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漢方の誤解

漢方薬は副作用が出ないと誤解なさっている患者さんが数多くいます。

漢方薬は、患者さんの体の状態(証・しょう)を十分に把握して、治療薬を選択しなければなりません。証の判断には幾つかの要素があります。「虚・実・血・気・水」の5要素です。それに五臓六腑が加わり証の診断をさらに複雑にします。

例えば風邪の場合、西洋医学では風邪の対症療法であればどんな時期の人にも同じ症状であれば同じ薬が処方されます。
ところが漢方では症状が同じでも風邪の時期や体調に応じて判断しますから、同じ風邪でも処方する薬が異なります。
例えば肥満で熱っぽい赤ら顔の風邪の患者さんであれば小柴胡湯(しょうさいことう)を処方しますし、憔悴しきった風邪の患者さんには補中益気湯(ほちゅうえきとう)を処方します。

患者さんの「証」判断を間違えて、病名だけで薬を処方すると、漢方薬でも肝機能障害や間質性肺炎などの重篤な副作用が出ることがありますから医師の責任は重大です。

【参考】//www.tsumura.co.jp/kampo/

【写真】多くの毒草・薬草を食べ、作用・副作用をご自分で実験し苦しんだ中国の漢方と農業の始祖「神農」は半獣半人の神
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また、漢方薬は長期間服用しないと効かないとか、体質改善のためには服用するということを耳にします。これも誤解です。
漢方の有名な著書に「傷寒論(しょうかんろん)」という古典的名著があります。日本の漢方はこの名著を根拠にしているところが多くあります。もちろん漢方の流派によって別の文献を根拠にしている場合もあります。
この「傷寒論」は読んで字の如く、「傷=外傷」と「寒=インフルエンザ・風邪」のための治療法を論じています。古代中国では、慢性疾患でなくなる方はごく少数で、ほとんどの方がケガやインフルエンザでバタバタ人は死んでいました。そのため確固たる根拠で治療に当らなければならず、患者さんの診かたや薬草の煎じ方などを記したのが「傷寒論」なのです。
ですから「傷寒論」は救急の治療法を論じた著書であって、「長期間服用すれば・・・」とか「体質改善のためには・・・」などと悠長なことを言っているような文献ではありません。
ところが西洋薬の効き目や治療法が素晴らしく、現代では漢方薬の出番がなくなってしまいました。そこで西洋薬ではなかなか治せない慢性疾患や原因不明疾患だけが残され、そこに漢方薬の登場となったのです。

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