水素イオンの重要性
ミネラル水に興味を持ち、その後「ルルドの泉」の奇跡の水の理由を調べたら、水素の生命に対する可能性を意識しました。水素は生体内で『抗酸化作用』があります。一時期、水素水が流行りましたが、おそらく「ルルドの泉」の影響なのでしょう。しかし、水素水が体に対する効果は現実には得られませんでした。その理由は、水素水が胃の中に入ると、『抗酸化作用』の水素が、『酸化作用』の胃液の塩酸と反応してしまうので、体内に水素が吸収されないからです。
先日の名古屋の泌尿器科学会で興味ある報告がありました。動物実験でシリコンナノ粒子を餌に混ぜ、腎臓血流の悪い腎不全のネズミに食べさせると、腎臓血流が改善し腎機能が改善したのだそうです。その理由の原因は水素だったのです。
シリコンナノ粒子は胃液の塩酸とは反応しませんが、十二指腸に移動すると、アルカリ性の十二指腸消化液と反応して水素が発生し、小腸から水素が吸収され全身に巡るのです。その化学反応は次のようです。
【Si(シリコン=ケイ素)+2OH⁻(アルカリ性)+2H₂O=SiO₃²⁻+2H₂↑+2e⁻】
体内に吸収された水素は、体内の隅々まで行き渡り、水素の『抗酸化作用』が発揮されるのです。体内の予想外の酸化物質が、老化現象や癌の誘発さらには動脈硬化の原因になるのです。したがって、水素の『抗酸化作用』が、老化防止、抗がん作用、動脈硬化防止、原因が明確に特定されていない殆どの腎不全の改善に至るのです。
体内に水素ガスがあっても、このままでは役に立たないのです。水素ガスではなく、水素イオンでなければならないのです。
【2H₂(水素ガス)→4H⁺(水素イオン)+4e⁻】
水素イオンには、細胞内のスーパーオキサイド・ディスムターぜ(SOD活性酸素分解酵素)と同じ作用があります。これが水素の重要な働きです。
人間は加齢と共にSOD活性酸素分解酵素の活性が衰えて来ます。SODの活性の減少率と年齢を観察すると、40才を超えると75%に減少し、50才を超えると50%、60才を超えると30%、70才以上では10%まで減少するのです。SODは、長寿の人には活性が高く、短命の人には活性が低いのです。ある意味で、SOD活性が寿命と万病に強く影響するのです。
これを年齢別の通院率のグラフと比べると、想像できます。つまり、SODの減少に反比例して、病院への通院患者が増加しています。特に40代を超えると、一気に増えます。
酸化傾向の強い病気の代表に糖尿病があります。実は私も糖尿病が悪化して血糖を懸命に下げることを終始していました。父親が糖尿病が原因の脳梗塞で亡くなったので、インシュリンをバンバン注射することで血糖を完璧にコントロールしていました。実は、その行為が原因で腎臓が悪くなり、結果、血液透析する体になってしまったのです。
グラフを見て分かるように、病気の本質はSODの低下が原因と思われます。今の医療は表面的な血糖を下げることだけに固執して、病気の本質を治療していないのです。
SODの活性を高める治療薬などはありませんから、そういった意味では水素が注目されるのです。
研究論文もインターネットで探せば、簡単に見つかります。
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/perspective_geriatrics_49_680.pdf
動物実験では水素水が有効ですが、人間には顕著な効果が出ているとは思えません。私も腎不全になってから一時期水素水を飲んでいましたが、全く効果は得られませんでした。おそらく、人間の胃液の塩酸が大量で強力なため、『抗酸化作用』の水素がほとんど中和されて体内に吸収されないからでしょう。最近では水素サプリメントが発売されています。サンゴカルシウムなどに水素を吸収させ、3時間~5時間以上かけて水素を放出するのです。食べたもの飲んだものが胃から十二指腸に移動するのに2時間かかるので、水素水よりは水素サプリメントの方が効果的かも知れません。
学会報告で指摘されたシリコンナノ粒子が容易に手に入るのであれば、たくさんの患者さんにお勧めしたいと思いますが、ナノ粒子を作るためには高度な技術が必要です。現在、関係業者に相談中です。
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