カテゴリー「慢性前立腺炎の考え方・生活習慣」の記事

排尿のメカニズム

Ilastumecha
小さな前立腺肥大症でも、あるいは前立腺肥大症がなくてもオシッコの出が良くない、排尿障害の患者さんに遭遇することは多々ある事です。
一般的に泌尿器科医も含めて医師は、前立腺が大きくなければ排尿障害はないと思い込んでいます。前立腺のないご婦人は尚の事です。しかし、物事はそんな単純ではありません。解剖学を土台に機能を考える解剖機能学=構造機能学という観点から考えると、病気の原因が見えてきます。生命の機能を漠然と捉えて病気を考えるので、正確な診断と適確な治療が出来ないのです。そこで、排尿のメカニズムを構造機能学から考えてみましょう。

Ilastumecha2
❶膀胱内に尿が十分に溜まると、排尿の命令が脳中枢から発せられます。自分の意思で出来ることは、尿道括約筋を開いて、腹圧をかけることです。尿道括約筋は、実際には開くというより前立腺を尿道側(外側)に向かって引っ張る動きをします。その動きに連動して膀胱出口が引っ張られます。(赤い点線)その際に膀胱出口の付近に接続している膀胱括約筋が膀胱全体が収縮するのと連動して緊張・収縮します。出口の内腔は尿道括約筋に引張られ、膀胱出口は膀胱括約筋に引張られた結果、膀胱出口はロート状に開き、尿が流出するのです。

Ilastumecha3
❷ところが、何らかの原因で膀胱括約筋が十分に収縮しないと、膀胱出口はロート状に開いてくれません。つまり、膀胱出口がスボまった状態状態で排尿することになります。その状態で排尿すると、膀胱出口は小刻みに振動します。このスボまりと振動を抑えるのがαブロッカーのユリーフ・ハルナール・フリバス・エブランチルです。
❸膀胱は排尿のたび毎に圧力を掛けなければならず、膀胱はダンダン疲れ疲弊します。その状態が顕著であると肉柱形成が起き残尿が多くなり、いわゆる「神経因性膀胱」と診断されます。
❹膀胱からの物理的圧力は膀胱出口に直接かかり、出口の裏側に存在する前立腺に全てかかります。その結果、その負荷に抵抗して前立腺が大きくなり「前立腺肥大症」と診断されます。
Ilastumecha4
❺膀胱出口の振動は、膀胱出口近くの膀胱三角部も振動させます。その結果、膀胱三角部は過敏になり、「心因性頻尿」、「過活動膀胱」、「間質性膀胱炎」、「慢性前立腺炎」と診断されます。男女同じです。この過敏を抑えるのが、ベタニス・ベシケア・トビエース・ウリトスです。
❻膀胱の圧力により膀胱出口部分が、膀胱側に突出して来ます。突出部に前立腺肥大症が連携すると「前立腺肥大症の中葉肥大型」に、前立腺肥大症が伴わないと「膀胱頚部硬化症」、「神経因性膀胱」と診断されます。

以上のことが理解できれば、前立腺肥大症の内視鏡手術の応用に利用できます。
大きさを二の次にして、まずは膀胱出口をロート状に開くように切開・切除します。前立腺肥大症を全て削り取らなくても排尿はスムーズにできます。

| | コメント (5)

尿意の秘密

Img_0625_3
膀胱は「袋状」の臓器で、充満して満杯になると、「尿意」を感じて排尿します。
しかし、疑問に感じませんか?袋状の臓器が満杯になったら、「尿意」?て不思議ではありませんか?普通で考えれば、満杯になって膀胱の壁が無理矢理引っ張られたら「痛み」でしょう?そこには、秘密が隠されているのです。

