カテゴリー「慢性前立腺炎の考え方・生活習慣」の記事

慢性前立腺炎の真実

慢性前立腺炎で、いろいろな症状が出ます。抗生剤や抗菌剤を長期間服用しても治らないので、悩まれている患者さんがたくさんいます。

実は、この病名が間違いなのです。炎症ではないので、炎症を抑える治療薬を飲んでも治る訳がないのです。その原因は、患者さんが自覚しない排尿障害が原因です。


Ec3237113795451c978756e36c35b4aa残尿測定検査やウロフロメトリー尿流検査を行なっても正常範囲の患者さんも存在しまず。エコー検査で分かる所見は、次の通りです。

❶膀胱三角部の肥厚
❷膀胱縦走筋排尿筋の変形
❸膀胱括約筋の肥大
❹膀胱出口粘膜の変形・硬化像
❺前立腺結石の存在
❻前立腺周囲の静脈瘤

以上が全て長期間の排尿障害の後遺症所見です。ですから治療としては、本質の排尿障害わ治せばいいのです。
⑴α1-ブロッカーである①ユリーフ・シロドシン②ハルナール・タムスロシン③フリバス④エブランチルを処方します。
⑵慢性前立腺炎は色々な症状があります。頻尿、残尿感、尿意切迫、会陰部痛・不快感、睾丸の痛み、陰嚢の痒み、鼠径部の痛み、肛門の痛み・痒み、足の痛み・痺れ、下腹部の痛み、胃の痛み、逆流性食道炎症状、舌の痛み、尿臭症、首の痛み、手の痺れ・震えなどたくさんあります。これは全て膀胱三角部の感覚が大量で脊髄神経回路を混乱させて、色々な知覚神経と混線して。いろいろな症状になるのです。ですから頻尿治療薬であるβ3作動薬である①ベタニス②べオーバを服用すれば軽快します。

この病気以外の間質性膀胱炎、過活動膀胱、膀胱疼痛症、うっ血生骨盤疼痛症候群の全ての原因が同じです。



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慢性前立腺炎の原因

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 非細菌性の慢性前立腺炎が治らない患者さんがたくさん来られます。

 抗生剤や抗菌剤を長期間処方され、漢方薬(桂枝茯苓丸)や抗うつ剤を処方されても治らないと、検査しても異常がなく、自律神経失調症・治らない病気と診断されるのです。

 実は患者さんが自覚していない排尿障害が全ての原因なのです。イラストで示したように、前立腺肥大症・神経因性膀胱・慢性前立腺炎・間質性膀胱炎など様々な病気の原因が、実は全て排尿障害が原因なのです。それらの治らない患者さんに排尿障害を主に治療すると、ほとんどの患者さんが軽快します。

 医師は、患者さんが自覚していないと排尿障害を十分に調べもしないのです。患者さんが自覚しないから、体のシステムは様々な症状を作って患者さんに教えようとするのです。医師は単に症状に応じて病名を判断するので、結果治せないのです。

 多くの医師は、男性は前立腺肥大症だけが原因で排尿障害があると思っているのです。ですから前立腺が大きくない男性や前立腺を持っていない女性には排尿障害がないと誤解するのです。ですから、前立腺肥大症の患者さんしか排尿障害の治療をしないので、苦しまれる患者が多くなるのです。

Dysuria11

❶男性の排尿障害は、前立腺肥大症と神経因性膀胱だけだたと決めているのです。

前立腺の大きさが、正常か小さければ、排尿障害の原因は膀胱=神経因性膀胱と診断するのです。

❸症状は前立腺炎・膀胱炎・間質性膀胱炎・気のせい・年のせいしかないと考えるのです。ですから、多くの人が誤診され、治らない病気と思われるもです。

 例えば、「頻尿」の患者さんの診断は2枚目のイラストの如くでしょう。前立腺が大きければ前立腺肥大症、前立腺が普通の大きさであれば慢性前立腺炎・過活動膀胱と診断されます。治療しても治らなければ、気のせい・歳のせい・間質性膀胱炎と診断されるのです。表面的な考え方だけで病気を診断するので、症状は改善しないのです。本当の原因は排尿障害なので、排尿障害を治さなければ、各病気は治らないのです。

