漢方の真実
漢方は中国発祥の医学です。
中国4千年の歴史があるとされています。しかし、当時の病気のほとんどが急性期の病気でした。例えば外傷・インフルエンザ・急性感染症などです。あけても暮れても戦争でしたから、ケガや生傷は絶えませんし、それがもとで亡くなる人が多くいた筈です。したがって外傷学として漢方が存在します。
定期的に流行するインフルエンザで栄養状態の悪い民はバタバタと死んでいました。そのためにインフルエンザの対症療法の漢方が必要になります。
漢方を知る上で重要な文献として「傷寒論」があります。「傷」と「寒」とは的を得た言葉です。当時の医学の状況が垣間見えます。
日本に西洋医学が入ってくると、急性期の疾患・病気はほとんどが駆逐されてしまいました。外傷は西洋医学の外傷学の分かりやすいノウハウで治ります。感染症は抗生剤の登場で、やはり容易に治ります。インフルエンザに至っては、抗ウィルス剤の投与でタイミングさえ誤らなければ根本治療が可能です。
ここに至って漢方薬の出番がなくなってしまいました。急性期疾患のほとんどが西洋医学で治るからです。しかし、西洋医学で完治に至らない病気、つまり慢性疾患が残されました。
4千年前の漢方医学の得意分野は急性期の病気でした。中年や老人の少なかった時代には、現代の慢性的な病気はそれほど重要ではありませんでした。需要が無かったからです。明治以降の漢方は、残された慢性疾患を相手にシフトせざるを得ませんでした。当然、過去のわずかな慢性疾患に関する知識や治療を拡大解釈して現代の治療に応用していったのです。
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