膀胱で作られる尿意の本質は、実は「痛み情報」なのです。しかし、尿が満杯になるたび毎に「痛い!」では、痛みのために生き物が、だんだんオシッコをしなくなるでしょう。それを避けるために、生体は、脊髄神経回路を利用して、痛み感覚⇒⇒⇒⇒尿意感覚に変換するようになったのです。その例として、過活動膀胱や間質性膀胱炎の患者さんが、程度の差はありますが、症状として痛みを訴えるのは根拠があるのです。
Img_0388
イラストで解説しましょう。
本来の神経回路で作られた尿意をベクトル⬆️、尿意の持続時間ベクトルを➡️と表現します。裏の神経回路で作られたベクトルを⬇︎とします。
点々……の先に示しているのが、表面的な病名、誤診病名、絵空事の病名です。
❶尿意=⇧
❷頻尿=⬆️……心因性頻尿・過活動膀胱・間質性膀胱炎
❸尿失禁=⬆️……過活動膀胱
❹残尿感=➡️……過活動膀胱
❺痛み=⬇︎……慢性前立腺炎・膀胱疼痛症・過活動膀胱・間質性膀胱炎・慢性骨盤疼痛症候群
❻痒み=⬇︎……陰嚢掻痒症・陰部掻痒症・カンジダ性腟炎
❼痺れ・不快感=⬇︎……神経症・坐骨神経痛

尿意という基本的な感覚が、強さ⬆️や持続時間➡️によって、心因性頻尿、過活動膀胱、間質性膀胱炎と診断されます。尿意の裏の神経回路⬇︎が使用されると、膀胱疼痛症、間質性膀胱炎、陰嚢掻痒症、カンジダ性膣炎と診断されます。
しかし、これらの病名は、病気の本質の的を得ていません。すべて尿意を治さなければなりません。

| | コメント (0)

膀胱三角部の重要性

癌や感染症を除く泌尿器科の病気には、前立腺肥大症、慢性前立腺炎、前立腺症、前立腺疼痛症、慢性骨盤内うっ血疼痛症候群、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症も、すべて同じ範疇の病気です。
これら病気の本質は、膀胱三角部の過敏症です。

❶【排尿障害】
医師が無視できる程度の排尿障害が存在すると、膀胱出口が十分に開きません。

❷【振動①】
膀胱出口が十分に開かず、狭い状態で排尿すると、膀胱出口が細かく振動します。口を狭くして息を吹き唇がプルプルするように膀胱出口がプルプルするのです。

❸【振動②】
膀胱出口のプルプルは、膀胱出口と地続きの膀胱三角部もプルプルさせます。そのプルプルが、毎日5回の排尿の都度プルプルするのです。毎月150回、毎年1800回プルプルするのです。
★この時点での治療のため、ユリーフ、ハルナール、エブランチル、、ザルティア、正露丸が選択されます。

Img_0498❹【肥厚】
このプルプルが10年も続けば、1万8000回も膀胱三角部が衝撃波を受けることになります。さすがに粘膜である膀胱三角部もだんだん硬く肥厚して行きます。これを私は「膀胱の魚の目」と呼んでいます。

❺【過敏】
膀胱三角部は単なる粘膜ではなく、尿意を感じるためのセンサーです。長年の衝撃により、センサーとしてもバージョンアップしてしまい、とても過敏になります。
★この時点での治療のため、ベタニス、ベシケア、ウリトス、トビエース、大豆イソフラボンが選択されます。

❻【混乱①】
センサーからの大量の情報が、頻尿を作ります。しかし、情報量が多過ぎると、頻尿症状だけでは処理しきれなくなります。

❼【混乱②】
その結果、脊髄中の他の神経回路に情報を処理してもらいます。それが、痛み、痒み、しびれ、不快感など人間が感じることの出来る全ての五感を利用して複雑な症状を作るのです。
★この時点での治療のため、トラムセット、リリカ、デパス、トフラニール、アボルブが選択されます。

❽【多彩な症状①】
前立腺肥大症の患者さんが、大学病院や有名病院で前立腺手術(レーザー手術、電気メス手術など)しても症状が取れないことがあります。術後「歳のせい」とあっさりと診断されて終了されることがしばしばあります。これは、過敏になった膀胱三角部を手付かずのままに放置した結果です。たまに、下手な医師が手術してくれると、前立腺だけでなく膀胱三角部も誤って切除するので、症状が取れます。上手な医師ほど、厳格に前立腺しか切除しませんから、症状が取れないのです。手術が上手いからと言って安心出来ません。世の中は、皮肉でしょう?