 私の考え方は、本質を治療するのです。

①排尿障害は前立腺の大きさとは無関係で、膀胱出口が十分に弛緩しないために、膀胱括約筋が肥大したのが原因なのです。

②排尿障害が原因で膀胱三角部にふ物理的に負担がかかり、たくさんの頻尿を作ります。

③その頻尿情報が多過ぎると、脊髄神経の尿意神経が頻尿の情報を拒否して、シナプス結合で他の神経に情報を流すのです。その結果、痛み・痒み・痺れ・胃痛・舌の痛み・肛門の痛み・坐骨神経痛・手足の痺れなどの複雑な症状になるのです。

難治性の非細菌性慢性前立腺炎の患者さんに、排尿障害を中心に治療すると、軽快します。

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排尿機能障害や具体的理由

Sphinc1膀胱出口が開くためには、尿道括約筋が開きながら引っ張ると、収縮している膀胱出口が開くのです。膀胱出口は、常に膀胱括約筋で閉じられているのです。一般の医師は、排尿時に膀胱括約筋が自らの力で開いていると思っているのです。

そして排尿障害のある人は、膀胱括約筋が緩まないからだと思い込んでいるのです。初めのイラストは正常の排尿の表示です。

左が蓄尿時を表現しています。膀胱括約筋と尿道括約筋のつながりの位置に注目してください。❶排尿時には、骨格筋である尿道括約筋が下に向きに開きながら引っ張ります。❷膀胱括約筋が閉じていても、尿道括約筋に負けて膀胱括約筋が引っ張られ、膀胱出口は開きます。❸さらに腹圧でオシッコが出るのです。

Sphinc2_20200810104301 次のイラストは、排尿障害の人の解説です。蓄尿時の膀胱括約筋と尿道括約筋の連結線(点線)をご覧ください。膀胱括約筋の外側につながっていて、尿道括約筋の外側に付着しています。

❶この状態で尿道括約筋が下に向きながら開くと、❷どう考えても膀胱出口は閉じるでしょう。❸その状態で腹圧をかけてオシッコをすると、出口が狭くなっていますから、ジェット流になって、オシッコは散るのです。そして膀胱内圧は上昇するので、膀胱粘膜や膀胱壁の筋肉(縦走筋・輪状筋)に負担がかかり、点状出血・ハンナー型潰瘍→間質性膀胱炎、肉柱形成→神経因性膀胱、膀胱憩室→先天性と誤診されるのです。そして膀胱括約筋に物理的負担がかかるので、生体反応が起きて、膀胱括約筋が次第に肥大してしまい、膀胱出口がますます狭くなり、さらに排尿障害が強くなってしまうのです。

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 3枚目のイラストは、膀胱括約筋と尿道括約筋を機械に見立てたものです。正常の場合は、膀胱括約筋(緑)と尿道括約筋(赤)が連結しています。尿道括約筋が外側に移動すると、膀胱括約筋は下向きに移動します。すると出口は開きます。

 排尿障害になりやすい人は、連結線が膀胱括約筋の外側に付着して、尿道括約筋にも外側に付着すれば、尿道括約筋が外側に移動すれば、膀胱括約筋は上向きになります。すると出口も上向きになりますが、膀胱内圧で負担がかかり出口は閉じてしまうのです。

 この膀胱括約筋と尿道括約筋の連結具合が人によって様々なので、排尿機能も様々なのです。手術で、この連結を修正することはできません。治療としては、膀胱括約筋の緊張をゆるめて、上向きにならないようにするのです。それがα1ブロッカーのユリーフ・ハルナールです。手術としては、出口の部分を切除すれば、膀胱括約筋が上向きになっても出口が閉じないのですから、出が良くなるのです。

Sphinc5 実際に1本の連結線が存在する訳ではありません。膀胱括約筋と尿道括約筋は何十本もの平滑筋線維と連結しているのです。しかし、その平滑筋線維の緊張度が均一でなければ、この連結線のお話しのような現象が起こるのです。そしてα1ブロッカーは全ての平滑筋の緊張を緩めるので、膀胱括約筋の平滑筋も連結線の平滑筋も緩めるので、私が解説した現象が低下して、排尿障害が改善するのです。

