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噂をすれば影

先日、患者のHさんに「Kさんはどうされました?」と質問を受けました。

Kさんは、間質性膀胱炎の診断を受けるまで大学病院を含め4箇所以上の医療機関で治療を受けましたが治らずに、高橋クリニックへ来院した患者さんです。尿が少したまるだけで下半身の強烈な痛みと1回の尿量が100ml、1時間に1回の頻尿、夜間3回の頻尿状態でした。頻尿症状は子宮筋腫が原因と、ある病院の婦人科で子宮摘出手術までされた患者さんです。婦人科の手術後、頻尿の他に痛みが強く出現するようになりました。その患者さんの強い希望で、平成17年11月の内視鏡手術を行ないました。手術後、頻尿が2時間に1回、夜間が2回にまで減少しましたが、症状は不安定でした。次第に痛みが再発し増強したため、2度目の内視鏡手術を今年の1月に行なったのです。

その内視鏡手術の直前のKさんを、同じ病気で悩む質問のHさんにご紹介したのでした。
質問のHさんは、排尿直後の強い残尿感と下半身の痛みで平成18年10月に内視鏡手術を受けています。現在、強い残尿感と痛みはほとんどないのですが、我慢できる程度の尿意を常に感じているのが悩みです。
HさんとKさんを紹介したときには、Kさんから「私から比べれば病気ではない」とまで言われて、Hさんは『上には上がいるもんだ』という印象を持たれました。そして頑張ろうという気持ちになられました。Kさんはとても明るく元気なご婦人です。外見からはこの病気で苦しんでいるようには思えません。

そのKさんが手術後の2月から7月に至るまで顔を見せていませんでした。私も心配していた頃に、Hさんから質問を受けたので、電話をしなければと考えていました。
すると質問を受けた翌日の夕方にKさんが訪れたのです!
Tennis_300x300「噂をすれば影!」と彼女に告げました。
「心配していましたよ。どうしてたの?」と質問すると、とっても具合が良かったとのこと。あの毎日の強い下半身の痛みがほとんどなくなり、好きなテニスをガンガンとこなし、たくさんの試合に参加して上位入賞を果たしていたのでした。
【写真:ニフティ・スポーツより】
2週間に1日か2日の頻度で痛みの出ることはありましたが、ほどなく治まるので様子をみていたとのことでした。
ところが、今月の7月になり痛みが出現、この3日間治まらず、遂に観念して高橋クリニックを訪れたのでした。

さて、こうなると痛みのコントロールが難しくなるのです。過去に内視鏡手術を行なって、過敏な膀胱三角部を治療しても、長年の病気で形成された脊髄内の痛みのソフトウェアーは消滅しないのです。落着いていた時に、膀胱三角部の信号がその脊髄内のソフトウエアーを起動しないように心掛けていないといけません。ソフトウェアーは起動したくて仕方がありません。どんなささいな信号でもソフトの起動に結び付けようとします。一度結び付けられると、それを外すのが難しいのです。

手がない訳ではありません。デパスなどの自律神経調節剤の服用や神経ブロックを小まめに行なうことで、外すことが可能と考えています。
そこで7月13日(金)に仙骨神経ブロックを行ないました。翌日に来院されないので落着いているなと喜んでいたら、その日の夜に再び痛み出し、夜の10時にご主人の車で来院されました。仙骨神経ブロックを行なうと、激しい激痛が10分ほどで治まり、笑顔で帰宅できるようになります。さぁこうなると、Kさんの脊髄内ソフトとの持久戦です。どちらかが音を上げるまでの勝負です。
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高橋先生
7月12日受診させていただきましたHです。
翌日Kさんが受診されたのですね!驚きました。
と言うのも私自身まだいただいていた薬が2週間分ありましたし、月末に受診すればよいかなと思っていたものの、12日朝なぜかクリニックへ足が向いており、先生とお話をしていた時、ものすごくKさんの事が気になって仕方がなかった為、思わず先生にKさんの近況をお尋ねした次第です。
1月にほんの二言三言お話をさせていただいただけですが、同じ病気で治療を受けているもの同士、何か引き合ったものがあったのでしょうか?
Kさんの痛みからの解放が早く訪れることを心からお祈りします。
そして、自分も絶対あきらめることなく、根気よく治療を続けて行こうと改めて心に誓いました。
これからも宜しくお願い致します。
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ブログを豆に読んでいただいて光栄です。
「奇跡の偶然さ」をHさんに知っていただきたく掲載しました。
私の周囲には、このような偶然が人生の中でたびたびあるのです・・・。
Kさんは、昨日に引き続き、今日も22時に来院され、仙骨神経ブロックを受け、先ほどお帰りになりました。やはりご主人が自家用車で送迎です。愛されていますネ。
この仕事は、根気と忍耐とたゆまぬ努力です。このような仕事を天命として私に授けていただき、神様に感謝しています・・・。私の能力を十二分に引き出してくれるのですから・・・。
お大事に。

高橋クリニック 高橋 知宏
クリニック:03-3771-8000
院長直通:03-3771-8033

【補足】
結局、Kさんの痛みはますます強くなり、毎日の仙骨神経ブロックでも12時間ほど位しか痛みを管理できなくなりました。
本人の希望もあり、7月19日の朝9時から緊急手術になりました。手術のための麻酔がどういう訳か十分に効かずに、膀胱のどこが痛がっているのかが判明しました。ある意味ラッキーです。患者さんのご協力で、その痛い個所を電気メスで入念に切開・凝固を行ないました。まるで私はサド侯爵です。
手術は無事に終わり、午前11時には帰宅です。Kさんのテニス仲間が4人もお見舞いに来院し、狭い待合室は大にぎわいです。聞こえてくる会話からは、これから昼食でも一緒にという雰囲気です。『緊急手術の後なのになぁ・・・。』

さてさて、手術の結果、痛みは嘘のように軽減しました。本日7月21日、Kさん曰く、100%の痛みが1~2%前後になったそうです。毎日行なっていた仙骨神経ブロックは手術後一回も行なっていません。肩の荷が下り、ヤレヤレです。

・・・と、思いきや、ふたたび・・・。

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コメント

はじめまして!
Kさんの緊急手術の日、Kさんにかいがいしく付き添い、励ましながら家まで送って帰るつもりが、なんとランチに行ってしまったというとんでもないテニス仲間ご一行の一人です(笑)
Kさんは先生のおっしゃる通りとても明るく、はた目からはとても辛い病気を抱えているとは見えない元気印!!
自分のことよりまず人のことを考えています。
今回もまた激痛にあいながらしばらくテニスはできない状況で、我々のためにコートを取ったり人数調整をしたり...今はマネージャーでいいんだと...
先生、こんなお人よしでおばかさんの彼女ですが(笑)私たち束になっても彼女の行動力、企画力、包容力にはかないません。
彼女はどこの病院に行ってもだめで、どうしていいのかお先真っ暗だった時、高橋先生と出会い、希望が持てたと...地獄で仏を見たようだ...と言っています。
出会う人みんなを幸せにしてくれる彼女をどうかこれからも支えて治してやって下さい。無理をしそうになったらたしなめてやってください。
よろしくお願いします。

【高橋クリニックからの回答】
はい。

投稿: 日○○美 | 2007/07/23 23:32

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