カテゴリー「慢性前立腺炎と周辺疾患」の記事

潰瘍性大腸炎の裏の原因

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 原因不明の難病として、安倍総理大臣が辞めることになった「潰瘍性大腸炎」と言う病気があります。潰瘍性大腸炎はなかなか治らないので「難病指定」になっています。原因不明ですが自己免疫疾患として、免疫抑制剤を投与されますが、確実に効果が得られないので、難病指定になっているのです。このニュースを見て、過去に私が考えた事を思い出しました。

 

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 当院に2006年(平成18年)3月〜12月の10か月の間に来院された慢性前立腺炎の465人の患者さんの内、「潰瘍性大腸炎」の既往歴のある人が6人もいました。慢性前立腺炎の患者さんの1.3%が潰瘍性大腸炎になるのです。……ここで疑問を持ちました。実は、潰瘍性大腸炎の発生率は、日本全国で10万人近くで、発生率が0.08%なのです。すると、慢性前立腺炎の比率と比較して、一般の国民の発生率の16倍以上になるのです。慢性前立腺炎の患者さんは排尿障害が原因ですから、潰瘍性大腸炎の原因も排尿障害かもしれません。下記のブログが当時の私の記事です。

 

http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/2006/12/post_56e0.html

 同様に原因不明の間質性膀胱炎も、自己免疫疾患と思われています。小血管が多くなり点状出血が認められ、粘膜に潰瘍が認められ(ハンナ型)、20回〜40回の頻尿、そして治療薬としてアレルギー治療薬であるIPDが処方されます。しかし、この薬を飲んでも治る人はいません。

 さらに慢性前立腺炎の患者さんの10%近くの人に、過敏性腸症候群の方がおられます。どう考えても、これは排尿障害が原因でしょう。

 潰瘍性大腸炎の患者さんも、原因不明の潰瘍ができ、さらに出血やひどい下痢症になるのです。自己免疫疾患と考えられて免疫抑制剤を使用されていませんが、完全に治療効果が得られずに、安倍総理大臣のようになるのです。

Kaiyodaityo2_20200831091201  体内に溜まった水分をオシッコで十分に出せないと、体が工夫して様々な症状を作るのです。それがいろいろな病気として誤診されるのです。膀胱を支配するのは、①自律神経、②知覚神経、③免疫(リンパ球・白血球・マクロファージ)、④血管(動脈・静脈)です。これらを利用して、膀胱にインプット・アウトプットする訳ですから、あらゆる臓器に影響を与えます。しかし、一般の医師は膀胱の影響だけしかないと、思い込んでいますから、様々な病気を原因不明や自己免疫疾患と思ってしまうのです。結果、間質性膀胱炎や潰瘍性大腸炎が「難病指定疾患」と定義されてしまうのです。例えば尿管結石の疝痛発作や、脳のクモ膜下出血の際に、嘔吐する患者さんが多いのです。その際に胃腸の病気だと思いますか?膵臓ガンや胆嚢炎の際には、背中が痛くなります。筋肉痛と思いますか?
 排尿障害が原因の病名としては下記の如くです。
Kaiyodaityo_20200831091201 🅰️知覚神経ルート
❶慢性前立腺炎
❷間質性膀胱炎
❸過活動膀胱
❹膀胱疼痛症
❺慢性骨盤疼痛症候群
❻舌痛症
❼慢性胃痛症
❽坐骨神経痛
❾幻臭症
🅱️自律神経ルート
❶多汗症
❷下痢症

C3 免疫ルート➕自律神経ルート

❶花粉症
❷慢性副鼻腔炎
❸間質性膀胱炎
❹潰瘍性大腸炎

右のイラストは膀胱を中心とした、さまざまなルートによって作られた病気です。ですから、排尿障害を中心に治療すれば、難治性の症状は軽快してコントロールが必要できるのです。……もちろん私独自の理論です。

 一般の医師はある臓器の症状があれば、病気の原因がその臓器だけが原因と思ってしまうのです。原因が追求出来ないと、原因不明、自己免疫疾患と誤診?するのです。人間の体は、あらゆるシステムで管理されているのですから、障害があると、あらゆるシステムを利用してシステム・バランスを保とうとするのです。その結果、原因不明の病気になってしまうのです。人間の体は単純ではありません。医師はあらゆる事を考えなければならないのです。

病気はある意味でマジックなのです。一見すると、原因が分からないのです(笑)。

 

