インプットとアウトプット

Watercycle_20190801102501 人間は、水やお茶やお酒を飲んだり、食事をすることで体内に水分を取り入れます。ある意味で、水の「インプット」です。

逆に体からの水の「アウトプット」は、オシッコ(尿)、汗、ウンコ(大便)、だ液、鼻水、涙、呼気などです。インプットの量=アウトプットの量が原則です。

昔、あるテレビ番組で「バカな医師」が「血液をサラサラにすることで、健康のために毎日2リットル以上の水分を飲みましょう!」と言ったことをキッカケに、日本中の人々が水をガブガブ飲むようになりました。基礎医学から考えれば、血液は内部環境の代表ですから、骨髄や肝機能の異常がなければ、飲む水分に関係なく血液の濃度は常に一定なのです。基礎医学の知識のないバカな医師が、素人的発言をしたために、さまざまな病気で悩み苦しむ人が急に増えたのです。

その頃から、次第に花粉症の人が増えました。また、汗っかきの人も多いのも事実です。いわゆる多汗症です。例えば、350㎖のコップに500㎖の水を注げば、どうなると思いますか?当然、水が溢れ出てコップの周囲を汚しますよね?それと同じなのです。インプットの水分が多すぎると、排尿(オシッコ)や汗や排便(ウンコ)によって体内の水分を調節します。しかし人によってアウトプットの能力は違いますから、正常の手段で十分に水分が排出できなければ、他の方法を創作しなければなりません。それが、アレルギー反応(花粉症・慢性鼻炎・蓄膿症・喘息)や下痢症(過敏性腸症候群)や多汗症やうつ病などです。

何故、うつ病とお思いでしよう?水分の摂り過ぎは、『元気に活発に活動して喉が渇くから』と生体は誤解するのです。過剰な水分摂取を避けるために、活動しないように考えて、脳内で作られている活発の原点である男性ホルモン(テストステロン)を男女ともに抑えるのです。テストステロンは心をポジティブに思わせる働きがありますから、テストステロンの減少=ネガティブ思考=うつ病になるのです。

通称「非細菌性慢性前立腺炎」の患者さんの症状は、頻尿・陰部の痛み・シビレ・かゆみなどですが、8割の患者さんは「うつ病」です。慢性前立腺炎の病気の本質は排尿機能障害ですから、体としてはアウトプットの排尿を避けたいのです。しかし、馬鹿な医師の言葉に振り回されて、水をガブガブ飲んでしまったので、次第にネガティブ思考になり、ついには鬱病になるのです。

ニュースを見ていると、最近の若者が熱中症でバタバタ倒れてしまいます。水分をガバガバ補給しているのに何故?とお思いでしょう。まずは、熱中症は脱水症ではありませんから、水分をたくさん補給しても防げないのです。もう一つ理由があります。日頃から水分をたくさん飲んでいるのでインプットの量が半端ではありません。アウトプットの汗やオシッコが優先されます。水分代謝は本来はもっと微妙で繊細なのです。小腸・大腸から吸収された水分は、血流にのって各種の臓器に配分されます。そして各種臓器の既存の水分を回収して、腎臓でオシッコに皮膚で汗にして排出します。その間に、皮膚も含め各種臓器の細胞外液の水分も新旧交換しているのです。ところが、日頃から水分をガバガバ飲んでいると、体としてはアウトプットだけに専念してしまうのです。そのため細胞外液の水分の新旧交換が後回しになるのです。猛暑で細胞に熱がこもっても、水分代謝が汗とオシッコだけに依存するので、熱のこもった細胞外液を交換できなくなり、熱中症になるのです。

 

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熱中症の誤解

Netyusyo 極暑の夏になり、熱中症の予防のために「水を飲め飲め」とマスコミやテレビでアピールしていますね?ところが、毎年何千人もの人々が熱中症で救急搬送されています。では、この人たちは水を十分に飲んでいなかったのでしょうか?そんな訳はありません。水は飲み始めると止まらずに、すぐに水中毒になるからです。では、どうして水をたくさん飲んでいたにもかかわらず熱中症になってしまったのでしょう。