❾【多彩な症状②】
膀胱三角部は膀胱にとって重要なパーツです。男女の性別に無関係に存在します。この膀胱三角部の興奮が、男性であれば、慢性前立腺炎や慢性副睾丸炎、慢性尿道炎症状になるのです。女性であれば、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症、慢性うっ血性骨盤疼痛症候群と診断されてしまうのです。

➓【多彩な症状③】
このように、原因不明という事で、単に症状の組合せで、作られた架空の病名を付けて治療するのです。だから、いつまで経っても治らないのです。医師は、豊富な医学知識をフル稼働して原因を追求しなければなりません。医師が、素人でも想像できる程度の印象で診断するのがダメな医師です。

★★★以上をまとめると、
❶排尿障害→❷膀胱出口の振動→❸膀胱三角部の振動→❹膀胱三角部の肥厚→❺膀胱三角部の過敏・興奮→❻❼脊髄神経回路の混乱→❽❾➓多彩な症状

| | コメント (0)

前立腺マッサージ後の白血球

Wbc_2
慢性前立腺炎の患者さんの検査や治療法として、前立腺マッサージがあります。
このマッサージ後に排出した尿に、白血球が認められると、細菌性慢性前立腺炎と診断されます。白血球が認められなければ、非細菌性慢性前立腺炎と診断されるのが現状です。
よく考えてみれば、本当に【白血球=病原菌が存在】するのでしょうか?

ここで白血球の働きについて考えてみましょう。
Wbcphago❶白血球、特に顆粒球は、細菌などの侵入者がいると、それを捕食して殺そうとします。
白血球が細菌を捕食➡捕食し過ぎて白血球が自爆➡自爆した白血球の成分が血流に乗る➡他の場所にいる白血球を刺激➡白血球が現地に集合➡たくさんの白血球が細菌を捕食➡たくさんの白血球が自爆➡エンドレスの悪循環➡︎細菌性の炎症
例として、急性前立腺炎や急性細菌性膀胱炎が挙げられます。

❷組織に慢性的なダメーえジがあると、「細菌が侵入してくるかも知れない」と、組織内に白血球が待機して待っています。時間が長ければ長いほど白血球が集まります。しかし、そこには細菌は存在しませません。ただ、白血球がたくさん存在しているだけです。
転んで額を打撲してタンコブが出来ます。腫れたタンコブにはばい菌はいませんが、注射で穿刺すると、血液と白血球が吸引できます。つまり、タンコブ内には、ばい菌は存在していませんが、打撲の程度が強くて、そも物理的刺激により白血球が集まっていたのです。
要するに、【白血球の存在≠ばい菌の存在】です。【白血球の存在≒ばい菌の存在】です。
前立腺マッサージ後の白血球の存在≠細菌感染症です。前立腺が排尿機能障害で常に物理的刺激を受けていれば、前立腺に白血球が存在しても不思議ではありません。抗生剤・抗菌剤の投与で慢性前立腺炎症状が改善しなければ、白血球が認められても、原因は細菌ではなく、排尿機能障害と考えるべきです。

| | コメント (4)

慢性前立線炎の気持ち?

