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コレステロールから動脈硬化へ#5 「動脈血管生理の本質と誤解」

Fantasy42keturyumyakuha動脈を伝わる脈波は、水道管を伝わる振動に例えられます。
血管を水道管に、血流を流れる水に、心臓の拍動を水道管をたたくハンマーに置き換えてみましょう。流れる水よりも水道管を伝わる振動の方が速いのは容易に理解できますね?血流は毎秒60cmで脈波は速くて毎秒15mにも達します。

Fantasy44oto物質の性質(物性)を音や振動の面から考えてみましょう。
音速は秒速300m(時速1200km)以上です。水は秒速1500m以上です。個体は血管に近い硬さのゴムで秒速1500m(時速5400km)以上になります。しかし、血管を伝わる振動とされる脈波は、速くて秒速15m(時速54km)にしかすぎません。この速度は物理的な振動とは考えにくい現象です。

Fantasy43namifukurami実験としてご自分の脈拍を感じてみて下さい。
血管を伝わる振動の「波」として感じますか?それとも、触れた血管の部分的な「ふくらみ」の繰り返しに感じますか?多くの人は、血管の部分的な「ふくらみ」の繰り返しに感じると思います。

Fantasy45myakuhazu脈拍は、心臓の振動が伝わる単純な波ではありません。
血管の部分部分の「ふくらみ」が、サッカースタジアムで応援ファンが作るウェーブのような現象なのです。ファンの一人ひとりがタイミングを測りながら立ったり座ったりしている状況を遠くから見ると波のように見える現象と同じです。

Fantasy46myakuhazu2つまり、脈波は血管の部分的な拡張・弛緩が心臓から末梢へ伝達されている現象でしかありません。ですから、血管としての物質の振動速度に比較して100分の1の速度しか出せない訳です。

Fantasy47nomyakuha血管が拡張するためには、内皮細胞が作るNO一酸化窒素が、隣接する平滑筋を緊張から弛緩させているのです。つまり脈拍は、物理的な他動的な現象ではなく、心拍に同期・シンクロした動脈血管が、積極的に能動的に行っている作業・生命活動なのです。脈拍だけでも血管は消耗しますし疲れます。全身の長年の疲労が動脈硬化ともいえます。

Fantasy57zendou以上のことから総合的に考えると脈波は、心臓の心拍に同期・シンクロした動脈血管の「ぜん動運動」と考えることができます。
「ぜん動運動」の主役は何といっても一酸化窒素NOを産生している「血管内皮細胞」です。内皮細胞は自らが一生懸命仕事することで、自らを気づ付けているともいえます。その自傷行為が動脈硬化の原因にもなるのです。生命現象は奥が深いといえます。表面的な現象を観察しただけでは、理解できません。

コレステロールから動脈硬化へ#1 「更年期とコレステロール」
コレステロールから動脈硬化へ#2 「コレステロールと動脈硬化」
コレステロールから動脈硬化へ#3 「動脈硬化の進行・悪化」
コレステロールから動脈硬化へ#4 「治療のエビデンス」
コレステロールから動脈硬化へ#5 「動脈血管生理の本質と誤解」
コレステロールから動脈硬化へ#6 「接着分子の存在価値」

【参考文献】
新しい血圧測定と脈波解析 MEDICALVIEW
PWVを知るPWVで診る 中山書店
新・心臓病診療プラクティス11 高血圧を識る・個別診療に活かす 文光堂
新・心臓病診療プラクティス15 血管疾患を診る・治す 文光堂
新・心臓病診療プラクティス16 動脈硬化の内科治療に迫る
神戸女学院大学誌 2005年
久山町研究 2005年
日本循環器科学会誌 1997年
血管内皮細胞をめぐる疾患 真興交易㈱
血管内皮細胞研究フロンティア メディカルレビュー
NOと医学 共立出版
NOでアンチエイジング 日経BP
組織細胞生物学 南江堂
ハーパー・生化学 丸善
アンダーウッド病理学 西村書店
解明病理学 医歯薬出版
標準生理学 医学書院
図解生理学 医学書院
カラーアトラス機能組織学 南江堂

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