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 ご覧いただいて想像出来るように、この現象は前立腺とは無関係です。排尿障害が原因で膀胱括約筋が肥大して、それが原因で腹圧をかけると前立腺に負担がかかり、前立腺が大きくなるのです。この現象は男女問わないことになります。神経因性膀胱も排尿機能障害も具体的な概念のないウソの診断名になります。ですから、全ての排尿障害には、α1ブロッカーが必須です。

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原因不明の泌尿器科の病気①

Imuno6_20200727095301  原因不明の泌尿器科分野の病気としては、非細菌性慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、非細菌性慢性尿道炎、過活動膀胱、慢性骨盤疼痛症候群、陰部掻痒症があります。しかしながら、これらの病気の原因は実はすべて排尿機能障害です。当院に来院された、これらの病気で治らなかった患者さんの8割以上は、排尿機能障害に関連したお薬で症状は軽快しました。

❶非細菌性慢性前立腺炎

 男性の病気です。年齢は若年者から高齢者に認められます。症状は、軽度の頻尿、陰部の痛み、睾丸の痛み、射精直後の痛み、肛門の痛みなどです。前立腺が大きい場合には、前立腺肥大症と診断されますが、前立腺が小さければ、この病名になるのです。本当の炎症ではありませんから、抗生剤・抗菌剤・セルニルトン・エビプロスタットを処方しますが治らないと、主治医は「この病気は治らないから………」と言うのです。では、どうして主治医が排尿機能障害を調べないのでしょう。それは患者さんが排尿機能障害を自覚しないので、医師に訴えないからです。一般の医師は患者さんが訴えないと調べもしないのです。

 脳腫瘍・肺がん・胃がん・肝臓がん・大腸がんなどは、患者さんのほとどが症状は訴えません。検査で初めて診断できることが現実です。泌尿器科の医師は排尿障害が隠れていると考えるべきです。

 子どもの頃から、排尿機能障害があれば、それが自然で自分の体質だと思い込むのですから、排尿機能障害を患者さんが訴える訳もありません。その証拠に、「小学生の頃に授業が終わる45分ごとにトイレに行ってませんでしたか?」と質問すると、「え〜!なぜ分かるのですか?」と驚かれるのです。

 以前に解説したエコー検査の所見で、排尿機能障害は診断できるのです。

http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2020/07/post-a1c682.html

 体としては排尿機能障害をチョッとした頻尿しか自覚してくれないので、何十年もかけて頻尿以外の別の症状を作っていたのです。それこそ脊髄神経回路が工夫して関連痛症状を作り上げたのです。それが、陰部の痛み・痒み・痺れ、肛門の痛み・痒み、睾丸の痛み、坐骨神経痛などです。

 治療薬は、排尿障害の治療薬であるα1-ブロッカーであるユリーフ(シロドシン)、ハルナール(タムスロシン)です。隠れた頻尿を抑えるβ3作動薬のベオーバ、ベタニスも必要です。

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エコー所見で分かる、慢性前立腺炎の原因

 開業医となって31年間経ちました。患者さんの総数が3万7千800人にもなります。その中で多い病気か慢性前立腺炎で約7千人程になりました。

 その多くの患者さんの初診の時に、必ずエコー検査を行いました。それ程多くの患者さんをエコー検査を行うと、次第に見えて来る真実が分かりました。

 エコー検査所見の見方を解説しましょう。

Ecohnol 一般の医師は、エコー検査を見る時にエコー機械のオリジナルの画像しか確認しません。そして医師が確認するのは、前立腺の大きさだけです。つまり、前立腺肥大症が有るか無いかを確認しているだけです。そして前立腺に大きさが正常に近いと、前立腺肥大症ではないので、慢性前立腺炎と診断して、抗生剤・抗菌剤とセルニルトンを処方しているだけです。そして治らないと、気のせい治らないなんちせいの非細菌性慢性前立腺炎と診断するのです。右のイラストが正常の超音波エコー所見(側面像)です。

当然、治らないで苦しむ患者さんが、インターネットで当院を探し出し、何百何千人も来院されたのです。

Ecohcp ところがエコー検査所見を丁寧に観察すると、次第に見えて来るものがあるのです。前立腺結石、膀胱縦走筋の変形、見えない筈の膀胱括約筋の露出、膀胱出口のVの字変形、膀胱粘膜の硬化像、膀胱三角部の肥厚、静脈瘤、膀胱粘膜の肉柱形成などが認められたのです。これらの所見はどう考えても、長期間に渡る排尿機能障害が原因なのです。右のイラストは、慢性前立腺炎の患者さんの前立腺の特徴ある所見です。