実は、これには訳があるのです。世界中の猛暑の際の熱中対策は、確かに水分摂取を重要視しています。猛暑の中で水分をたくさん摂取して汗をたくさんかけば、汗は蒸発して体温を下げてくれます。いわゆる『気化熱』です。日本を除く大陸系の世界の猛暑では、【高温+湿度が低い】のです。ですから、汗はドンドン蒸発して体温を下げてくれますが、逆に『脱水症』になってしまうのです。それを防ぐために、水分をたくさん補給しなければならないのです。

ところが、日本の猛暑は、【高温+湿度が高い】のです。そのため、いくら汗をかいても、汗が蒸発せずに流れるだけです。結果、気化熱になりませんから体温は下がりません。体の体温は徐々に上がり、ついには熱中症になるのです。水分をたくさん補給することは『脱水症』の予防にはなりますが、『熱中症』の予防にはならないのです。環境が異なるのに、世界的な標準的医学常識をそのまま日本に移したバカな医師たちの無能さが、日本のたくさんの熱中症被害者を作っていると思えます。

Netyusyo3 では、熱中症に対してどういう対策を取れば良いのでしょうか?日本以外の国々では、湿度が低いので、汗の気化熱だけに依存した水分補給だけで熱中症対策は十分です。しかし、湿度の高い日本では、汗の気化熱に依存した水分補給だけでは不十分です。熱中症は脱水症が原因ではなく、体に熱がこもったことによる細胞融解が原因です。ですから体の熱を下げれば良いのです。冷たい水を飲むのだけではなく、冷たい水を体にかけるのです。あるいは冷たい水で湿らせたタオルを首に巻く、運動中は定期的にミストスプレー空間で休むなどをすれば良いでしょう。

 

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高齢者の皮膚のかゆみ

5577657ab5c449f7880071247de8a194 高齢者になると背中を中心に皮膚が痒くなるかたが大勢存在します。かゆみ止めの軟膏を塗っても改善しないことがほとんどです。

皮膚掻痒症の高齢者のほとんどの人が、毎日の入浴の際に、全身を石けんを使ってゴシゴシ洗っています。清潔好きなのは良く分かりますが、子どもの頃から60年間以上も、ひたすらにゴシゴシ洗っているのです。

皮膚の角質表皮は、その人の分泌する脂質でカバー・シールド・コーティングされています。表皮の角質ですから水分は少ないのです。太陽の光が当たり風にさらされれば、表皮はもっと乾燥します。その乾燥を防ぐために、脂質でカバーしているのです。

Kayumi2 若い頃は、代謝が盛んで汗も脂質も塩分も大量に表皮を覆います。ですから、入浴時に石けんでゴシゴシ洗い落とすのは問題ありません。ところが、高齢者になると、新陳代謝が低下しますから、当然として脂質の分泌が減ります。何十年も繰り返し習慣化していますから、何も考えずにそれを若い時と同じように、石けんでゴシゴシ洗うのです。

Kayumi3 洗えば洗うほど、表皮のコーティング脂質が当然無くなります。表皮は乾燥して、表皮細胞の所々がめくれ上がります。すると、表皮細胞同士のつなぎ目に隙間が空きます。その隙間から空気中の酸素が表皮内に侵入します。酸素は酸化物質ですから表皮内を刺激します。表皮直下の知覚神経が酸素に刺激され→→→軽い痛み=かゆみ感覚になるのです。

対策はお分かりでしよう?入浴時に石けんを使って洗うのはお顔と陰部だけです。それ以外は、お湯で洗い流すだけにしてください。臭いの原因となる汗や、ベタベタ感の原因である塩分は、お湯だけで容易に流せます。ですから、背中のかゆみが出ている高齢者の方は、平日は背中などはお湯だけで洗い流すようにしましょう。

