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動脈硬化の検査

H1019_aomron動脈硬化の判定には、いろいろな検査装置があります。循環器の専門医は、種々の測定器で動脈硬化を判定しています。
一般的には、血圧測定により間接的に動脈硬化を予想します。
血圧が高ければ動脈硬化の可能性がありますし、逆に現在は動脈硬化がないかも知れませんが、将来的に動脈硬化になる可能性が高いと予想します。

A_lparamatec脈波コロトコフ音記録計(パラマ・テックHP)】
血圧測定の際に、コロトコフ音を測定して動脈硬化を判定する装置もあります。お値段100万円です。

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動脈硬化の悪化は、なぜ阻止できないのか?

Brainthrombusrec右の表は、2005年の久山町研究の脳卒中の再発率です。
脳卒中は脳血管の動脈硬化が原因であることは周知の事実です。代表である脳梗塞は、発症後1年で10%、5年で34.1%、10年で49.7%の方が再発します。動脈硬化の治療であるコレステロール・血圧・抗凝固剤の治療を行っているにも関わらずです。

Mire右の表は、1997年の駿河台日本大学病院循環器科の文献です。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いのを放置した患者さんグループは、急性心筋梗塞発症後、1年は0%ですが、3年で11%5年で14%、10年で20%の方が心筋梗塞の再発をします。

Saihatsurate上記2つの文献から、脳卒中と心筋梗塞の再発率を比較したのが、右のグラフです。
同じ動脈硬化が原因であるにもかかわらず、脳卒中の方が再発率は倍近く高くなっています。
病気が違うのだから・・・と言われたら仕方がありませんが、動脈硬化が原因とすればおかしな現象です。ここに、動脈硬化の悪化するヒントが隠されています。

Whyprogressasこの図は、動脈硬化の成り立ちを示すものです。
一般的にコレステロールの上昇を抑えれば、動脈硬化は抑えられるとお思いでしょう?
ところが、コレステロールを改善するお薬(スタチン系薬剤)を服用しても、動脈硬化の進行・悪化はおさまりません。

Whyprogressas2なぜかと言えば、一度、動脈硬化が出来上がると、動脈硬化が独り歩きするようになり、どんどん進行・悪化するのです。その原因は、硬さによる物理的現象が起こす結果です。管としての血管は硬くなれば、物理的振動が強く起き、血液の流れにも乱流が生じて、なお一層、血管内皮細胞に物理的負荷がかかるのです。

Whyprogressas3それぞれの原因を一つ一つつぶして行けば、動脈硬化の進行は阻止できます。
単に、コレステロールだけに目を奪われ、コレステロールだけの治療に専念するので、治療結果が出せないのです。

Whyprogressas4cholまずは、スタチン系薬剤によるコレステロールの治療について見てみましょう。
コレステロールの治療薬にはいろいろあります。どれを治療薬に選んでもLDLコレステロールは下げることができます(左のグラフ)。しかし、動脈硬化を下げることのできる(脈波伝搬速度を遅くできる)のはローコールだけです(右のグラフ・赤い矢印)。

Whyprogressas5hoju更年期のご婦人がコレステロールが上昇して動脈硬化になる事実は知られたことです。
その治療としてホルモン補充療法があります。しかし、内服薬と外用薬とでは、動脈硬化を抑えてくれるのは外用薬だけです(赤い矢印)。ホルモン補充療法を行っているからと同じ結果ではないのです。

Whyprogressas6dm糖尿病になると高血糖による糖化作用で、血管内皮細胞が障害されて、血管弛緩作用のある一酸化窒素がでなくなります。そのため糖尿病の患者さんは動脈硬化が進みます。糖尿病をコントロールされていない人は動脈硬化が進行します(赤い矢印)。

Whyprogressas7ht血圧のコントロールが十分(140mmHg以下 )である高血圧の患者さんは、動脈硬化の進行も抑えることができます(赤い矢印)。高血圧がある患者さんはシッカリと血圧を下げることが重要になります。

