神様

【写真：キリスト】
階段をヤットひとりで上がれるようになった小さな娘が、二階で一人で遊んでいた。
キャッキャッと声がするので心配になった妻が上がってみると、二階の部屋の真ん中で、まるで目の前に誰かがいるかのように「おままごと」をしている。
今までひとりでは遊んだことのない娘を妻は不思議に思い尋ねた。
「神様と遊んでいるの・・・」と娘は答えた。

妻の実家に久々皆んなが集合した。二階のリビングに上がる途中で、突然娘が階段の壁に向かって笑顔でひたすらお辞儀をしている。初めて見た娘の奇行を不思議に思った私は妻に視線を移すと、ただニコニコ見ている・・・？

ある日、曽祖母の家に娘が遊びに行った。一階が茶室で二階が寝室になっている。
娘は二階に上がり曽祖母と遊んでいた。寝室には仏壇があった。娘の誕生する数カ月前に亡くなった曽祖父の位牌があり、その横に写真（遺影）が飾られていた。
その写真を見た娘は指差して言った、「あっ！神様だ！」と。

曽祖父は、孫である妻が妊娠しているのは知っていた。曾孫が抱けるまで頑張ってと皆に言われると、「キリがない」と淡々と答えていたという。そして、84歳でその生涯を閉じた。耳鼻科の開業医であった。
後から聞くと、曽祖父は楽しみにしていた曾孫と遊んでくれていたと、孫娘である妻はうすうす感じていたのである。
その娘も今では会社員である。もちろん神様は見えないという。