 これに興味持ったのは、過去に慢性前立腺炎と診断さ7れたタクシー運転手さんが、地元の内科医から紹介されました。その患者さんは、当時、中目黒にあった有名な泌尿器科クリニックに通院していたのですが、症状が治らないので、悩んでいました。エコー検査で小さ目の前立腺肥大症だったのです。患者さんに「前立腺肥大症の手術をすれば、治るかもしれませんね」とお答えしました。すると、患者さんからご依頼を受けて、日帰りの内視鏡手術を行いました。術後、1週間ほどで、苦しんでいた会陰部の痛みが消えて、仕事のタクシー運転手さんに復帰出来たのです。

 これを機会に、『慢性前立腺炎の中には排尿機能障害が原因なんだ!』と思うようになったのです。その後、たくさんの慢性前立腺炎の患者さんが訪れることになり、排尿機能障害を中心とする治療で治る患者さんがたくさん出て来たので、自信を持ちました。

先ずは、エコー検査の方法です。エコー検査機械のスタンダードの画面では、特に異常がないと思えてしまいます。それを回避するためには、目的の画面を4倍〜16倍に拡大して観察すると、異常所見が見えて来るのです。

 実例を紹介しましょう。
Ecohcp37744pp 【症例❶】
 38歳の男性で、8回の軽度の頻尿、陰部の痛み、肛門の鈍痛で来院された患者さんです。地元の泌尿器科で慢性前立腺炎と診断され、セルニルトンとエヒプロスタツトの治療を受けましたが、まったく治りません。そこで、インターネットで検索して当院に来院しました。先ずは、エコー検査の標準画像です。どうですか?直ぐに見て異常の箇所が分かりますか?…特に気が付きませんよね。一般の医師は、この標準画像を見て、「前立腺大きくないし、別に問題はありません。慢性前立腺炎ですね。」と診断するのです。

Ecohcp377442pp  そこで、この標準画像を拡大します。この写真は標準画像の6倍です。そして、超音波の焦点位置とコントラストを調整して異常所見を明瞭にします。ご覧のように、膀胱縦走筋の変形、膀胱出口のVの字変形、膀胱括約筋の肥大が容易に認められます。

Ecohcp377443pp  エコー検査の正面画像を見ると、さらに新たな所見が得られます。前立腺と膀胱の間に見える白い部分が、膀胱括約筋です。一般の人の場合には、この膀胱括約筋がこれほど中央にまで侵出しません。これが膀胱括約筋の肥大なのです。膀胱括約筋は、膀胱の出口を閉める作用が主な仕事です。ですから膀胱括約筋が肥大しているという事は、それだけ膀胱出口が開き難いと言うことになります。また、膀胱括約筋の中に黒い影が見えます。これは前立腺周囲の静脈が拡張=静脈瘤を意味します。排尿機能障害が長年あると、膀胱括約筋が発達・肥大して、静脈が圧迫され続き、遂には静脈瘤になるのです。これを一般の医師は、うっ血(鬱血)があると考え、「骨盤内うっ血症候群」と訳の分からない病名を診断するのです。そしてうっ血の漢方薬である桂枝茯苓丸を処方するのです。うっ血の原因を考えないで、うっ血だけの対策の漢方薬を処方するのは、あまりにも非科学的の行いです。

 そこで、この患者さんの非細菌性・慢性前立腺炎の症状の原因が排尿機能障害であることが分かります。そこで、今回は治療薬として、α1ブロッカーであるタムスロシン(ハルナールのジェネリック)と隠れた頻尿の治療薬であるβ3作動薬であるべオーバを処方しました。排尿機能障害で過敏になった膀胱三角部は何十回という頻尿を作るのですが、この患者さんは1日8回ほどしか頻尿がないので、隠れた頻尿症状のエネルギーが、脊髄神経回路で別の知覚神経の中枢ルートに流してしまうので、いろいろな痛み感覚になるのです。それを回避するために、頻尿の治療薬であるβ3作動薬を処方するのです。