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原因不明の慢性胃痛症の正体

Bns19122m4808063平成18年5月に来院した47歳の男性患者さんです。
平成11年頃から会陰部痛と左睾丸痛・腰痛があり、慢性前立腺炎の診断で、長らくセルニルトンを服用しながら経過を見ていた方です。18年の4月頃から、痛みが次第に強くなり改善しないために、その年の5月に高橋クリニックを初めて受診しました。
尿流量測定ウロフロメトリー検査では、ご覧のように、スパイク状の排尿曲線を示し、腹圧性の排尿曲線です。
Bns19122m48080622D画像では、前立腺が膀胱内に突出した形状で、前立腺内に石灰を認めました。
排尿障害による慢性前立腺炎症状と判断し、ハルナールを処方しました。1ヵ月後、痛み症状は半分以下になり、治療は有効で、3ヵ月後の症状は、0%~20%で患者さんも満足して通院を続けていました。

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初診から2年近く経過した平成20年の3月に、慢性胃炎症状で苦しんでいるというのです。常にムカムカしていて、食後、特に食べ過ぎたり冷たいものを飲むと胃が痛むのだそうです。ゲップが気になるといいます。
内科で胃カメラなどの様々な検査を行いましたが、原因不明とのことで患者さんは悶々としていたのです。
患者さんから慢性前立腺炎との関係を問われました。もちろん確証(エビデンス)はありませんが、関連痛の理論により可能性はあると説明しました。その話の1週間後、患者さんが内視鏡手術を強く希望され、平成20年6月13日(金)、実施しました。
3D画像は、平成19年の9月の時点で検査した所見です。膀胱内から観察した膀胱出口ですが、12時・3時・6時の位置に硬化像が容易に観察できます。

現在、私は関連痛症状に対してトリガー・ポイント手術を行なっています。関連痛を誘発可能な程度の麻酔レベル(仙骨神経ブロック0.25%マーカイン20㎖)で手術を実施します。患者さんの協力が必要な手術です。
さて、この患者さんの膀胱出口硬化像の12時と6時の切除の際には、なんと腰背部痛が誘発されました。胃が痛くなる患者さんに背部痛があるのは有名ですから、少し胃に近づいた?と思いながら、膀胱出口硬化像の3時の位置を切開すると…なんと!何と!…「胃痛」が誘発されたのです!下部尿路を内視鏡手術して「胃痛」が誘発されたのです。…「胃痛」で苦しんでいる患者さんの内視鏡手術で「胃痛」が誘発されるのは偶然ではないでしょう。手術中患者さんと一緒に大喜びです。膀胱出口に胃痛のスイッチ=トリガー・ポイントの存在を確認したのです。これがエビデンスです。

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本日6月16日(月)にカテーテルを抜きました。
その直後の3D画像です。上の手術前の3D画像と比較して硬化組織が薄くなっているのが分かりますか?膀胱出口の12時の位置はまだ組織が残っているようですが、6時と3時の位置は完全に消失しています。
喜ばしいことに、術後~現在まで患者さんの胃の痛みは完全に消失しています。この患者さんは、肩こりと首が回らないという整形外科的な症状がありましたが、その症状も消失しました。やはり関連痛だったのでしょう。

【備考】
この記事は、平成20年6月に作成した記事です。

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過敏性腸症候群と慢性前立腺炎との密接な関係

Img_1083_24月26日の夜に城南泌尿器科懇話会が開催されました。
特別講演で「排便排尿機能障害ー自律神経と微細炎症の視点からー」というテーマで、公立黒川病院・管理者・東北大学名誉教授の本郷道夫先生が講演されました。

この先生のご専門は、消化管の機能性疾患です。代表的な病気は、最近流行りの過敏性腸症候群です。
今回の講演では、過敏性腸症候群の患者さんにかなりの確率で、下部尿路疾患すなわち慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱・膀胱疼痛症候群・慢性骨盤疼痛症候群などの病気が合併しているというのです。
ー★ー★ー★ー
そこで、過敏性腸症候群について考察してみましょう。
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過敏性腸症候群の病態生理(発病の仕組み)のキーワードは次の通りです。
①視床下部(Hs)
②副腎皮質刺激ホルモン(CRH)
③セロトニン
④肥満細胞(Mast Cell)
⑤サイトカイン(Cytokine)
⑥腸内細菌
このフローチャートでは、何が最初の原因が定かではありません。あたかも、精神的ストレスが原因のように思えます。しかし、原因が分からないと短絡的にストレスのせいにするのは、医学会でよくある慣習です。ストレスだけで病気にはなりません。病気があるからストレスになるのです。表面上の症状、うつ病状態を見て、そのように判断するのです。
本郷道夫先生の講演内容から推察すると、次のような仕組みのようです。
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①特定の腸内細菌が腸粘膜を微細に傷つけます。
②すると、腸粘膜の樹状細胞や肥満細胞がサイトカインを放出するので、腸に微細な炎症が生じます。
③その結果、腸管が過敏になりコントロールが難しくなるのです。
④この微細な炎症が長期間続くと、脳中枢の視床下部が気づき、副腎皮質刺激ホルモンを分泌します。
⑤すると、肥満細胞が活性化されて、サイトカインの分泌が盛んになり、過敏性腸症候群がますます悪化するのです。

