ACLS講習会
前回のAED講習会に引き続きACLS講習会が平成18年3月18(土)午後1時から5時まで行なわれました。ACLSとはadvanced cardiac life support高度心臓救命処置の略です。
3月15日にテレビ朝日のタモリくらぶのスタッフから出演依頼があり、3月18日午後3時の収録だったので、それを断っての講習会参加です。
日本医師会の音頭で全国の都道府県医師会が講習会を行ないます。私は大森医師会の代表です。
PrimaryABCD
倒れた人を発見して、人工呼吸・心臓マッサージ・AED自動体外式除細動器までを行い、救急車で病院に運ぶまでの流れのABCDです。
SecondaryABCD
救急車で運ばれた患者さんを更に救命するまでの流れのABCDです。今回私が講習を受けたのが、このSecondaryABCDです。
PrimaryABCDでは、心臓の状態を鑑別せずに何が何でも人工呼吸・心臓マッサージ・AED自動体外式除細動器という流れだったのですが、SecondaryABCDの場合は、心臓の状態を心電図で詳細に診断し、病態に見合った薬剤投与をするのが主題です。
さて、心停止状態で倒れている人の心臓の状態は次のようなものがあります。
心室細動VF ventriclar fibrillation
無脈性心室性頻拍PVT pulseless ventriclar tachycardia
無脈性電気活動PED pulseless electric activity
心静止Asystole
心室細動VF ventriclar fibrillation
心電図では不規則な波が出現しています。実際に心臓を観察するとうごめいているような状態で心臓の拍動をしていません。もちろん血液を送るポンプとしての作用は皆無です。
無脈性心室性頻拍PVT pulseless ventriclar tachycardia
心電図上は規則正しい拍動があるのですが、心臓の心室だけが空回り状態で拍動しているだけで、ポンプ作用はありません。心臓は左右の心房と左右の心室が連動した動きでポンプ作用を行ないますから、心室だけの動きではダメなのです。
無脈性電気活動PED pulseless electric activity
心電図上はまともな波形のように観察できますが、電気的信号だけで、実際には心臓は拍動していません。AED自動体外式除細動器でVFやAVTからこの波形になったと安心してはならない波形です。
心静止Asystole
1分間に6個以下の心電図の波形を意味します。この状態ではAED自動体外式除細動器処置は逆効果になります。
この中でAED自動体外式除細動器の適応があるのは、心静止以外の全てです。
しかしAED処置を行なったから必ず心臓が回復する訳ではありません。そのため更に高度の医療行為を行なわなければ救命することが出来ません。
今回のACLS講習会は、すでにAED処置をされながら搬送された患者さんを救命するためのACLS advanced cardiac life support高度心臓救命処置トレーニングです。
ACLSで特徴なのが、AED自動体外式除細動器の他に、人工呼吸のための気管内挿管と心臓治療薬の投与です。
エピネフリン(ボスミン)
リドカイン
バソプレシン
メイロン
「見て聞いて感じて」
「咳・体動・呼吸・脈」
感度を上げる
全ての誘導確認
呼吸音の確認 1次確認
5点聴診、すなわち、みぞおち・左右鎖骨下・左右腋の下の5点である。気管内挿管を失敗すると食道挿管になる。酸素を送ると食堂から胃に送気されるのでみぞおちで送気音が聞こえる。
2次確認①
凹ましたゴム球を挿管チューブに装着し、5秒以内に膨らんだら気管内挿管を確認できる。
2次確認②
呼気の二酸化炭素の濃度で、気管内挿管が確認できる。
チューブの固定
昔はテープで原始的に固定していたが、現在では写真のように簡単な固定具が存在する。
電極の固定
右鎖骨下と左腋の下の2箇所に電極を10kg圧で固定する。
充電・放電
1回目200ジュール・2回目300ジュール・3回目360ジュールと順に電力を上げていく。360ジュールが最大。施術する人以外は感電する可能性があるから患者さんから離れる。放電の火花で爆発の可能性があるので人工呼吸と酸素も離す。
薬剤注入
一般的にはエピネフリン(商品名ボスミン)を静注し生食水20ml追加注入ご上肢を挙上する。循環が停止しているので、少しでも心臓に薬剤が届くようにとの処置。
以前は、心停止の場合、ボスミンを心臓に直接注射(心注)するのが常識でした。しかし現在では心注は行なわず、抹消の血管から注射するのが当たり前のようです。
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