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コレステロールから動脈硬化へ#1 「更年期とコレステロール」 (未病から病気へ)

Fantasy1sakagami55コント55号の坂上二郎さんが、脳梗塞の度重なる再発で他界されたのは記憶に新しいことです。
二郎さんが現代医療を否定していた訳ではなく、真面目に治療や日常生活に気をつけていたにもかかわらず、脳梗塞が再発したのです。

Fantasy2brainhertsここに、ある地域のデータを元にグラフを作成してみました。
脳梗塞の再発率は、1年で10%、5年で34%、10年で50%にまで達します。脳梗塞の治療は、コレステロールを下げ、血圧を下げ、血液が固まらないようにする治療が全国どこでも同じでしょう。にもかかわらず、脳梗塞患者さんの50%、2人に1人が10年後には再発するのです。
ところが、心筋梗塞の再発率は、1年でほぼ0%、5年で6%、10年で21%にしか過ぎません。違う病気だから当然だとお思いでしょうが、脳梗塞も心筋梗塞も原因は同じ動脈硬化です。ですから、ほとんど同じ治療を行っているにもかかわらず、10年で再発率が何故30%も異なるのか、疑問を持ちます。
動脈硬化の原因が、加齢・高脂血症・高血圧・糖尿病・肥満・喫煙・運動不足・ストレスなどいろいろ上げられていますが、それら原因がどのように動脈硬化にかかわっているのかをハッキリ明記している専門書が少ないのも現実です。肝心な理由を漠然とぼやかしているとしか思えません。素人でも思いつきそうな原因にもかかわらず、専門医が言及しないところに、この病気の再発率が高くなる理由が隠れていちのです。
そこで、動脈硬化に関して、専門外(私は泌尿器科医)の私なりにいろいろ調べて明らかにできたことをここで解説したいと思います。

Fantasy3cholestrogen動脈硬化と聞けば、すぐに思い出されるのがコレステロールでしょう。
ちまたでは、「悪玉コレステロール」という言葉が有名で、コレステロールが目の敵にされています。
今度は、コレステロールと聞けば、思い出されるのが「更年期」です。ご婦人は閉経前後の5年間、具体的には45歳~55歳の期間に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下してきます。極端な場合、10分の1になってしまいます。すると、どういう訳かコレステロール値が上がってきます。コレステロール値が上昇すると、次第に動脈硬化になることは有名な事実です。

Fantasy4konenkikasuitaiさて、それでは、更年期になると何故コレステロール値が高くなるのでしょう。
右の図を使って解説しましょう。更年期になると、性腺、女性でいえば卵巣、男性でいえば睾丸の加齢委縮による性ホルモンの低下が引き金になります。性ホルモンの低下は全身の機能低下を誘発しますから、体は大慌てです。性ホルモンの低下を察知した視床下部(自律神経・内分泌の中枢)は、配下の下垂体前葉に性腺刺激ホルモンの分泌を促します。下垂体前葉から放出された性腺刺激ホルモンは血液に乗って性腺(卵巣・睾丸)を刺激します。

Fantasy6highcalory【視床下部→下垂体前葉→性腺→視床下部】この一連のホルモンの刺激サイクルは、性腺ホルモン値が上昇しない限り、いつまでも延々に続きます。
しかし、本当は延々には続かないのです。なぜなら、視床下部から刺激を受け続けた下垂体前葉が疲弊(ひへい:疲れ切ったこと)して、機能不全に陥るからです。下垂体前葉は様々な重要なホルモンを分泌していますから、それらホルモンが生産されなければ、体は機能不全になってしまいます。「下垂体前葉不全」という病気がありますが、この病気の人は寿命が50歳くらいです。
確かに、それを裏付けるように戦前のご婦人の平均寿命は49歳と短命でした。つまり戦前当時のご婦人の平均寿命は、更年期の真っただ中で亡くなる短命な寿命だったのです。

Fantasy8livercholところが戦後、ここに救世主が現れます。
それが、戦後の食生活の改革政策、つまり高カロリー・高タンパク・高脂肪の欧米化です。これら高カロリー食は肝臓がコレステロールを生産するのに十分な栄養でした。性ホルモンの材料は肝臓が作るコレステロールです。視床下部は下垂体前葉を刺激しても性ホルモンが正常値に戻らないのを何とかしようと思っていました。肝臓を刺激することで性ホルモンの「原材料」であるコレステロールの生産量を高めれば、性ホルモンが正常に戻るかもしれません。そこで視床下部は下垂体前葉から肝臓に刺激の矛先を変えたのです。
視床下部からの刺激負荷が解除された下垂体前葉は本来の機能を遂行できるようになりました。まるでそれに呼応するかのように、戦後から女性の平均寿命は一気に上昇するのです。

コレステロールから動脈硬化へ#1 「更年期とコレステロール」
コレステロールから動脈硬化へ#2 「コレステロールと動脈硬化」
コレステロールから動脈硬化へ#3 「動脈硬化の進行・悪化」
コレステロールから動脈硬化へ#4 「治療のエビデンス」
コレステロールから動脈硬化へ#5 「動脈血管生理の本質と誤解」
コレステロールから動脈硬化へ#6 「接着分子の存在価値」

【参考文献】
新しい血圧測定と脈波解析 MEDICALVIEW
PWVを知るPWVで診る 中山書店
新・心臓病診療プラクティス11 高血圧を識る・個別診療に活かす 文光堂
新・心臓病診療プラクティス15 血管疾患を診る・治す 文光堂
新・心臓病診療プラクティス16 動脈硬化の内科治療に迫る
神戸女学院大学誌 2005年
久山町研究 2005年
日本循環器科学会誌 1997年
血管内皮細胞をめぐる疾患 真興交易㈱
血管内皮細胞研究フロンティア メディカルレビュー
NOと医学 共立出版
NOでアンチエイジング 日経BP
組織細胞生物学 南江堂
ハーパー・生化学 丸善
アンダーウッド病理学 西村書店
解明病理学 医歯薬出版
標準生理学 医学書院
図解生理学 医学書院
カラーアトラス機能組織学 南江堂

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