 なかなか治らない慢性前立腺炎の患者さんで困っている泌尿器科の医師にアドバイス致します。超音波エコー検査の所見の読影の仕方を、このブログを参考に勉強なさってください。

 

 

 

 

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夜間多尿の理由

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夜間頻尿の理由のひとつに「夜間多尿」という現象があります。夜間多尿は寝てからのオシッコの量が多い場合を意味します。定義として、1日の尿量の33%が夜間の尿量とします。例えば、毎日のオシッコが1.8リットルとすると、夜間だけで600㎖以上の尿量がある場合です。高齢者や高血圧の患者さんが、疫学的調査で夜間多尿が多く認められています。その理由について学会の有名な医師の説明によると、❶水分の摂り過ぎ、❷高齢者、❸抗利尿ホルモンの低下、❹塩分の摂り過ぎ、❺高血圧、❻腎臓に障害がある、等などの様々な理由をあげています。

 

多くの医師は、生化学的な観点からしか物事を考えないのです。そのため、理由が明確に追求できないのです。しかし、解剖学的構造学的な観点から考えると見えて来るものがあります。

Aortakidney 解剖学的腎臓の位置は寝ている時の姿です。起き上がっている時とでは、状態が異なります。起き上がると、腎臓の重さで下に移動します。おおよそ5cm以上です。10cm以上落下して症状がでると、「腎下垂・遊走腎」と云います。その症状が、腰痛、脇腹痛、吐き気などです。その理由は、腎下垂で腎動脈が引き伸ばされたために、腎血流量が低下して、ある意味で腎臓が阻血・虚血状態になるので、腎臓が痛くなり、腰痛・脇腹痛・吐き気になるのです。ちょうど、狭心症や心筋梗塞の胸の痛みと同じです。

Aortakidney2 高齢者になると、筋力が低下して、腹腔内の脂肪も減り、腎下垂の確率が高くなります。さらに動脈硬化のため、引き伸ばされた腎動脈の内腔が狭くなるのです。高血圧の人は、さらに動脈硬化が強いので、さらに狭くなります。

Yakantanyo_20200129112301 高齢者が日中に起き上がる、座る、立つと、腎臓は下垂して腎血流量が低下します。腎臓に注がれる水分が少なければ、日中の尿量は減少します。そのため排出できなかった水分が体内の細胞外液として残されてしまいます。寝て横になると、腎臓が元の位置に戻ります。血流が回復すると、体は「今がチャンスでだ!」と腎臓にたくさんの水分が流れて、たくさんの尿量が作られます。その結果、「夜間多尿」になるのです。排尿障害で膀胱容量が小さくなっている人は、当然、夜間頻尿になるのです。

昼間の水分が体内に残っている訳ですから、それを改善するために、夜間の抗利尿ホルモン分泌を抑えて多尿にするのです。

対策として、❶水分を控える❷昼間に1時間ほど昼寝したり横になることです。また、❸治療薬としては、合成抗利尿ホルモンのミニリンメルトOD錠があります。

 

夜間多尿はいろいろな原因説明がありましたが、本当の原因は動脈硬化と高齢者による腎下垂が原因です。その理由でいろいろな原因が一筋にまとまりました。

 

夜間多尿は、体を正常にするために、体に大量に溜まった水分を少しでも少なくする目的で、夜にオシッコをたくさん出しているのです。抗利尿ホルモン単独で夜間多尿を抑えると、さらに水分が体に溜まり、血液が水っぽくなる=低ナトリウム血症になり、頭痛、吐き気、食欲不振、錯乱、ケイレンなどの症状が発症して、本当の病気になってしまうのです。ですから、水分は控え目にすることと、日中に昼寝でもして、日中の尿量を増やしましょう。

 

 

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エコー検査で分かる膀胱出口の秘密構造

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エコー検査で膀胱出口を観察すると、側面像で見えるのは、一般的に膀胱三角部と膀胱排尿筋だけです。ところが、排尿機能障害が強く長期間であると、側面像に膀胱括約筋が観察されます。膀胱出口の正面像では、イラストで示すように、左右に膀胱括約筋(青色)常に確認できます。12時と6時の位置には膀胱括約筋は無い筈なのです。6時には膀胱三角部があるので、ないのは当然です。

