肺炎を起こします。

ご覧のように、風邪の症状は風邪ウィルスがきっかけとなって起きる人間の免疫システムの一人相撲・暴走でしかないのです。一般的に抗生剤はウィルスに効かないからと大学病院の医師などは抗生剤を処方しません。しかし、風邪症状が免疫システムの一人相撲・暴走ですから、咽頭や肺や気管支の常在菌を抗生剤・抗菌剤で殺菌してあげるだけで、これらの暴走を抑えることが出来るのです。また、抗生剤・抗菌剤は白血球の興奮も抑えるので、風邪の引き初めには抗生剤・抗菌剤が必要と私は考えます。

風邪ウィルス感染から免疫抗体が大量生産されるまで3日~5日間程のタイムラグがあります。その間に免疫システムの暴走により身体が障害されないように抗生剤・抗菌剤で時間を稼ぐというのが私の風邪治療の原則です。

Kazekoyo
風邪はひいた方が良いと唱える知識人もいます。
野口流整体術を創始した故、野口晴哉氏の言葉です。彼の理論では、風邪は自然の健康法であり、風邪は治すべきものではなく、経過するものであると主張しています。自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいた後は、あたかも蛇が脱皮するように新鮮な体になると説いています。
事実、風邪の病後には身体がすっきりとした経験をした人は多い筈です。全身の細胞がリセットされた感じになるのです。風邪はある意味必要悪と考えることも出来ます。

風邪をひかないことを自慢する人がいます。風邪の症状は免疫システムの発露です。風邪をひいても、この免疫システムが作動しない、つまり免疫的に鈍感だと言っているようなものです。このような人は癌細胞を免疫システムで抑えることが出来ませんから、癌になりやすい人です。

スペイン風邪やSARSは致死性の高い風邪です。感染すると免疫システムが過剰に反応し暴走する結果、劇症の肺炎を起こし死にいたる病気です。治療として、ステロイドの大量療法を行い、免疫システムを抑える治療を行います。風邪の治療で免疫を抑えるというのは非常識な治療と思われるでしょう?

免疫には二面性があり、程ほどの免疫であれば有益であり、過ぎたるは有害なのです。

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