腸内細菌が原因とする裏付けの動物実験があります。
健常者と過敏性腸症候群のヒトの腸内細菌叢を比較すると、細菌の分布が明らかに違います。また、動物実験で、健常者の便と過敏性腸症候群のヒトに便をネズミの腸内に移植すると、過敏性腸症候群の患者さんの便を移植を受けたネズミだけが、過敏性腸症候群のネズミになるのです。

Img_1084セロトニンの関与については、治療薬であるイリボーが、その証明になります。つまり、イリボーは、セロトニンの効果を抑制する作用があるので、効果が出てくるのです。
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過敏性腸症候群の原因はともかく、腸の症状の他に様々な症状が発生します。うつ病、不安神経症、腹痛、腰痛などです。さらに、一見無関係と思われる病気、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、膀胱疼痛症候群、慢性骨盤疼痛症候群、線維筋痛症、逆流性食道炎などの病気と合併することが多いのです。
線維筋痛症の専門書には、間質性膀胱炎の合併率は10%にも上ります。また、慢性前立腺炎の患者さんで、過敏性腸症候群を以前から治療されている患者が時々おられます。
実際に、慢性前立腺炎の患者さんの中で、私の処方したクスリの他に、内科の医師が処方した過敏性腸症候群の治療薬を併用したら、症状がかなりの軽快したそうです。

過敏性腸症候群といろいろな下部尿路症の病気の間には、発症に関与する共通点があるのかもしれません。それを調べることで、病気の本質が将来に判明するといいですね。

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若者の尿失禁

二十歳の男性が、2週間前から寝具を濡らすほどのお漏らしをしたと、近所の開業医の医師から紹介されました。
紹介状には下着が濡れる程度と記載がありましたが、本人の訴えはもっと深刻で敷布団がビッショリだというのです。

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右の写真は超音波エコー検査の所見です。
膀胱・前立腺を側面から観察している所見です。膀胱出口から前立腺部尿道にかけて開いている(赤い矢印の間)のが確認できます。前立腺部尿道が開いているのです。膀胱には100mlほどしか尿がたまっていませんから、通常であればこの部分は閉じていなければなりません。

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右の写真は、二十歳の別の患者さんの超音波エコー検査の所見です。
上の写真の所見と比較して一目瞭然でしょう。前立腺部尿道が確認できません。排尿時以外は閉じているのが正常なのです。(実はこの写真にも異常所見がありますが、今回のテーマではないので説明は割愛します。)
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右の写真は膀胱・前立腺を正面から観察している所見です。1番目の写真の所見と同じく前立腺部尿道(赤い矢印の間)が開いています。
1番目の写真と右の写真の緑の矢印は、拡張した静脈を示しています。排尿障害が存在すると、膀胱・前立腺周囲に排尿時に相当の負担がかかります。すると静脈が圧迫を受け静脈圧が高くなり、次第に静脈が拡張するようになります。
超音波エコー検査で膀胱・前立腺周囲に静脈が拡張した状態で確認できた場合は、「瘀血(おけつ)」や「うっ血」などと悠長なことを言っていないで、排尿障害の治療をすぐに始めなければなりません。
漢方や東洋医学が得意な医師は、「瘀血」や「うっ血」が原因で症状が出現すると誤解して、漢方薬の桂枝茯苓丸などの駆瘀血剤を処方します。しかし、瘀血やうっ血は、「原因の所見」ではなく、「結果の所見」ですから、治療が今ひとつにならざるを得ません。大雑把な診断は、治療の妨げになります。(目の前の結果=原因と誤解する医師はとても多いのです。)

治療として、この患者さんに排尿障害の治療薬であるα-ブロッカー(エブランチル)を処方したところ、薬の服用を続けている間(1ヵ月)は、尿失禁はなかったという結果になりました。しかし、薬を自己中止したら、再び尿失禁をしたので、あわてて薬の処方に来院されました。
尿失禁の患者さんにオシッコを『出しやすく』する薬を処方するのは不思議と思いませんか?この患者さんは、オシッコが出にくいので、前立腺の尿道が緊張して開きっ放しになったのです。医学用語では『奇異性尿失禁』と言います。大きな前立腺肥大症の患者さんに時々認められる所見です。『陰極まって陽となり、陽極まって陰となる』です。