 

Bsph5_20200103104401 それから考えると、排尿機能障害が強く長期間であると、左右の膀胱括約筋が次第に前後左右に肥大し大きくなり、12時の方向に伸びてイラストで示すように、左右が融合するのです。結果、側面像で膀胱括約筋が容易に確認できるのです。6時方向は膀胱三角部が排尿機能障害で次第に肥大して太く大きくなるので、膀胱括約筋はブロックされるのです。そのため、側面像でも下の位置には膀胱括約筋が観察できないのです。

膀胱括約筋が12時の位置で完璧に癒着・融合している場合と、癒着していない場合とでは、膀胱出口の開き具合が当然異なります。膀胱括約筋が12時の位置で筋肉が無ければ、膀胱出口は伸縮性があり開きやすいのです。しかし左右が12時の位置で癒着・融合ていれば、筋肉の硬さで容易には開かないでしょう。

D2d14a115c7c4fbabc470ab37674338b 以上から、膀胱括約筋の形は完全な円形ではなく、最大で【1時〜5時】と【7時〜11時】に存在するだけです。下部尿路症(慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱・前立腺肥大症・膀胱疼痛)の患者さんの初診の際には、必ずエコー検査で側面像を観察しましょう。側面像で膀胱括約筋を見つけたら、「排尿機能障害」を確認したことになるのです。この写真では、膀胱括約筋はほぼ見えません。ところが、いろいろな患者さんを拝見すると、膀胱括約筋がハッキリと見えるのです。

もちろん患者さんによっては、12時の位置に膀胱括約筋が確認出来なくても、排尿機能障害が隠れている人も、膀胱括約筋が確認できても排尿機能障害のない人もいます。人はいろいろですからね。

Bsph1pp 【症例①】#22853男性29歳   以前から睾丸が痛くて何軒も泌尿器科で診察を受けましたが、「慢性副睾丸炎」と診断されて、治療を受けるも全く治らなかったのです。そこでインターネットで当院を見つけ来院されました。側面像で膀胱括約筋が白く確認できます。

 

Bsph2pp 【症例②】#22808男性65歳   頻尿・尿意切迫感の症状で悩まれた高齢者です。地元の泌尿器科で前立腺肥大症だから仕方がないと診断されたのです。膀胱括約筋が白く確認できます。膀胱三角部も発達しているので、頻尿・尿意切迫感が生じるのです。αブロッカーとβ3作動薬で症状は軽快しました。

 

Bsph3pp 【症例③】#22707男性45歳 尿道口の痛みがなかなか治らず、非細菌性慢性尿道炎と診断された患者さんです。抗生剤をいくつもたくさん内服しましたが治らないのです。膀胱括約筋が白く確認できます。膀胱三角部も発達しています。αブロッカーとβ3作動薬で尿道口の痛みは無くなりました。

慢性前立腺炎のエコー所見  http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/2007/03/post_b4e1.html

間質性膀胱炎のエコー所見  http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2007/03/post_b4e1.html

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慢性前立腺炎がなかなか治らない患者さんへ

慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、難治性過活動膀胱でなかなか治らない患者のお役に立てれば良いと思い、主治医に下記の文面を参考にお渡しください。

************

日本全国から慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・難治性過活動膀胱などの患者さんが、たくさんおいでになります。その原因のほとんどが排尿機能障害です。しかしながら、患者さんが自覚しない軽微な排尿機能障害が原因なのです。現代医学では、原因不明の病気として対処するのは、科学的とは言えません。

ところが、患者さんが自覚しないために、警告するために患者さんの脊髄神経回路が工夫して、医師が予想しないさまざまな症状、頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁・さまざまな痛みやシビレ感やかゆみなどの症状になるのです。その症状に応じて、関与した医師が、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、難治性過活動膀胱、膀胱疼痛症、慢性骨盤疼痛症候群などの病名が付けられて、症状に応じた対症療法しか行わないので、患者さんがなかなか治らないのです。「原因不明」のまま教科書やガイドライン通りに治療することは、非科学的な行為そのものです。

