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BOTOX講習会

シワ取り注射で有名になったボトックス注射は、そのスタートが眼科の斜視の治療からです。
日本ではグラクソ・スミスクライン株式会社が販売しています。
ところがこの注射は簡単に入手できるものではありません。BOTOXはもともと食中毒の原因であるボツリヌス菌が放出する神経毒素です。ですから扱いがうるさく、日本ではボトックス注射として厚生労働省が正式に認めている適応病気は、眼瞼ケイレン・片側顔面ケイレン・痙性斜頚の3つだけです。
美容外科がシワ取りやワキガに使用しているボトックスは、それぞれの医師が輸入代行業者に依頼して個人輸入の形で入手しています。

Botoxlecture930日本ではボトックスを取り扱う医師は決められた講習会に参加して、ボトックス注射の薬理学的理論・注射手技と毒物としての取扱いに熟知していなければ購入ができない制度になっています。
将来的に間質性膀胱炎や慢性前立腺炎にボトックス注射が利用できるかもしれないので、講習会に参加しました。
9月30日(日)東京八重洲のとあるビルで講習会が開催されました。あいにくの雨にもかかわらず大勢の医師が参加していまいした。
Botoxlecture930s午後1時から4時までの講義でした。たかが神経毒素と思っていましたが、作用機序の面白さと今後のボトックス注射の治療薬としてのキャパを予感させました。

09_1神経毒素としてのボトックスは、アセチルコリン阻害剤で、神経・骨格筋接合部に作用します。作用有効期間は、注射後1ヶ月でMAXになり約3ヶ月間効きます。
右のイラストはボトックスの作用機序を示すものです。(グラクソ・スミスクラインのホームページから)
神経内ではアセチルコリン(Ach)がカプセルに封入され末端でカプセルが割れてAchが放出されて筋肉が収縮します。ボトックスはこのAchが封入されたカプセルが割れないようにする作用を持っています。(イラストのSNAP-25というのがAchの封入されたカプセルを割るシステムで、ボトックスはこれを邪魔する)

ボトックスは他にもノルアドレナリン阻害作用も有しており(恐らくノルアドレナリンが封入されカプセルが割れないようにする作用)、随意神経・自律神経(交感神経・副交感神経)にも影響を与える薬剤です。膀胱平滑筋・前立腺平滑筋に直接作用するとすれば、間質性膀胱炎や慢性前立腺炎・前立腺肥大症の治療にも応用できるでしょう。また、鎮痛作用もあり、今後どのような分野に活路が見出せるか楽しみです。
ただ、ボトックス100mg注射1バイアル(1ビン)が約10万円と高価な点がネックです。ボトックスパウダーを溶解したら保存しておくことができないので、一人の患者さんに使用したら、残っていても廃棄しなければなりません。
治療者としては効率が悪いと思うのが実感です。

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