水分と汗と熱中症
この夏もとても熱く、熱中症で救急搬送された人が7月だけでも1万8千人を超えました。
昨年平成25年6月から9月までの間に、熱中症で救急搬送された人は4万人も超えました。熱中症で救急搬送された人たちは、水分を取っていなかったのでしょうか?これだけマスコミで水!水!水!と連呼していますから、水分を摂取していない訳がありません。
状況から考えると、水分摂取だけでは熱中症を防ぐことが出来ないことが容易に想像できるでしょう。
日本の夏は、高温多湿です。つまり温度が高く、湿度も高く、ムシムシしているのです。そんな状況で水分をたくさん摂取して、果たして体温が下がるでしょうか?
想像してみてください。高温多湿のサウナ風呂の中で、たくさん汗を流して体全体が冷えると思いますか?
湿度の高い環境では、いくら汗をたくさん流しても体温は下がらないのです。なぜならば湿度が高いと汗が流れるだけで、蒸発せずに気化しないから体温は下がらないのです。
アフリカの砂漠地帯のような高温でも湿度がない環境であれば、汗が気化して体温を下げてくれるので、水分摂取の効果が有効なのです。日本以外の文明国はほとんどが湿度は少ないので、この考え方が一般的ですが、その考え方をそのまま日本に流用したのは間違いです。
では、熱中症を予防するにはどうすれば良いでしょうか?
熱中症の症状とは、気持ちが悪い、冷や汗が出る、全身がだるい、目まい、吐き気などで自律神経を主体とした症状です。これから推理するに、中枢神経系統がダメージを受けた症状だろうを想像できます。
中枢神経、取り分け脳中枢はコンピューターと同じで、正常に活動するためには、適度な温度の環境が必要になります。企業のコンピューター室は常に適度な温度設定になっています。それが逸脱するとコンピューターは正常に作動しません。人間の脳中枢も同じで、脳が熱を持つと様々な症状を来すのです。
中枢神経の過熱が原因と考えられます。一番の盲点が首回り、特に首の後ろです。首の骨、頸椎には左右に椎骨動脈が走行しています。椎骨動脈は、延髄、小脳、視床下部、後頭葉などの人間の自律神経や視野の中枢に血液を供給しています。もしも、この椎骨動脈の血液が熱せられて、大事な中枢機能が麻痺したら・・・想像できるでしょう?それが熱中症の症状なのです。
広い意味での熱中症は、生理学的な機能をはるかに超えるほどの体温上昇のために、全身の機能不全になることを意味します。特に筋肉が溶融し、融け出した筋肉物質が腎臓を障害し急性腎不全になるのが最悪の状態です。その場合、死に至ります。しかし、マスコミで騒がれている熱中症のほとんどは、ここで解説した椎骨動脈過熱症候群と思われます。
ですから熱中症対策で、全身の冷却だけでは非効率の対策になります。答えは分かりますよね?椎骨動脈の冷却が重要になるのです。つまり、首の後ろを冷却してあげれば熱中症の予防・対策になるのです。
「熱中症」と「脱水症」は別の病態です。水分補給は、「脱水症」の予防・対策であって、「熱中症」の完全な予防・対策にはならないのです。水分補給だけで熱中症対策は万全だと、くれぐれも思わないようにしてください。
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