蜂蜜が傷の治りを促進? m3.comの記事から
蜂蜜の創傷治癒効果を実証
線維芽細胞の遊走を促進
2014年8月5日 化学工業日報
山田養蜂場はイタリア・東ピエモンテ大学のエリア・ランツァート博士と共同で、完熟蜂蜜が皮膚の内部に存在する線維芽細胞の遊走(組織内での移動)を引き起こし、創傷治癒(傷の治り)を促すことを確認した。古くから用いられてきた蜂蜜の創傷治癒効果に対する科学的な裏付けの一端となる成果といえる。このほど学術誌「Burns&Trauma」に発表した。
蜂蜜は古来から創傷治癒やスキンケアを目的として世界各地で伝承的に用いられてきた天然素材で、医療現場への応用を目指した研究が行われている。一方、治癒にいたるまでのメカニズムや蜂蜜の種類による効果の違いといった基礎的な知見について不明な点が多い。
山田養蜂場は2010年からエリア・ランツァート博士らの研究グループを助成し、完熟蜂蜜が皮膚の表面に存在する角化細胞に作用して創傷の治癒を促すことを明らかにしている。そこで今回、蜂蜜が創傷治癒の際に皮膚の内側に存在する線維芽細胞に作用するか、蜂蜜の種類によって効果やメカニズムに違いがあるかを調べた。
シート状に培養したヒト線維芽細胞に引っかき傷をつけ、蜂蜜を添加しない状態、アカシア蜂蜜、ソバ蜂蜜、マヌカ蜂蜜をそれぞれ0・1%の濃度で添加した状態で24時間培養。傷口が塞がった割合を算出した。
その結果、すべての蜂蜜が無添加よりも著しく高い創傷閉鎖率を示した。とくにアカシア蜂蜜とソバ蜂蜜は傷口を塞ぐ作用が強く、マヌカ蜂蜜の1・5倍以上の活性が確認できたという。研究グループは「日常的な怪我などの傷の治療に役立つことが期待される」としている。