Whyprogressas8no2動脈硬化の患者さんに心筋梗塞・狭心症の治療薬であるニトログリセリンを投与すると、左の波形から右の波形のように脈圧波形と血圧が改善されます。
脈圧波形が変化したのは、脈波伝播速度が遅くなったことであり、血管壁が軟らかくなったことでもあります。
機能的な軟らかさは、器質的な軟らかさに変化しますから、動脈硬化が治ることでもあります。逆に機能的硬さは器質的硬さになります。例えば、常に緊張やストレスを強いられている人は、交感神経の緊張で機能的に血管が硬くなります。それを続けるうちに血管は器質的に硬くなり動脈硬化になります。最終的に脳梗塞・くも膜下出血・心筋梗塞などになるのです。仕事人間の突然死が多いのはそのためです。

Whyprogressas8no原因は何であれ、様々な状況で結果的には血管内皮細胞が傷害されて、内皮細胞から血管弛緩作用のある一酸化窒素NOが分泌されなくなります。
血管内皮細胞に物理的な負荷がかかると、内皮細胞の中でL-アルギニンと酸素から一酸化窒素が作られます。この一酸化窒素は内皮細胞に隣接する血管平滑筋に入り、グアニル酸シクラーゼを活性化します。グアニル酸シクラーゼはサイクリックGMPを合成します。サイクリックGMPは平滑筋細胞内のカルシウムイオンを細胞外に放出し、その結果、平滑筋の緊張がゆるみ、血管はゆるみ拡張し血管の硬さが取れるのです。

Whyprogressas9final動脈硬化の本質は、この「一酸化窒素NOの欠乏」に他なりません。動脈硬化を原因とする脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・狭心症などは、「一酸化窒素欠乏症候群」と考えることもできます。
3枚目のグラフの脳梗塞(脳卒中)と心筋梗塞の再発率の差は、一酸化窒素NOを補給させるニトログリセリンなどの薬剤を使用しているか否かの差だと考えられます。
Saihatsurate心臓の病気でもない脳梗塞の患者さんにニトログリセリンを投与する訳もなく、その結果、脳梗塞の患者さんは高率に再発するのです。また、心筋梗塞の患者さんがすべてニトログリセリンの治療を受けている訳ではありません。一般的に心筋梗塞の患者さんの70%~80%がニトログリセリンの治療を受けていますから、再発率は10年で20%なのも納得できます。

更年期とコレステロール
コレステロールの治療
動脈硬化の原因

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動脈硬化の原因

Aspatho動脈硬化は高血圧をはじめとして、脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・脳出血・クモ膜出血・解離性大動脈瘤などの重大な病気と深くかかわっています。その動脈硬化に関する最近の知見を右の図で示します。
これをパッと見て理解することは難しいので、下記に時系列で解説します。

Asstage1血管にかかる物理的な刺激で、血管内皮細胞が障害されます。
内皮細胞は何とかしようと、接着分子(接着剤のような物質)を放出します。すると、血液中にあるLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を吸着して内膜に吸収します。内膜に吸収されたLDLコレステロールは酸化されて酸化LDLになります。
また、血液中の単球(リンパ球)を吸着して、やはり内膜に吸収します。内膜に吸収された単球はマクロファージというアメーバーのような組織球に変幻し、酸化LDLコレステロールをむさぼり食べます(貪食作用)。酸化LDLコレステロールをたくさん食べたマクロファージは、泡沫細胞になり、動脈硬化の組織成分になります。
ここまでが初期の動脈硬化です。高齢者の加齢による生理的な動脈硬化はここまででしょう。

Asstage2 内皮細胞が障害され続けると、接着分子放出は止まず、次々にLDLコレステロールと単球が吸着・吸収されます。
単球由来のマクロファージは、血管中膜の平滑筋を刺激し、平滑筋を内膜に遊走させます。この遊走した平滑筋が、何とマクロファージ化し酸化LDLコレステロールを本当のマクロファージのように貪食するのです。貪食した平滑筋は、マクロファージの泡沫細胞と同じく、平滑筋由来の泡沫細胞になり、やはり動脈硬化の組織成分になります。
また、遊走した平滑筋はコラーゲン線維を作り動脈硬化を線維性の完全な形にします。これが、粥腫性プラークになり動脈硬化の代表的な形です。ここまでが中等度の動脈硬化です。

