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癌細胞の正体(仮説)

「病気の真理(仮説)」を解説している内に、癌に関して思いつくことがありました。
ここで、解説しましょう。
Suisei【地球と水】
以前にお話ししたように、太古の地球には酸素はありませんでした。当時の空気には窒素とアンモニア・硫化水素などの毒ガスがほとんどでした。水も存在しません。何億年か経過すると、真っ赤な火ダルマであった地球は、だんだん冷えてきました。

地球の近くを複数の大きな彗星がたまたま百年~何百年かに一度通過します。一億年で10万回~100万回飛来していることになります。彗星は大きな氷の塊です。太陽に照らされた氷は蒸発して水蒸気になって、大きなほうき星として観察できます。その蒸気が地球の重力に捉えられて、地球には水が存在するようになります。水の存在で、地球はさらに冷却され、水蒸気で雲が出現し、太陽光線をさえぎることになり、地球はどんどん冷えていき、現在の地球になったのです。

【生命誕生】
当時の太古の海は、火山の噴火や溶岩から放出された大量のミネラルのスープのようです。この濃いスープの中に最初の生命が誕生します。太古の生命は単純な細胞で、海水のミネラルを利用してエネルギーを獲得して生命活動を営むようになります。その太古の生命こそ、鉄細菌、銅細菌、熱細菌などです。これらの原始的細菌は、嫌気性細菌のグループとして今でも存在します。鉄細菌は、海水中の鉄分と結合して死滅すると海底に沈殿していきます。気の遠くなるような時間が経過して、沈殿物は化石となり、現在の鉄鉱脈に変化します。海水中の鉄分が少なくなると、今度は銅細菌が台頭してきました。そうこうしている内に、海水中のミネラルは少なくなり、現在の海水に近づくのです。

【先祖の生命細胞誕生】
海水が現在のものになると、強い太陽光線を利用してエネルギーを生産する光合成細菌が生まれます。これが植物細胞の祖先です。
藻を代表とする光合成細菌は、一気に繁殖し大量の酸素を光合成で作るようになりました。この酸素は海水に大量に溶け込みます。酸素は酸性物質ですから、今まで地球上に繁栄していた鉄細菌などの嫌気性細菌は、長い年月をかけて死滅していきます。しかし、ただ死を待つだけの細菌ばかりではありませんでした。自分たちの存在を危うくする酸素を利用できる細菌に進化します。これが好気性細菌、つまり人間の祖先である細胞の誕生です。

Gancell【正常細胞と癌細胞の関係】
好気性細菌は次第に団体行動するようになり、「カイゼン」を繰り返しながら、多細胞生物として確立していくのです。多細胞生物の究極の存在である人間は、酸素を必要としない太古の細胞の進化した好気性細胞の集合体と考えることができます。

長い年月をかけて進化はしましたが、その根底には必ず無理があります。太古の細胞が一生懸命に背伸びをするように無理をしているのが、現在の人の細胞だと考えることができます。酸素の少ない劣悪な環境においては、太古の細胞の方が安定した存在となるのかもしれません。そのような状況下では、細胞の遺伝子に記録されている太古の細胞の情報が起動し、現在の細胞から太古の細胞に逆行する変化、すなわち「先祖帰り」した細胞が出現しても、あり得ないことではないでしょう。その「先祖帰り」した細胞、酸素欠乏の状況でも耐えていける細胞こそ、癌細胞と考えるのです。上のイラストは、この現象を端的に表現したものです。

大学病院などで臨床現場をたくさん経験すれば分かることですが、末期癌の患者さんは、肺転移や呼吸不全・肺水腫・肺炎などで呼吸状態が極端に悪く、患者さんの体力の消耗が著しいにも関わらず、その患者さんの癌はますます元気・活発になり、ついには患者さんが亡くなるのを多く経験しました。その際に、言いようのない「違和感」をいつも私は感じていました。患者さんの体が衰弱しているのに、癌の勢いはますます盛んになる矛盾した現象をです。呼吸状態が悪くなれば、血液中の酸素濃度は低下して、正常組織に比べて血液循環の悪い癌細胞が生きていける理由がないのに・・・、不思議でなりませんでした。しかし、癌細胞が酸素を必要としない「太古の細胞」だと考えれば、至極当たり前の現象です。