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病気の個性


Sekizui3 例えば、「排尿機能障害」が存在したとしても、必ずしもそれに見合った常識的な症状が発現するとは限りません。オシツコが出にくいとか、頻尿という典型的な症状であれば連想し易いのですが、しかし、子どもの頃からオシツコの近い、冷え性では、異常とは思いませんよね?そこに盲点があるのです。そういう患者さんは子どもの頃から排尿機能障害があり、頻尿や冷え性が体質だと思い込んでしまうのです。また、体質は遺伝ですから両親や家族も頻尿で、それを見ていれば、当たり前だと思ってしまうのです。

医師が誤診してしまうのは、脊髄神経回路を介して修飾されるので、多彩な症状が出るからです。一般的に【1つ症状≒1つの病気】というワンパターン認識が多いのです。例えば、心筋梗塞は胸の激痛が典型的な症状ですよね?しかし、心筋梗塞の他の症状には、左小指の痛み、左五十肩の痛み、左虫歯の痛みだけの人もいます。これらは既に知られた事実です。何故かと言えば、これらの症状を放置して手遅れで亡くなられた患者さんがたくさん存在したので、常識として知られたのです。これらの症状は「関連痛」という概念です。これらの症状も脊髄神経回路を介した症状で、脊髄神経回路の個性により様々な症状が出るのです。

Ilastkanrentu 病気の原因である臓器を支配する神経部位が、脊髄の下位にあればある程、多彩な症状になるのです。例えば、膀胱や前立腺の神経支配は仙骨2~4(S2~S4)です。脊髄の一番下が仙骨5ですから、最下位の脊髄神経に位置します。膀胱や前立腺から得た情報を50センチ~80センチの脊髄の長さを通過して脳中枢に伝達するのです。伝達する脊髄神経ニューロンの1本の長さが50センチ~80センチもある訳もありません。脳中枢に至るまでに何回かリレー伝達(シナプス結合)をするのです。病気が長期間であると、病変部の過敏さが増して情報量が突拍子もなく多くなります。そうなると、標準の脊髄神経経路だけでは伝達処理し切れません。仕方がなく、リレー伝達する際に、他の神経経路ニューロンに情報を一部渡して(シナプス結合)しまうのです。その渡した相手ニューロンが陰部の痛みニューロン経路であれば陰部の痛みに、腰の痛みニューロン経路であれば腰痛に、胃の痛みニューロン経路であれば胃の痛みになるのです。

病気の症状は脊髄神経回路の個性=患者さんの個性でもあります。ですから、医師は患者さんの訴えることを真摯に聞かなければなりません。

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バランス

生命は幾重にも重なるバランスで成り立っています。しかしながら、歳を重ねらごとにバランスが乱れて来ます。

Balance 例えば、ご婦人が更年期を過ぎると、卵巣が老化のため萎縮し女性ホルモンが低下します。中枢は、その事を察知して女性ホルモンを増やそうとします。女性ホルモンの材料であるLDLコレステロールを肝臓で増やします。ところが、萎縮した卵巣はLDLコレステロールを利用しませんから、LDLコレステロールが大量に余ってしまいます。しかしLDLコレステロールは貴重な材料なので、分解代謝しないで血管壁内膜に蓄えます。

血管壁内膜に次第にコレステロールが貯まります。すると、血管壁中膜の平滑筋細胞がコレステロールを固定しようと、中膜から内膜に浸潤して平滑筋が貪食肥満細胞に変身してコレステロールを食べます。たくさん食べた貪食肥満細胞は泡沫細胞に変身します。

泡沫細胞を固定するために、別の平滑筋細胞が線維芽細胞に変身してコラーゲン線維を大量に作り、血管壁内膜にシコリが出来上がります。これが動脈硬化になり、シコリが大きくなると脳梗塞・心筋梗塞になります。シコリの周囲に血栓ができて、それが剥がれると脳血栓・動脈血栓になるのです。

では、治療はどうすればいいか想像できますよね?女性ホルモンを増やすか、擬似ホルモンの大豆イソフラボンを服用すれば、中枢は女性ホルモンが低下していないと騙されて、コレステロールを増やしません。

