こ五十肩のほとんどは、棘上筋腱炎です。棘上筋は上腕骨を常時支えている筋肉です、この筋肉の力で上腕を水平から上に持ち上げるのです。ですから、この筋肉の腱が炎症を起こすと、水平から上に腕を挙げることが出来ないのが五十肩です。
この治療は、炎症を起こしている棘上筋腱にステロイド注射をするか、レーザー光線を当てるか湿布薬で容易に治ります。
しかし、様々な治療をしても、なかなか治らない患者さんが、たまにお越しになります。このような患者さんは、肩の痛い部分的指で押して圧迫しても、痛がりません。
炎症を起こして痛い部分なのに、押しても痛くないのは、疑問に思いませんか?そうなのです、この患者さんの痛みを感じる肩の部分は、嘘の感覚=錯覚なのです。この患者さんの腋の下の筋肉を押し圧迫すると、とても痛がります。
ある程度の年齢になると、肩が痛くて腕が上がらなくなる病気があります。いわゆる「四十肩」「五十肩」という名で知られている病気です。専門用語で「肩関節周囲炎」です。
一般的に上腕骨をぶら下げている蕀上筋腱が炎症を起こした病態を意味します。蕀上筋は上腕をイラストのように外転させる(水平から上に)時に利用する筋肉です。そして上腕が重力の重さで下の方に引っ張られているのを支えているのも蕀上筋の仕事です。寝ている時を除いて、何もしていない時にも蕀上筋は働いているのです。
イラストのように蕀上筋は解剖学的に非常に狭い部分を走行しています。上腕骨に付着する近辺は段々細くなります。その部分は栄養する血管は当然細い血管1本になります。40年も50年も負担を掛けると、細い血管もつぶれ血液がいかない状態になります。すると虚血性の炎症を起こし、「四十肩・五十肩」になるのです。
症状としては、腕をイラストのように上げようとすると痛くなるというものです。炎症を起こしている蕀上筋の部分を抑えると圧痛という痛みを感じます。治療は、消炎鎮痛剤の服用と湿布です。ステロイドの局所注射かレーザー光線治療も短期間に治ります。痛いからと言って肩を動かさなくなると、関節が癒着して肩が動かなくなります。これを「フローズン・ショルダー(凍結肩)🍧」と呼びます。

適切な治療を行えば、四十肩・五十肩は1ヵ月程で治ります。
しかし、治療しているにもかかわらず何カ月も治らない患者さんがいます。ドクターショッピングを何軒もしながら治らないので、当院を受診する患者さんがいます。そのような患者さんは、不思議なことに四十肩・五十肩のように肩が上がらない症状がないのです。簡単に肩を上げることは出来ますが、チョッとした動作で肩が痛くなるのです。そして、腕を後ろに回そうとすると肩が痛い、あるいは仰向けに寝ていると肩が痛くなるので、横向きにしか寝ることが出来ないと訴える患者さんが時々存在します。
このような場合、ほとんどが小胸筋か前鋸筋のいずれかの炎症です。小胸筋も前鋸筋も肩甲骨の動きに関与している筋肉です。しかし、その筋肉は傷めても自発痛がないのです。その代わり、肩や腕の痛みとして錯覚する関連痛として痛みが出ます。当然に痛い肩を押しても痛くないのですが、わきの下に隠れている小胸筋と前鋸筋を押さえると、押さえた所に明らかな激痛😣😖😫の圧痛が走るのです。
治療としては、わきの下の筋肉を患者さんが痛がりますが、十分にマッサージし、わきの下に湿布をすれば軽快します。結局、患者さんの訴える関連痛の肩だけを一生懸命に治療するので、治らないのです。この場所が整形外科医の盲点です。
貴方の周りで、肩の痛みが治らない人😞がいたら、腋の下を押してみてください。とても痛がれば😖、そこの筋肉が肩の痛みの原因です。そして、その直後に腕を回してもらってください。痛みが取れて、その人はビックリしますよ🤗😍🤗。
【参考図表:動きの解剖学Ⅰ 科学新聞社ほか】