80f658b9d2d34c6f831bbe387ede7f0a 地元の主治医先生にお願い申し上げます。ウロフロメトリーや残尿測定や前立腺の大きさに明確な異常が無くても、軽微な排尿機能障害が膀胱三角部と脊髄神経回路を介して、イラストのように症状を作っていると思ってください。

①そして第1の治療は、排尿機能障害の治療薬としてα1ブロッカー(ユリーフ、ハルナール、フリバス、エブランチルなど)を必ず使用してください。ご婦人の場合は、使用出来る保険薬はエブランチルしかありません。反応が弱ければ、ユリーフ・シロドシンを処方してください。もちろんご婦人の場合は、保険適応外になるので、自費で処方されたら助かります。シロドシンだとジェネチックですから、1カ月分2千円ほどですから、患者さんへの負担が少ないのです。もしも治療を優先するのであれば、ご主人やお父様の許可を得て、保険で処方して頂ければ、患者さんは医師の使命感にとても感謝されるでしょう。

②尿意センサーである膀胱三角部の興奮を鎮めるために、β3作動薬であるベオーバ、ベタニスを使用してください。頻尿だけでなく、痛み、痒み、しびれ、違和感にも効果が得られます。

③β3作動薬で不十分な場合は、抗コリン剤のベシケア、トビエースなどを使用してみてください。

④前立腺が大きければ、アボルブを併用すると、症状の改善を補助します。

⑤経過が長いために、脊髄神経回路の完成度が高く、とても興奮しやすいと、上記のクスリだけでは、なかなか治りません。その場合は、トラムセット、リリカを併用してみてください。

少なくても3ヶ月間の治療は続けてください。お願い申し上げます。この病気は高血圧や糖尿病と同じで、治る病気ではないので続けてください。症状が落ち着いたら、処方量を患者さんに応じて減らしても構いません。よろしくお願い致します。

ご質問は下記にどうぞ。
高橋クリニック 高橋知宏(無名の開業医)
東京都大田区中馬込2-22-16
03ー3771ー8000

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泌尿器科の病気の全体像

Lutstotal泌尿器科の病気には、数多くの原因不明の病気がたくさんあります。原因不明のまま治療します。でもそれは、根治的治療ではなく、対症療法なのです。実は、根本的原因が患者さんの自覚しない排尿機能障害が原因なのです。患者さんが訴えもしない排尿機能障害を医師が調べもせずに、目の前の症状だけに振り回されて、さまざまな病名・病気が作られるのです。

ここで示した病気・病名は、それぞれ私が何十人も実際に治療して、治した経験のある患者さんばかりです。

原因が1つなのに、こんなにたくさんの病気になってしまうのは、脊髄神経回路=生きたソフトウエアに依存するからです。情報量の多さによって、ソフトウエアが次々にバージョンアップ(過剰更新)するからです。ただし、そのバージョンアップが、患者さんに警告するだけでなく、苦しめ悩ませるから原因不明の病気になってしまうのです。

排尿機能障害→【無自覚】

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膀胱出口の肥厚➡︎➡︎➡︎膀胱出口の過敏

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       ⬇︎⬇︎⬇︎              脊髄神経回路の工夫

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    排尿障害→【自覚】 ❹過活動膀胱:頻尿・尿失禁

       ⬇︎⬇︎⬇︎                ❺間質性膀胱:頻尿・痛み

❶前立腺肥大症            ❻慢性前立腺炎:痛み・しびれ

❷神経因性膀胱            ❼膀胱疼痛:痛み

❸PSA髙値                 ❽慢性骨盤疼痛症候群:痛み

                                 ❾陰嚢掻痒症:かゆみ

                                 ➓❶カンジダ性膣炎:かゆみ

                                 ➓❷慢性胃痛症:痛み

                                 ➓❸坐骨神経痛:痛み

                                 ➓❹舌痛症:痛み

                                 ➓❺幻臭症:臭い

                                 ➓❻頸肩腕症:痛み

                                 ➓❼四肢振戦:運動神経

                                 ➓❽四肢しびれ:知覚神経

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排尿機能障害の証拠

排尿機能障害が原因で、見せかけ上の様々な病気が発症します。前立腺肥大症、慢性前立腺炎、慢性尿道炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症、慢性骨盤疼痛症候群などです。

