誰もが知っている?ビタミンCの常識と不思議
サプリメントとしてビタミン剤、取分けビタミンCはありふれた栄養素です。
哺乳類のほとんどの動物が体内でビタミンCを合成できるのに対して、人間・さる・モルモットは体内で合成されません。ライオンは肉だけを食べていても体内でビタミンCが合成されるので、野菜や果物を取る必要がないのです。
この古くから一般的に知られたビタミンCには、まだまだ不明な点が多くあります。ここでその常識と不思議について解説しましょう。
ビタミンCはアスコルビン酸という物質です。市販のアスコルビン酸は、工業的にトウモロコシのブドウ糖から化学合成されます。
ビタミンCの作用には次のようなものがあります。
抗血栓作用
抗コレステロール作用
抗酸化作用
免疫賦活作用
コラーゲン形成作用
抗メラニン作用
ステロイド合成促進作用
アドレナリン・ノルアドレナリン合成促進作用
さらに、上記の作用から発展したと思われる臨床上経験される作用に、次のものがあります。
抗白内障作用
抗ガン作用
抗老化作用
抗白髪作用
抗糖尿病作用
専門的に生化学の専門書から、ビタミンCの作用を調べてみました。生体内の様々なヒドロキシラーゼ酵素を活性化させる作用を持っています。
【1】ドーパミンβヒドロキシラーゼ酵素
副腎・中枢神経内のドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリン合成に関与、これらの化学物質が産生されなければ、パーキンソン病・うつ病・慢性疲労の可能性が出てくる。
【2】ペプチジルグリシンヒドロキシラーゼ酵素
ペプチドホルモン合成に関与、ホルモンバランスに重要。
【3】鉄含有ヒドロキシラーゼ酵素
タンパク質の修飾(性質決定)に関与、すべてのタンパク質産生に必須。
【4】プロリン・リシンヒドロキシラーゼ酵素
合成されたコラーゲンの性質決定に関与、皮膚のコラーゲンと肝臓のコラーゲンは性質は同じものではない。
各種のヒドロキナーゼは銅イオンや鉄イオンを含有した酵素です。酵素が働く時に、酵素内のそれぞれのイオンがCu(1+)→Cu(2+)、Fe(3+)→Fe(4+)と酸化されて酵素として作用します。しかしこのままだと作用した酵素はお役御免になります。そこでビタミンCの還元作用で、Cu(2+)→Cu(1+)、Fe(4+)→Fe(3+)に返還させるので、酵素は再び働けるように蘇ります。つまりは使ってしまった酵素のリサイクルをビタミンCが担っているのです。
ただし、ビタミンCがなければ、酵素は新たに産生されますから、若い人間の場合は問題ないのでしょう。しかし、老化して酵素産生能力がなくなると、ビタミンCによる酵素のリサイクルはどうしても必要になるでしょう。
高齢者や癌患者さんから採血した血液中には、ビタミンCはほとんど検出されません。なぜ検出されないのでしょう?
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