上のイラスト左の上向きの矢印は、癌細胞から正常な現代の細胞に良性化する可能性を示したものです。癌細胞の周囲の環境が、いつまでも酸素欠乏の状態ではかなわないことですが、もしも酸素が十分与えられる状況に変化すれば、癌細胞が健康な細胞に変化するかも知れません。そのような状況は、抗癌剤治療でも放射線治療でもましてや手術治療でも作ることはできません。その答えは、ここにあるのです。

【細胞はセンサーのかたまり】
そもそも細胞には、その細胞が属した臓器に応じた役目があります。その役目を完全に果たすために、毛細血管から漏れ出て細胞外液に混入した成分から、体全体に起きている情報を収集し、その情報に見合ったタンパク質(ホルモン・酵素・分泌液)を微妙に正確に産生し、再び細胞外液に放出、毛細血管やリンパ管を経由して全身に行き渡せるという絶妙な仕事をしています。それも60兆個の細胞すべてがです。

ですから、細胞外液は細胞にとって、外界と連絡する「窓」に他なりません。血管系の異常や障害によって細胞外液の成分が、全身の状況をリアルタイムに反映していないとすれば、細胞はタンパク質を作り過ぎたり、逆に作らなかったりなどの誤作動を起こしてしまいます。細胞が「センサーのかたまり」だと考えれば、細胞外液の酸素濃度が慢性的に低下して、太古の海を想像させてしまったとしたら、あるいは太古の海だと誤解させてしまったら、健康な細胞が、急いで「先祖帰り」して、太古の細胞(癌細胞)に変身したとしても・・・不思議ではないでしょう。

【注意】ここに掲載している理論は、あくまでも私の仮説です。実証された文献も証拠もまったくありません。私の頭の中の空想です。ですが、私たちが知りえる知識や情報をまとめ整合性をつければ、論理的に推理できることです。大仕掛けな検査機器を駆使して、遺伝子や分子構造を分析しても決して得られない考え方です。

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毛細血管

Kekkan毛細血管は、直径が約5μm(0.005mm)という細さです。
大血管(大動脈・大静脈)、血管(動脈・静脈)、細血管(細動脈・細静脈)と比較するとイラストのようです。(資料:組織細胞生物学 南江堂から)
赤血球の大きさが7μmですから、そのままであれば直径5μmの毛細血管を通過することはできませんが、赤血球には変形能があるので、狭い毛細血管を難なく通過することができるのです。

Kekkan2毛細血管が、他の血管と異なる所は、内皮細胞が平滑筋で覆われているか否かの違いです。(イラスト参照、資料:同じ)
毛細血管は平滑筋がほとんどないので(一部例外あり)、自らが収縮したり弛緩(しかん:ゆるむこと)したりしません。毛細血管の前後にある動脈や静脈の圧力や血流量にによって他動的に収縮や弛緩をします。

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病気の真理(仮説)

Ilastprotein_3医師としてさまざまな病気に遭遇します。
風邪もあれば、急性腸炎、急性胃炎、胃潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、膠原病、腎不全、高血圧、糖尿病、インフルエンザ、甲状腺炎、花粉症、結膜炎、性感染症、更年期障害、骨折、間質性膀胱炎、慢性前立腺炎、うつ病、各種癌など様々です。そして、それぞれの病気には必ず原因があります。たくさんの原因がある訳ですから、病気の種類も多く、症状も多岐にわたります。
このイラストは、細胞が役目を持たタンパク質を作る工程を示しています。唾液腺が唾液を作るのも、前立腺がPSAを作るのも、卵巣が女性ホルモンを作るのも、膵臓がインシュリンを作るのも・・・すべてこのシステムで作られるのです。細胞の一つの機能だけでも、このように(実はもっと複雑ですが・・・)複雑です。
生物学をはじめ、分子生物学・生理学・組織学・細菌学・ウィルス学・遺伝子学・解剖学・病理学・薬理学・各種の臨床医学の専門書には、私が把握しきれない知識や情報があふれています。これらすべてを一人の人間が把握することは、不可能です。さらに、化学・物理学・電子工学などの分野も入り、医学を取り巻く環境は複雑怪奇です。ところが、その膨大な知識や情報の中には、もちろん真理がありますが、人間の無知が故の誤解があり、その結果、嘘の真理があり、堂々と表舞台を歩いています。

