「言葉」の定義と誤解
炎症=細菌感染しかないと、医師であるにも関わらず誤解している人がいます。しかし、基礎医学である病理学の教科書をひも解けば、次のように記載されています。
「炎症」とは、生物学的、化学的、物理学的な刺激による生体の反応である。
と、記載されています。したがって、炎症=生物学的刺激=細菌・ウィルス・カビ・寄生虫とは限らないのです。
動脈硬化、蕁麻疹、花粉症、喘息、やけどのすべてが炎症です。つまり、細菌感染だけが炎症ではないという例です。
また、痛み=炎症でもありません。生理学の教科書は、痛みに関して解説していますが、主な炎症による痛みの原因は、プロスタグランジンという化学物質が強く関与しています。
そのプロスタグランジンを抑えるのが、鎮痛剤の役目です。したがって、鎮痛剤が効かない痛みは、プロスタグランジンが関与しない痛みということになります。
そのため、プロスタグランジンが関与しない痛みは、細菌感染による炎症ではない可能性が高くなります。
以上の基本的な知識を医師がチャンと知っていれば、患者さんは長いこと悩むことはありませんでした。医師が基礎医学をないがしろした勉強不足が、悪の根源です。
「炎症症状が軽快しないのは、抗生剤・抗菌剤を使用しても、細菌がなくならないためである。
なぜなら耐性菌が存在するから・・・。」と断言する医師のなんと多いことか・・・。
あるいは、「尿はキレイだから、気のせいです。精神科に行きなさい。」と告げる無知で本当に馬鹿な医師も多数存在します。
炎症症状の原因が、細菌感染ではないと思いつかないのか?だから、抗生剤を投与しても治らないと思いつかないのか?医師の発想の貧弱さに憤りを感じます。
「PSA=前立腺ガンの腫瘍マーカー」と頭に一度インプットされると、PSAの高くなる理由を調べもしないで、前立腺ガンしか思いつかない医師の多いこと多いこと!
ひとたび、「慢性前立腺炎」と診断すると、慢性前立腺炎=炎症=細菌感染、あるいは慢性前立腺炎=治らない病気とインプットされ、延々と抗生剤、抗菌剤、セルニルトンが処方されてしまうのです。
「頻尿=膀胱炎」とインプットされると、他の原因を考えずに、ひたすら抗生剤と抗菌剤を処方するのです。
医師が不正確に覚えた知識やフレーズが、誤解を招き患者さんを長期間も苦しめているのです。
深く考えもせずに、何となく診断した病名や概念が、診断した医師の考え方を限定し、さらには治療法も制限して「独り歩き」してしまうのです。医師も患者さんも言葉の定義に振り回されないようにしましょう!