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泌尿器科医に産科用の超音波診断装置?

Msujl2md_00現在、私が所有している超音波診断装置は、7年前に購入したGE社製の白黒の2次元画像の器械です。開業してから2代目です。
膀胱・前立腺検査のために毎月80人(年間900人前後)ほど、この器械で精密検査します。
前立腺の大きさ、膀胱出口周囲の肥厚、前立腺の石灰、膀胱・前立腺周囲の静脈瘤、膀胱粘膜の肉柱、膀胱腫瘍、腎腫瘍、水腎症、尿路結石など調べる項目はたくさんあります。
18511m30とてもよい器械なのですが、この診断装置で得られる画像は、素人の方がご覧になっても直感的には理解できません。画像を見ながら医師の詳しい説明を受けて初めて何とか理解?できる程度です。
右の画像は、慢性前立腺炎患者さんの膀胱出口の側面像です。黒く見えるのが膀胱の尿です。膀胱出口が富士山の火口のように口をあけていますが、立体的に観察したらどのように見えるのでしょうか?
立体的な構造を直感的に理解するためには、やはり立体的な画像が必要になります。
Babyfaceそこで思いついたのが、産科用仕上げの3D・4D超音波診断装置です。この器械は子宮の中の赤ちゃんの顔を鮮明に判別ができる装置です。
3Dはエコーで得られたデーターを処理して立体的(3次元=3D)画像にすることを意味します。
4Dは、3Dで得られた立体的画像を維持しつつ、時間的に刻々と変化する胎児の動きに応じて立体画像も変化させる技術です。4Dとは、4次元のことで、立体を意味する3次元+時間の流れの変化を意味します。
この技術で得られる画像を膀胱内部から膀胱出口を覗き込むように立体的に観察できないものかと思いついたのです。
産科用の超音波診断装置を製作している医療器械メーカーに数社に声をかけました。
すると3社から反応がありました。
Mjechoまず初めにデモ機として持ってきたのが、右の写真のメディソン・ジャパン製の3D4Dの超音波診断装置です。
条件を細かく設定でき、満足できる画像です。液晶画面でないのが残念です。
一見無骨ですが、能力は抜群で、現時点で考えられるあらゆる機能が備わっています。
超音波診断装置にもかかわらず、0.5mm間隔で臓器のスライス像が描写でき、画像はまるでMRI像のようです。
定価は8千万円!!!だそうです。
Mjecho2次にデモ機として持ってきたのが、右の写真の同じくメディソン・ジャパン製の3D4Dの超音波診断装置です。
前回の装置と比較して二まわり小さくコンパクトになっています。前回の器械との違いは、タッチパネルではなくなったということでしょう。しかし、パソコンを扱いなれている人間にとっては、こちらの方がフレンドリィです。
価格は3千2百万円です。
Tosibaecho3回目にデモされたのが右の写真の東芝製の3D4D超音波診断装置です。メディソン・ジャパン製に比べてスリムでデザイン・スタイル抜群です。画像もきれいです。
デジタル化が進み画面をタッチするだけで目的の設定が出来ます。定価はやはり6千万円!だそうです。
Geecho最後にデモされたのがGE製品です。ノートパソコン型ですが、大きい器械に劣らない能力があります。とてもコンパクトにまとまっていて、さらにGE製というブランド(車でいえばメルセデス)が魅力的です。定価は2千3百万円!です。
価格の根拠は、立体画像を作るためのプローブの開発費、プローブで得られた多くの情報を立体画像にするためのソフト開発費です。この機種はOSがウィンドウズXPですが、前の3機種はウィンドウズ2000です。
定価は定価であって、納入価格はもっと安価です。6千万円の装置と2千万円の装置が同じ1千万円を下回る価格になることがあります。
Geecho3しかし、いつまでも悩んでいても仕方がありません。
そこで決断しました。GE製の超音波診断装置です。
決め手は省スペースであること。ノートパソコンのように携帯して往診先で超音波エコー検査が可能です。
専用の架台に載せて、診察室から手術室やレントゲン室に移動が容易です。
電池で一定時間稼働しますから、電源のない場所でもOkです。
1本のプローブで3D4D、カラー・ドップラー、パワー・ドップラーのすべての検査ができる操作性の良さです。
Geecho2他社の製品は3D4Dとドップラーを別々のプローブで行なう煩雑さがありました。価格は○百万円です。
写真のように、ベッドサイドにチョコッと設置できるコンパクトさが魅力です。
20060325chief私のクリニックのように診察室が狭い場合には、空間を広く取りたいという願望があり、そのためには小さい装置は大歓迎です。
写真の右手(私の左奥)に見えるのが、現在の超音波診断装置です。
臓器を立体画像で観察できることにより、病気の正体や真理へさらに一歩近づけることが出来るでしょうか?楽しみです。
大学病院や有名総合病院と比べると、個人のクリニックの装備・設備では、到底勝ち目はありません。しかし、アイデアで勝負というのであれば勝つチャンスはあります。実際、そのような先進技術医療病院で治らない・気のせいだと言われ続けた患者さんを満足の域に達するように治療しています。そしてクリニックの装備のチョッとした進化が、アイデアにまるでターボ・チャージャーを装着した現象を起こすのです。

★夕刊フジ(10月2日号)でこの事が取り上げられました。


【患者さんからの感想メール】
高橋 知宏 先生 
カルテNO・・・・89の○○○○です。
6月11に再診時お世話になりました。また再々OP宜しくお願いいたします。

さて、本日メールをお送りしたのは先生のブログ(開業医のこぼれ話)のなかで近日UPされた内容にかなり興味がわいたのでパソコンを走らせました。(笑)
泌尿器科に産科超音波診断装置の発想すばらしいです。
仕事柄私も超音波診断装置見ることありますが、全く普通の患者さんには説明しても??てことが多いとおもいます。
先生が導入される装置は機動性、多機能性、省スペース性にとんでおり患者さん本人への説明ましては、先生の病気の捉え方の証明にも一役立ちそうな気がします。
今度OPに行く頃には導入済みでしょうから、是非それで検査して頂ければ幸いです。

いつも先生の発想には感銘受けます。
ではではお体お気をつけて、同じ病気で苦しんでいる人のためにもさらにご活躍くださいますようにお願いいたします。

PS 先日再診に伺ったときより関連痛等少し下がりました。ハルナールからフリバスに変更して頂きましたがやはり劇的には変化ありませんね。
おしっこの出方はハルナールの方が良いような気もします?

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宮崎県○○○○
○○○○
E-mail: ○○○○@○○○○.jp

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