Ilastcirculation_2右のイラストは、体循環を示したものです。
心臓から出た血液は、動脈を通過して全身に行き渡ります。動脈は次第に細くなり、ついには毛細血管となって各臓器・各組織に酸素・エネルギー・水を配分します。
各組織の毛細血管は、今度は次第に集合して静脈となり心臓に帰ります。その際に各組織から、二酸化炭素や老廃物を回収して静脈血になります。

Cellextrafluid【内部環境単位】
毛細血管近辺の状況をイラストに示しました。
毛細血管で運ばれた酸素・水・栄養・エネルギーは、まず細胞外液に放出されます。細胞は、自分の周囲の細胞外液から必要な成分を吸収し利用します。
細胞内で使用された成分は化学反応で変化し老廃物となり、細胞外へ放出されます。つまり、再び細胞外液に戻るのです。
老廃物は、再び毛細血管によって運ばれます。毛細血管によって処理できなかった老廃物(主に水分・脂質)は、リンパ管で運ばれリンパ液になります。
太古の海で誕生した私たちの原始細胞は、多細胞生物になったことで、その体の内部に太古の海と同じ環境を作ることができ、進化発達しました。それが、このイラストで示した細胞外液の中に浮かぶ細胞の姿です。

このイラストに描かれた毛細血管・細胞外液・細胞・リンパ管のユニットを仮に「内部環境単位」と呼ぶことにします。人間には60兆個の細胞が存在するといわれていますから、この「内部環境単位」も形が様々あるでしょうが60兆個存在すると考えられます。

細胞がどんなに(何百何千冊の専門書でも表現することができないくらい)緻密で複雑なシステムで生命反応を稼働させることができたとしても、このイラストで示す単純な内部環境が維持できなければ、細胞は正常に機能はしません。コンピューター・ルームの許容範囲の狭い温度や湿度が正常に維持できなければ、コンピューターがどんなに素晴らしいスーパーコンピューターであっても正常に作動しないのに似ています。

【備考】毛細血管に関しては、別に解説しました。

Cellextrafluid2【病気モデル】
この基本的な内部環境を利用して、一番単純な病気モデルを作ってみましょう。
加齢とともに血管壁が硬くなるのはご存知ですね。つまり動脈硬化のことです。動脈硬化と言いますが、静脈も毛細血管の手前の細血管も硬くなります。硬くなるだけならいいのですが、血管壁が厚く硬くなるのです。血管の太さは変わりませんから、血管壁が厚くなれば内腔が狭くなります。結果、血液の流れが悪くなり、場合によっては流れが途絶えてしまいます。血管の下流にある毛細血管は、上流の動脈・細動脈の硬化により血液が流れなくなります。

流れが悪くなれば、酸素やエネルギーが十分に細胞外液に届かなくなります。その細胞外液に含まれる酸素・エネルギーが利用できなければ、細胞は活発な機能を果たすことはできません。究極、細胞は死滅してしまいます。
離れた場所で放出された酸素やエネルギーが、 運よく細胞外液の浸透圧で細胞に吸収されたとしても、今度は細胞から排泄された二酸化炭素や老廃物が回収されなければ、細胞の住む環境は「ゴミ屋敷」化してしまいます。やはり環境が悪くなり、細胞は死滅してしまいます。
死滅した細胞が、体にとって重要なタンパク質(ホルモン・酵素・分泌液など)を作る工場であれば、その影響は測り知れず、次第に影響は全身に及びます。
しかし、その劣悪環境でも生存できる能力を獲得する細胞も出てきます。酸素がなくても呼吸できる細胞、すなわち癌細胞です。細胞の「先祖帰り」とも捉える事ができます。