血管年齢の若い人は、動脈硬化になりにくいのですが、そんな人のコレステロールを下げると、ますます動脈硬化にならずに、さらに血流が良くなります。すると、末梢の毛細血管の血流もさらに良くなります。毛細血管近くの細胞は十分に栄養が良くなります。しかし、毛細血管の届かない細胞との相対的差が開いていきます。相対的栄養不足の細胞は困り果てて変身するのです。それがガン細胞になるのです。実際にコレステロールを下げると、一定の確率でガンのリスクが増えるのです。

550771f2da2e47e6afa28d485c3264ea 更年期を過ぎた男性に「うつ病」になる確率が高くなります。一般人はご存知ありませんが、脳中枢でも男性ホルモンが作られているのです。『え〜!脳で男性ホルモンが?』とお思いでしょう?実は、男性ホルモンは「ネガティブな心」を吸収してくれるのです。実業家や出世街道真っしぐらのヒトの男性ホルモンは常に高いのです。40年間以上に渡って血液中の男性ホルモンが高ければ、脳中枢は血中の男性ホルモンに依存して、脳中枢での男性ホルモンの生産が『バランスを保つ』ために落ちてしまいます。ところが、更年期を過ぎて、睾丸での男性ホルモンの低下に対して、脳中枢での男性ホルモン生産が対応仕切れないのです。すると、脳中枢での男性ホルモン全体量が低下しますから、ネガティブな心を吸収することが当然できなくてなります。結果、元気だった人ほど更年期を過ぎると「うつ病」になるのです。逆に、ご婦人の場合は、若い時も血中の男性ホルモンは少なかった訳ですから、脳中枢の男性ホルモン生産は常に多くて、更年期になっても脳中枢で男性ホルモンは十分に作られていますから、更年期を過ぎたご婦人で「うつ病」になる人は少ないのです。逆に元気で男らしくなるのです。

前立腺に隠れていた前立腺ガン(ラテント癌)は、正常組織内でひっそりとバランスよく存在しています。ところが、PSA値が高いと針生検でそのバランスを崩してしまうので、ガン細胞に火がつき、命にかかわる悪性度の高いガン細胞に変身してしまうのです。病気に対してワンパターン認識だけでは、人の複雑なバランスを必ず崩してしまいます。

バランスの乱れで生じるヒトの病気は、幾重にも重なるバランスを十分に認識して治療しなければ、逆効果になるので注意が必要です。

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脳梗塞の再発

Saijohideki
歌手の西城秀樹さんが、63歳で突然死しました。
48歳で脳梗塞が発症し、56歳の時に脳梗塞が再発して下半身麻痺にまでなりました。
リハビリをしながら一生懸命に生きてきたのに、家族との会食中に突然意識消失し、亡くなられたそうです。

Sakagamijiro
コント55で有名な坂上二郎さんも、脳梗塞を何回か再発して亡くなられました。
坂上さんの個性から考えて、脳梗塞の治療に励み、リハビリも一生懸命に行っていたでしょう。
しかし、その甲斐もなく、西城秀樹さんと同じように亡くなられたのです。

Recarrennceinfarction
この現実をどのように思われますか?
お示しのグラフは、脳梗塞と心筋梗塞の再発率を表したものです。
10年間に心筋梗塞の再発率は20%程度ですが、脳梗塞の再発率は何と!50%にもなるのです。
同じ梗塞の病気なのに、何故?こんなにも再発率が異なるのでしょうか。
脳梗塞の一般的な治療といえば、患者さんに水分をたくさん摂取させ、血液をサラサラにするクスリとコレステロールを下げるクスリを服用しています。心筋梗塞の場合は、加えて血管拡張作用のあるニトログリセリン系統の薬剤を使用します。おそらく、この違いが、再発率の違いになるのでしょう。

血管の病気は、血小板・コレステロール・血圧ばかりではありません。マスト細胞・一酸化窒素・マクロファージ・平滑筋も関与しています。今の脳梗塞の治療は不十分なのです。専門医でない私でさえ思いつくことです。専門医の先生は、本質をもっと見極めなければならない!

