黄斑浮腫

先日、左眼白内障の手術を行い視力が0.2から1.2まで回復しました。
しかし、経過を追っていくうちに、1.0→0.7→0.4と、あれよあれよという間に視力が低下していったのです。
白内障手術で眼底が鮮明に観察できたおかげで、何と糖尿病性網膜症が発見されてしまいました。今後眼底出血が起きないように事前にレーザー凝固手術を受けた1週間後、視力が0.4に下がってしまいました。

12月17日に赤外線による眼底網膜断層撮影を実施しました。
眼底の網膜が詳細に分析できる装置です。

正常であるならば上の写真のように谷になっていなければならない黄斑部が、右の写真のように山になていたのです。
白内障手術で装着された透明なレンズのおかげで、光透過率が上がったために、眼底に負荷がかかり、私の糖尿病による反応の強さもあってサイトカインが大量に放出され、急激な浮腫ができたのだろうということです。
本来、谷であるべき形状の黄斑部焦点部が、山の形状になっているのですから、網膜の画像がボケるのは必定です。
立体画像では、まるで富士山です。

そこで12月18日夜に緊急入院して、左眼球に保険適応外の薬剤アバスチンを0.04ml注射しました。
眼球に注射です・・・。痛いのは少しだけですと、言われましたが・・・。
その甲斐あって12月24日の網膜断層撮影では、山から谷に形状は見事に変化しました。しかし、谷底には未だむくみが存在しているせいか、人の顔が「クチャおじさん」のように歪んで見えるのです。経過を見ていくことになりました。

立体画像で描出すると、山だった黄斑部が谷になりカルデラ状に見えます。正常であれば周囲の山の部分がもっとなだらかになっていなければなりません。
でも左目の視界コントラストはきれいで全体的な視力が上がりました。この時点で0.6です。
年が明けて1月7日の検査ではむくみの部分はさらに小さくなり、視力も0.8に上がりました。

2010年2月の網膜断層撮影の所見です。
黄斑部の谷底の浮腫みもなくなりました。現在視力は1.0です。
写真は、最上部の写真を除いてすべて主治医にお願いして印刷していただきました。

この写真は左目の網膜黄斑部の立体画像です。
検査技師さんがめちゃめちゃに忙しい眼科外来の仕事の合間をぬって、印刷していただきました。彼らは、ご覧のような素晴らしい写真を作成してくれ、ある意味芸術家です。
分かりやすい画像を作成してくれる技師さんには、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。もちろん、いつも適切な診断と治療される主治医にも感謝しています。

前回のカルデラ状の黄斑部と比較するとかなり改善しています。
しかし、比較的正常に近い右目の黄斑部と比較すると、上の写真の左目の違いが容易に理解できます。
火口の周囲の山が、浮腫んでしまった左目の方が険しくて、正常に近い右目の方がなだらかな丘陵地帯のイメージです。

ここまで現代医療に依存しないと、私の視力は確保できないということは、これ以上の泌尿器科医としての診療をするなというお告げかも知れません。無理して体に鞭打つことの限界を感じる今日この頃です。