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慢性前立腺炎の本態と治療

Bnscppathoこのテーマで、慢性前立腺炎に関して364番目のテーマになります。
思いつくままに記事を書いていますが、全体が大きくなり過ぎると、慢性前立腺炎の正体や本体が見えなくなる欠点が出てきます。
時には、まとめ的に記事を書くことにしています。慢性前立腺炎=膀胱頚部硬化症の病理的本態は、このイラストのようだと考えています。

1.この病気の原因の本質は、排尿機能障害です。
2.排尿機能障害が自覚しないで継続すると、下部尿路に物理的負荷がかかります。
3.その負荷は、機能的には膀胱三角部や膀胱頚部の知覚過敏を作ります。
4.器質的には、超音波エコー検査などで、膀胱頚部の硬化像・膀胱三角部の肥厚・膀胱括約筋の変形・前立腺肥大症・前立腺結石として確認されます。
5.膀胱頚部の知覚過敏は、脊髄神経を常に興奮させ、ついには異常な神経回路を形成します。
6.神経回路で増幅した情報は、直接的には頻尿症状を作り、過活動膀胱・心因性頻尿・間質性膀胱炎と誤診されます。
7.情報は自律神経や免疫システムの中枢である視床下部を興奮させますから、その結果、自律神経症状や免疫興奮症状を作ります。
8.脊髄内を上向する情報は、膀胱や前立腺以外の知覚神経に流れるので、関連痛としてしびれ・痛み・痒みなどの症状が形成されます。

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原因不明の難治性亀頭包皮炎

7年前から亀頭包皮炎が治らずに、病院を転々とドクターショッピングされた40歳代の男性患者さんです。
亀頭がヒリヒリして不快で、この7年間で泌尿器科を3軒、皮膚科を4軒受診、治療を繰り返しています。診断は「亀頭包皮炎」「カンジダ性亀頭包皮炎」「気のせい」でした。4年前には包茎手術を行いましたが、結果、ヒリヒリ感は治りません。
亀頭を拝見しましたが、肉眼的な所見では異常を認めません。
Balano23245m442d患者さんとの会話の中で、「尿がたまると亀頭がヒリヒリすることがある」という言葉を聞き、排尿障害を疑いました。
超音波エコー検査2D画像で観察すると、御覧のように膀胱出口が膀胱内に飛び出しています。(IPP)膀胱頚部硬化症の所見です。

Balano23245m442d2超音波エコー検査2D画像の正面像です。
うっ血静脈が確認できます。排尿障害による前立腺周囲の静脈拡張を強く疑います。


Balano23245m44flow尿流量率検査(ウロフロメトリー)の所見です。
膀胱頚部硬化症のスパイク状の元気のない排尿曲線を示しています。患者さんは尿の勢いは若い時から変わっていないと言っておられます。
尿量219ml、残尿15mlです。前立腺の大きさは13ccで大きくはありません。

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透析の原因は・・・

60歳の男性が過去の包茎手術の傷痕が気になり、遠く四国から修正手術に来院されました。
実はこの患者さんは50歳の頃から腎不全で週に2回~3回血液透析するようになりました。19歳のころに急性腎盂腎炎にかかかり、その後、幾度か具合が悪くなり、遂には慢性腎炎、腎不全、血液透析になったのです。

ここで疑問が出てきました。患者さんは19歳の急性腎盂腎炎が慢性腎炎の原因で、それが元で腎不全になり、現在の透析をしなければならない体になったと信じています。
しかし、急性腎盂腎炎と慢性腎炎は直接関係はありません。経過を詳細にお聞きすると、主治医の内科医は、血液検査と尿検査だけで慢性腎炎、腎不全と判断しており、腎生検を実施していないのです。つまり組織学的に慢性腎炎と診断しないまま、血液透析に入らせたのです。

今回の来院した目的とは違いますが、真実を探るために超音波検査を無料で行いました。
Rfhd23016m602d【膀胱・前立腺の超音波検査】
腎不全で透析している患者さんですから、膀胱内に尿がたまっていません。尿がたまっていないと画像を読むのは難しくなります。

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慢性前立腺炎の原因 「前立腺嚢胞」

慢性前立腺炎の患者さんを診察・検査を行っていると、前立腺に嚢胞が100人に1人~2人くらいの割合で発見できます。(尿流量測定ウロフロメトリー検査の94番目・37番目超音波エコー検査写真)