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耳たぶのシワは血管病気の兆し

Mimisiwa以前から耳たぶの「しわ」と血管の病気について何故か知っていたので、20年以上前に知り合いの血管外科の医師に、その話をしたら、鼻先で笑われ、とても不愉快な気持ちになったことを覚えています。その後、彼は波乱万丈の人生を送るのですが・・・。【写真:京都府立医大HPより】

地元の開業医の懇親会で、懇意にしている医師の耳たぶの「しわ」が気になったので、「狭心症や血圧は大丈夫?」と質問したら、医師である奥さんと二人で失笑されてしまいました。ところが数年後、解離性動脈瘤破裂で突然死してしまいました。

耳たぶは毛細血管が豊富です。動脈硬化があると毛細血管がつぶれ血液供給が悪化します。すると耳たぶの脂肪組織が委縮して「溝」や「しわ」になるというのです。中年以降であれば動脈硬化が進むのは不思議ではありませんが、心筋梗塞や脳動脈瘤や解離性動脈瘤など病気と関連深いと考えると、血管壁の中膜病変の影響を強く反映しているのかも知れません。

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有名人では、田中角栄元首相が耳たぶのしわがハッキリしていました。結果、脳梗塞という血管系の病気でお亡くなりになっています。
石原裕次郎さんも大動脈瘤の手術で慶応病院に入院していました。最終的には肝臓癌でお亡くなりになりました。

人は教科書に記載されていない新しい情報を頭ごなしに否定するのです。もっと柔軟な頭になりたいものですね?

★動脈硬化は、見た目で分かる!

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【後日談】
この記事を書いたのが、3年前の2014年7月でした。先日、新潟大学名誉教授の安保徹先生が大動脈解離でお亡くなりになった理由を以前から考えていました。彼は、自律神経のバランスや免疫の専門家でした。ある意味、健康オタクです。その彼が何故に突然死?という思いでした。過去の私が書いた記述を思い出し、彼のインターネットに出ている写真を拡大して観察すると、何と、耳たぶにハッキリした深〜いシワがあるではないですか!耳たぶのシワがある人は、血管病変のリスクがあると考えた方が良いでしょう。それは、どんな健康法を実践しても避けられません。そのような人は、健康な時に定期的な血管の精密検査をするべきです。症状のない病気をあえて発見しようとするのは抵抗があるかもしれません。ポックリと逝きたいのであれば、何もしないという選択肢もあります。安保徹先生は、おそらくポックリと昇天したはずです。

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第128噺(145噺中)「AGA 男性型脱毛症」

Kappa
私もご存知のように髪の毛が薄いです。「河童型」ではなく、「生え際前線後退型」あるいは「斎藤さん型」です。これは、今流行りのAGA男性型脱毛症です。

AGAは、男性ホルモンの代謝物質であるDHTジヒドロテストロンが原因とされています。AGAの治療薬で有名なのが、プロペシアです。テストステロンがジヒドロテストロンに変化させる酵素5-α還元酵素を抑制する作用を持っています。この作用は、前立腺肥大症の治療薬で使用されて有名なアボルブとほとんど同じです。

Saitosan
アボルブは、商品名を換えて、AGA治療薬「ザガーロ」という商品名で最近発売されています。プロペシアも世界的には、前立肥大症の治療薬として認められましたが、日本の臨床治験では有意差が得られずに、結局、前立腺肥大症の薬剤として認可を得られませんでした。その代わり日本では、AGAの治療薬として認められました。

前立腺肥大症の治療薬としてアボルブを使用すると、副作用として増毛が出現する患者さんがたびたび見かけます。患者さんは、この副作用をとても喜ばれます。ザガーロは自費診療になりますが、中年以降で前立腺肥大症の症状がある患者さんの場合は、保険診療でアボルブが処方できますからお得です。