Asstage3さらに動脈硬化が進むと、血管内腔の狭さにより、血管壁にかかる振動などの物理的負荷が止まりません。平滑筋の作るコラーゲン線維が丈夫なものであれば問題ないのですが、不良品であるⅤ型コラーゲン線維が多くなると、線維の張力が無くなり、内腔に接する内皮細胞が破綻(はたん)してしまいます。内膜の内容が血液と直接触れることによって、赤血球と血小板が作る血栓が形成されます。これが、不安定型狭心症・心筋梗塞・脳梗塞の原因となります。

Isofyusonoh平滑筋の遊走が動脈硬化の原因の一つです。
遊走能を獲得した平滑筋はマクロファージに変化し、酸化脂質を貪食しで泡沫細胞に変化します。
右のグラフは2005年の神戸女子学院大学の実験結果です。
エストロゲン(E2:女性ホルモン)は、薄い濃度から濃い濃度に渡って平滑筋の遊走を阻止してくれます。また、大豆イソフラボンは、薄い濃度の時に平滑筋の遊走を阻止してくれます。治療として有効な健康食品になります。

Isofvcollagen平滑筋はコラーゲン線維を作ります。
血管壁のコラーゲンには、Ⅰ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型に分類できます。Ⅴ型コラーゲンは柔軟性がなく、ある意味不良品のコラーゲン線維です。血栓ができ易かったり、破綻(はたん)し易い動脈硬化のコラーゲン線維は、Ⅴ型のコラーゲン線維です。
右のグラフは、やはり2005年の神戸女子学院大学の実験結果です。
Ⅴ型コラーゲンは、成熟したコラーゲンが血管壁を形作るには不完全なものです。ですから成熟したⅤ型コラーゲンが多い方が危険な動脈硬化を作る可能性が高くなります。大豆イソフラボンは極端に濃度が薄い(10pMピコモル)時には、成熟したⅤ型コラーゲンが多少産生されますが、それ以降の濃い濃度では少なくなります。

Asplaqe実際の動脈硬化の病理組織像です。

線維が厚い動脈硬化は問題ないですが、線維の薄い動脈硬化は、いつ破れてもおかしくはないので危険です。この薄い線維が、成熟したⅤ型コラーゲン線維になります。

更年期とコレステロール
コレステロールの治療
動脈硬化の悪化する理由

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コレステロールの治療

Astherapyコレステロールの治療には、メバロチンを代表とするスタチン系薬剤が有名です。
コレステロールを下げることは容易なのですが、動脈硬化の進行を抑えることは確実ではありません。
2005年の久山町研究では、動脈硬化が原因の脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の再発率のデータが掲載されています。
脳梗塞の再発率は1年で10%。5年で34.1%、10年で49.7%と高率です。
脳出血の再発率は1年で25.6%、5年で34.9%、10年で55.6%です。
くも膜下出血の再発率は1年で32.5%、5年で55%、10年でなんと!70%にも及びます。

Jirouconte55先日亡くなられたコント55号の坂上二郎さんは、1回目の脳梗塞の後遺症の治療・リハビリで再び舞台に上がりましたが、2度目の脳梗塞発作が原因で他界されました。
二郎さんの主治医は、コレステロールを含め再発予防のために様々な常識的治療を施したでしょう。しかし、脳梗塞(動脈硬化)の再発を防ぐことはできませんでした。
動脈硬化の原因とされるコレステロールの上昇だけを治療しても、動脈硬化の進行・悪化を抑えることはできないと考えられます。

Astherapy2サプリメントである大豆イソフラボンにはエストロゲン(女性ホルモン)作用があります。
視床下部にエストロゲンが少なくなっていないと誤解させる働きがあります。当然、肝臓にコレステロール増産の命令は行かなくなりますし、後日解説する動脈硬化進行の原因を制御してくれるのです。
ご婦人の更年期で卵巣が機能低下によるエストロゲン減少には都合のよい治療です。男性の場合、エストロゲンは副腎皮質から分泌されます。そして、抗動脈硬化作用の働きを担っていますが、副腎皮質からのエストロゲン分泌が低下すれば、やはり動脈硬化を促進するでしょう。女性ホルモン作用を持つ大豆イソフラボンですが、男性に服用していただいても効果があるものだと考えます。

更年期とコレステロール
動脈硬化の原因
動脈硬化の悪化する理由

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