病気の複雑な振る舞いを考える際に、自分が病気そのものになって考えると、病気が見えてきます。
私が前立線の意志の立場になって物語を書きます。

続きを読む "慢性前立線炎の気持ち?"

| | コメント (3)

水分摂取の功罪

続きを読む "水分摂取の功罪"

| | コメント (0)

平滑筋の多面性

以前に、平滑筋について解説したことがあります。
医師も含めて一般の人もみな平滑筋と聞いて、筋肉そのものが思い浮かべるでしょう。つまり、伸びたり縮んだりする動力装置としての筋肉です。

続きを読む "平滑筋の多面性"

| | コメント (10)

ビジネスモデルについて

患者さんのブログに下記のような投稿があり、少し炎上したようです。

「アルファブロッカーはご存知のとおり症状を緩和するだけで根治を目指す薬ではありません。
プロダクトポートフォリオマネージメント(PPM)という有名なビジネスの戦略分析手法があります(PPMに関して詳しく知りたい方はネットで調べてみてください)。Tクリニックでアルファブロッカーを処方された患者は一生Tクリニックから薬を購入しないといけないわけですから、これらの既存患者はPPMで言うところの「CASH COW(金のなる木)」といえます。
またT先生はネットで熱心にコメントを記載しており、これを見て新しい患者さんが集まるわけですが、これらの新規見込み患者はPPMで言うところの「STAR(スター)」になります。まれにTクリニックからよそに乗り換える患者さんもいるわけですからこれらの患者さんはPPMで言うところの「QUESTION MARK(問題児)」といえます。
いずれにせよTクリニックをPPMの観点(=ビジネスの観点)でみると金のなる木とスターがほとんどですので相当よくできたビジネスモデルと言えるでしょうね。巷の会社経営者はぜひ彼のビジネスモデルを見習うべきでしょう。
T先生は尿検査もせず訪れた患者さんほぼ100%に「膀胱頚部硬化症」と診断するのはなぜなのでしょうね~?」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

続きを読む "ビジネスモデルについて"

| | コメント (13)

進化の後遺症

Nezumi6500【哺乳類の祖先】
私たち人間の祖先、全ての哺乳類の祖先は、6500万年前頃に恐竜が絶滅した後に出現した、ネズミほどの大きさ(250㌘)の小さな生物でした。主に昆虫を餌にして生きていた生物です。
この小さな生き物から哺乳類が進化し、サルになり類人猿になり人になったとされています。

続きを読む "進化の後遺症"

| | コメント (40)

慢性前立腺炎の本態と治療

Bnscppathoこのテーマで、慢性前立腺炎に関して364番目のテーマになります。
思いつくままに記事を書いていますが、全体が大きくなり過ぎると、慢性前立腺炎の正体や本体が見えなくなる欠点が出てきます。
時には、まとめ的に記事を書くことにしています。慢性前立腺炎=膀胱頚部硬化症の病理的本態は、このイラストのようだと考えています。

1.この病気の原因の本質は、排尿機能障害です。
2.排尿機能障害が自覚しないで継続すると、下部尿路に物理的負荷がかかります。
3.その負荷は、機能的には膀胱三角部や膀胱頚部の知覚過敏を作ります。
4.器質的には、超音波エコー検査などで、膀胱頚部の硬化像・膀胱三角部の肥厚・膀胱括約筋の変形・前立腺肥大症・前立腺結石として確認されます。
5.膀胱頚部の知覚過敏は、脊髄神経を常に興奮させ、ついには異常な神経回路を形成します。
6.神経回路で増幅した情報は、直接的には頻尿症状を作り、過活動膀胱・心因性頻尿・間質性膀胱炎と誤診されます。
7.情報は自律神経や免疫システムの中枢である視床下部を興奮させますから、その結果、自律神経症状や免疫興奮症状を作ります。
8.脊髄内を上向する情報は、膀胱や前立腺以外の知覚神経に流れるので、関連痛としてしびれ・痛み・痒みなどの症状が形成されます。

続きを読む "慢性前立腺炎の本態と治療"

| | コメント (122)

より以前の記事一覧