ひと昔前には、ジヒドロテストロンは長寿のホルモンとされていました。ですから、ジヒドロテストロンを増やす生活や治療薬に期待がされていました。ところが、そのホルモンが前立腺肥大症やハゲの原因になったと分かり、今では「悪玉男性ホルモン」とまで呼ばれています。そのため、ジヒドロテストロンを減らす治療が主流になりました。考え方を変えれば、前立腺肥大症やAGAの患者さんは長生きの人かも知れません。逆に前立腺肥大症の治療とAGAの治療が、その人の長寿を妨げることになるかもしれません。

しかし、生命活動は決して単純ではありません。ひとつのホルモンだけで生命現象をすべての説明できるとは思えません。男性ホルモンが高い人が長生きすると思われていました。ある統計によると、男性ホルモンのテストステロンとジヒドロテストロンの割合で4つのグループに分けて、死亡率を調査した大規模研究の調査報告がありました。それによると、死亡率が一番高かったのが、男性ホルモンの一番低いグループでした。ところが、次に死亡率が高かったのが男性ホルモンの一番高いグループでした。こうなると、話がグチャグチャになって分からなくなりました。

しかし、生命現象には様々な要因が関与しているはずです。それなのに、二つの要因しか調査しなかったのが、研究者の発想の貧弱さです。男性女性に影響するホルモンがまだあります。それは女性ホルモンです。男性にも女性ホルモンであるエストロゲンというホルモンが副腎から分泌されています。つまり、テストステロンとジヒドロテストロンとエストロゲンの三者ホルモンのバランスが寿命に影響するのかも知れません。

事実、エストロゲンの多い女性の方が男性よりも長生きです。男性ホルモンのテストステロンと、その代謝物質であるジヒドロテストステロンが十分に分泌され、さらに副腎から女性ホルモンのエストロゲンが十分に分泌されれば、長生きするのかも知れません。このホルモンバランスは、若い時のホルモンバランスと同じです。つまり、若い時と同じホルモンバランスにすれば、長生きするのでしょう。

長寿のための人為的な治療としては、まずはテストステロンの注射です。80歳でエベレストを登頂した三浦雄一郎さんは、定期的にテストステロンの注射をして元気になったと言います。ジヒドロテストロンは、テストステロンが増えれば自動的に増加しますから、考えなくても良いでしょう。副腎由来のエストロゲンは注射をすればいいのですが、さすがに男性に女性ホルモンを注射する気持ちにはなれません。そこで前立腺のサプリでも紹介している大豆イソフラボンがおすすめです。大豆イソフラボンンは疑似性ホルモンですから、服用することで男性にも足りないホルモンの補充反応を示してくれます。テストステロンが不足していればテストステロンを、エストロゲンが不足していればエストロゲンの作用をしてくれます。事実、大豆イソフラボンのアグリマックスを服用すると、増毛します。

アボルブは、ジヒドロテストステロンを抑制する作用があります。ご婦人の場合、卵巣でエストロゲンの分泌が低下すると、相対的に副腎由来のテストステロンが優位になります。当然、ジヒドロテストステロンも相対的に増加します。したがって、高齢者のご婦人の頭髪が薄くなるのも、原理的にはAGAと同じです。AGAにならなくても、ジヒドロテストステロンの相対的な増加が、各臓器に負担を強いているかも知れません。コメントにあるように、ご婦人にアボルブを服用していていただいても効果が出てきます。ご婦人の体の中の男性ホルモンをアボルブで抑え込もうという考え方です。

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127噺(145噺中)「インフルエンザの誤解」

Img_0015_24月中旬頃に、私が学校医を務める地元の中学校の養護の先生から連絡がありました。
インフルエンザのために、二クラスを学級閉鎖したと報告が入ったのです。4月中旬になってもまだインフルエンザの脅威は衰えていません。