Pcyst22817netter【CIBAコレクションのイラストから】
前立腺の腺組織の一部が詰まって大きく袋状(嚢胞)になった結果だとされています。嚢胞の中身は前立腺液です。前立腺肥大症の場合、血管梗塞の結果だともされています。若い方で、前立腺の血管梗塞という理由は考えにくいので、腺組織が詰まったという理由を支持したいと思います。

Pcyst22817m402dpp患者さんは40歳男性です。8年も前(32歳)から会陰部痛と左睾丸痛(たまに右睾丸痛)を訴えていました。
今まで、5軒!もの泌尿器科クリニックの受診し、「慢性前立腺炎」と診断されています。しかし、治らないので高橋クリニックを年末(12月29日)に受診しました。
超音波エコー検査(2D画像)で観察すると、膀胱出口のそばに嚢胞が認められます。直径8mm×8mm×6mm程度の大きさです。上の写真は側面像です。

Pcyst22817m402d2pp右の写真は、正面像です。
この画像では、膀胱出口の左側(患者さんから見ると右側)に嚢胞が存在します。一見硬そうな嚢胞が、恐らくは膀胱出口を圧迫しているだろうと想像できます。

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患者さんからのレポート#44

拝啓

昨年10月に手術していただきました○○県○○市の○○○○(診察番号・・274)と申します。
先生にめぐり合い最高の手術をしていただいたことを心より感謝をしております。
ありがとうございました。

これまで3回の手術(H17.3月、H18.7月、H19.10月)でお世話になりました。前回の手術からは、1年2ヶ月が経過いたします。

私の場合は、若い頃から数十年にわたり排尿障害(20代後半頃~)が続きました。ブログ相談によくある頻尿や会陰部痛などの関連痛症状は少ないですが、“尿が出にくい”ことでずっと悩み続けてまいりました。

先生に出会うまでに、数ヶ所の病院を転々としましたが原因すら解りませんでした。気のせいとばかりの応対の繰り返しで多くの薬も試しました。しかし、いずれも全く効果がありませんでした。排尿できない、排尿に時間がかかってしまうということは日常生活に大変な苦痛と、消極性をもたらします。このような状態から抜け出そうと、ネットで調べていたときに知ったのが高橋先生のブログでした。

H17年3月にワラをもすがる思いで関西から東京へ飛んで行き、以来、3回の手術でお世話になりました。手術後は排尿状態が好転し、積極的な日常生活に戻れて手術の効果を満喫いたしました。しかし、私の場合、時間の経過(術後4~5ヶ月位)と共に膀胱頚部が硬く再生してしまうのか、手術前の状態に戻って、再び尿が出にくくなってしまいます。これまで3回の手術を繰り返しましたが、今回も1年以上が経過した現在、排尿に随分時間がかかるようになってしまいました。このままでは尿閉塞が心配です。

そのうちに何回も手術を繰り返さなくても完治する日が訪れるものと、ブログを見ながら新しい手術法を心待ちにしている毎日です。

高橋先生の、「努力が報われる訳でもない。しかし努力は惜しまず続けるのが我が信条」との、先生の日々向上しようとする治療方針、信念・情熱が、いつの日か完治への道を切り開いてくれるものと信じています。

とにかく治るまであきらめず、先生についていこうと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

ブログを見ていると、先生の治療技術は日々向上し更新しています。3D画像による分析力の向上や、先生の云われる秘密兵器「TURis-V」も登場しているようです。

完治はやってみないと分かりませんので、近いうちに手術のお願いをしたいと思っています。
どうか、その節はよろしくお願いいたします。

今後とも先生のご健康、ご活躍をお祈り申し上げます。
                        敬具
H20.12.28

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「間質性膀胱炎」と誤解された膀胱頚部硬化症の男性

関西から来院された47歳男性です。
寝るまで1日25回の頻尿とその後10回夜間頻尿です。陰嚢掻痒症で皮膚科でも治療を受けています。症状は10年前から続き、地元の大きな病院の泌尿器科で膀胱鏡検査を行った所、「間質性膀胱炎」と診断されました。治療しても頻尿が治らないので当院を受診しました。

Icbns22397m479echo超音波エコー検査で膀胱出口が膀胱内に突出しています。膀胱頚部硬化症の所見です。

Icbns22397m478flow尿流量測定ウロフロメトリー検査では、ご覧のように勢いの全くない典型的な排尿障害の排尿曲線です。
Icbns22397m4773d3D画像で尿道から観察すると、ご覧のように膀胱出口の斜め前後にシコリらしき平滑筋の過形成を認めます。
膀胱出口は開く所ですから、筋肉が強化されれば緩みにくく、当然開きません。

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