病気の原因はいろいろありますが、一番単純な原因がこの「毛細血管循環不全」です。例外もありますが、このモデルで相当数の病気の原因を説明できます。ところが医学をはじめとする科学は、実際に直視することのできない複雑な未知なるものを病気の原因としがちです。例えば、遺伝子や放射線や化学薬品や・・・などなどです。生体の細胞レベルの構造的欠陥を重要視しないところに、現代医学の盲点があると私は考えます。構造を制する者、良き治療者かな・・・。

治療に当たっては、このイラストの「内部環境単位」を改善させれば良いことになります。
まずは、動脈硬化の改善を図ります。現代医学では動脈硬化を積極的に治す方法はありません。しかし、最近悪評高くなてきた代替医療では、この動脈硬化を治す方法があるのです。

【キレーション治療】
1つは、高濃度ビタミンC治療、2つ目はEDTA点滴によるキレーション治療です。どちらの治療もキレーション治療になります。キレーション治療とは、体の組織に蓄積してしまった悪い物質、例えば水銀・鉛・ヒ素・銅・鉄・カルシウムなどを体の外に排泄させる治療法です。これらの物質が原因で動脈硬化になると考えられています。

Oxy600【高圧酸素治療】
動脈硬化の治療法の他に、高圧酸素療法があります。気圧を上げた空間の中で呼吸すると、今まで大気圧では届かなかった毛細血管の隅々まで、酸素が届くようになります。瀕死の状態の細胞に酸素が十分届けば、細胞はよみがえって息を吹き返します。

Oxyspa_img12体内で利用される酸素は、結合型酸素と溶解型酸素に分けられます。結合型酸素は赤血球のヘモグロビンと結合した酸素です。この酸素は赤血球と結合しているので、酸素運搬能力は赤血球の大きさに依存します。赤血球は大きさが直径7ミクロンで毛細血管の直径が5ミクロンです。赤血球の大きさから単純に考えたら、赤血球は毛細血管を通過することはできませんが、赤血球には変形能があり体を細くくねらせて毛細血管を通過することができます。

Cellextrafluid2o2【溶解型酸素】
溶解型酸素(イラストの赤○)は、大きさは極小で(分子レベル)です。どんなに細い毛細血管でも隙間さえあれば侵入できます。また、細胞外液にも溶け込むことができるので、毛細血管がない場合には、細胞外液から細胞に到達できます。しかし、通常、血液中の酸素の2%~3%しか含まれないので、酸素運搬能力から考えれば非効率です。しかし、水中の魚は、えら呼吸でこの少ない溶解型酸素を利用しているのです。人間の場合、ここで高圧酸素カプセルを使えば、ヘンリーの法則で溶解型酸素の吸収効率は顕著に上がります。通常の空気には酸素分圧が0.2気圧しか含まれません。開業医レベルで購入できる高圧酸素カプセルでは、1.3気圧(最高1.35気圧)を負荷できますから、酸素分圧は0.26気圧になります。さらに初めから高濃度の酸素を利用すれば、例えば50%酸素であれば、0.65気圧になります。通常の空気を呼吸するに比較して3.25倍の酸素が融けて組織に流れていくのです。

【癌細胞】
酸素は、原始の細胞に「先祖帰り」した癌細胞には猛毒になります。原始の細胞が地球上に繁栄していたころは、地球上に酸素はほとんどなく鉄・アンモニア・窒素・銅などが豊富に含まれたスープのような海だったと想像されています。植物細胞が出現し、光合成によりたくさんの酸素を放出しために、現在の地球の大気の20%が酸素になったのです。酸素は酸化力が強く、原始の細胞はことごとく死滅し、深海や河川の汚泥に追いやられたのです。
体の隅々まで酸素が循環すれば、原始の細胞に「先祖帰り」した癌細胞は、太古からの悠久の生物史が物語るように駆逐されるでしょう。
ただし、テレビドラマ医療シーンでたびたび見る酸素マスク程度では、全く役には立ちません。

【備考】癌細胞に関する新しい考え方を仮説としてご紹介します。

私の理論が正しいのかどうかは分かりませんが、実証したく、2010年9月8日に高圧酸素カプセルを導入することに決めました。慢性前立腺炎や間質性膀胱炎、癌患者さんにも利用していただくつもりです。

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