インフルエンザ検査の陽性率は、高くても80%です。ですから、5人に一人はインフルエンザにかかっても陰性、専門用語で偽陰性になるのです。たまに、「今年の風邪は治りにくいですね?」とおっしゃる患者さんがおられます。会社近くのクリニックでインフルエンザ検査をしたのですが、陰性で、風邪と診断されたと言うのです。しかし、風邪薬を飲んで2週間過ぎても風邪症状がなかなか取れないとおっしゃるのです。これは、明らかにインフルエンザ感染で、会社近くのクリニックの医師の誤診です。インフルエンザ検査の信用度を過信しているのです。医師たるもの検査だけに頼らず、患者さんを診察した際のご自分の印象を重要視するべきです。インフルエンザ検査を実施した時点で、インフルエンザを疑った訳ですから・・・。逆に私は極端で、自分の目を信じてインフルエンザ検査は実施しません。

インフルエンザは、インフルエンザウィルスそのものの毒性が強い訳ではなく、感染した患者さんの免疫システムを刺激し、免疫の過剰反応を引き起こすので、強い障害が起きるのです。免疫システム、抗体免疫ではなく白血球免疫を刺激するのです。

ウィルスを攻撃するのは、抗体免疫だけです。ところが、白血球免疫は、人体に扁桃腺炎や肺炎や髄膜炎を起こしてしまうのです。白血球免疫の過剰反応の結果、インフルエンザの重症の症状になるのです。

インフルエンザの症状としては、高熱、全身倦怠、扁桃腺炎、関節炎、筋肉痛、肺炎などです。白血球免疫による症状は、高熱と扁桃腺炎と肺炎です。ウィルスは抗体免疫を刺激するので、一般的な風邪などの場合、通常は微熱です。微熱が免疫抗体作るにはちょうど良い体温なのです。しかし、インフルエンザの場合、早期に白血球免疫を刺激するので、白血球免疫特徴である高熱が出るのです。
インフルエンザの抗体免疫による症状は、早期の全身倦怠と関節炎と筋肉痛です。関節炎は、骨髄で抗体作るために痛みが出るのです。ですから、患者さん診察した際に、高熱はともかくとして、全身倦怠、関節炎、筋肉痛を認めた場合、インフルエンザと診断できるのです。また、全身倦怠の場合には、顔が無表情になります。笑う余裕のない患者さんを診た時には、まず間違いなくインフルエンザです。

最近の医師は何でもかんでも検査、検査で自分の目を信じていません。ある意味、診断の責任を他人(検査)任せにして、自分では責任を取らないのです。これが今の風潮です。

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第126噺(145噺中)「熱中症の誤解」

毎年夏になると、4万人前後の人が熱中症で救急車で搬送されます。
政府の広報やテレビで、「水分をたくさん摂取してください」と見聞きします。日本人は素直ですから、ほとんどの人が熱中症対策で水分をたくさん摂取しています。では、どうして、こんなにもたくさんの人が熱中症で倒れてしまうのでしょう。

それは、知識人にも政府にも、熱中症に関して誤解があるからです。炎天下でスポーツをしている人たちと、熔鉱炉やガラス工房で作業している人たちを比較して見ましょう。
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状況………………熱中症………………脱水症
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
炎天下の
屋外スポーツ………†††………………†
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熔鉱炉
ガラス工場…………†††………………††††
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
炎天下の屋外スポーツをしている人たちは、熱中症であり、脱水症ではありません。ですから、水をいくら沢山補給しても、熱中症は防げないのです。熱中症防止のためには、水を補給するのではなく、水を使って、熱くなった身体を冷やして上げれば良いのです。例えば、冷たい水をかぶるとか、冷たくしたタオルで首や腋の下に冷やすなどと小まめに行うのです。
熔鉱炉やガラス工房で作業する人たちは、熱中症にも脱水症にもなるので、身体を冷やさことと、水を沢山補給することの両方が必要です。

しかし、世界的には、熱中症の予防は、水分摂取で大丈夫なのです。なぜなら、日本を除く先進国は、ほとんどが大陸で湿度が低いのです。その結果、汗をかいても蒸発するので、気化熱で体温が下がるのです。ところが、日本の夏は湿度が高く、いくら汗をかいても、蒸発しないで滴れるだけです。つまり、いくら汗をかいても、体温が下がらないのです。先進国の医学の常識が、そのまま日本に適応できないのです。

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