これらの病気の検査で排尿機能障害を確認するための、尿流曲線検査ウロフロメトリー、膀胱内圧測定検査を行っても、極端な後遺症が出なければ、異常と認められません。明確に確認される場合は、その時点で「神経因性膀胱」と診断されだけです。それまでは、初めのたくさんの病気として苦しまれるだけなのです。そして、神経因性膀胱と診断されても、治療方法がないのです。

そのような経過にならないように、事前に知るべきなのです。その検査が、エコー検査なのです。そこで、エコー検査の主な特徴的な所見を解説しましょう。

Ef77601868eb4e1c82f3ee62ccc752b3❶膀胱出口がVの字:健常であれば、膀胱出口は少し凹んでいるか、ほぼ平の筈です。ところか、排尿機能障害が長期間継続すると、出口の周囲が膀胱サイドに飛び出てくるのです。

Oab36619f56pp❷膀胱排尿筋の走行異常:膀胱括約筋に柔軟性が無くなり、排尿する際に膀胱出口が開かないまま、尿道括約筋の方向にオシツコの度に引っ張られます。すると、膀胱排尿筋が出口と一緒に尿道サイドに引っ張られるので、膀胱排尿筋の方向が偏位するのです。この偏位が、膀胱三角部に影響を与えるのです。

6e0bc90c56b14b66a8f85be81f86547b❸膀胱排尿筋の形態変形:引っ張られる力のエネルギーベクトルの幅が広いと、膀胱排尿筋が変形してしまいます。ヘビの口だったり、お団子状になるのです。この写真では、まるでヘビが大きな口を開けているように見えます。患者さんの苦しんでいる姿を見ると、ヘビに憑かれているように思えて仕方がありません。

❹膀胱三角部の肥厚:膀胱排尿筋が引っ張られると、膀胱粘膜と膀胱排尿筋の間に隙間が空きます。生体ですからスペースをそのままにはしません。そこに周囲の細胞が増殖して埋め合わせをするのです。それが膀胱三角部の肥厚です。

Calprostpp❺前立腺結石:膀胱出口が十分に開かないで排尿すると、尿道内に流れる尿流は、ジェット流になります。ジェット流は尿道粘膜に傷害を与え、粘膜がボロボロになったために、そこに尿中のシュウ酸リン酸カルシウムが付着して石灰が出来ます。石灰が大きくなると尿道が塞がるので、それを避けるために石灰が少しずつ前立腺に吸収されます。それが積もりに積もって前立腺結石なるのです。

Calurethpp❻尿道周囲結石:前立腺結石と同じ理由で、ご婦人の尿道周囲にも石灰・結石が蓄積します。写真は、なかなか治らない慢性膀胱炎で来院した37歳のご婦人の超音波エコー所見です。尿道の知覚に明確な結石が認められます。

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❼膀胱頸部の静脈瘤:一般的に瘀血(おけつ)と呼ばれる状態です。排尿時に膀胱出口が十分に開かないと、排尿の圧力(腹圧・膀胱圧力)がすべて膀胱出口=膀胱頚部に物理的負荷がかかります。当然、膀胱頚部周囲の血流が悪くなり、うっ血状態になります。その結果、静脈が拡張して、静脈瘤になるのです。写真の赤い矢印がすべて静脈瘤です。瘀血に対して血流を良くするために、漢方薬である桂枝茯苓丸を処方されますが、原因を解決しないで、血流だけを良くして何の効果があるだ?と思います。

Bnspp❽膀胱出口の硬化像:排尿の際に、膀胱出口が十分に開かないでオシッコをすると、膀胱出口はブルブル震えて振動します。その状況が毎日何回も何年も起きれば、膀胱出口は振動に負けないように硬くなるのです。硬くなればなるほど膀胱出口の振動は強くなりますから、膀胱出口はますます硬くなるのです。その結果、エコー検査の所見では、出口部分が白く見えるのです。

61c385b29a234f628b9234a0f1e47f27❾前立腺肥大症:前立腺の健常な大きさは、20CCです。これを少しでも超えたら前立腺肥大症と診断されます。この写真は、大きさが60CCを超えています。さらに膀胱出口がVの字で膀胱三角部が膀胱側に飛び出ており、膀胱排尿筋が膀胱出口から距離があり、だるま状に収縮しています。

以上のどれか一つでも所見があれば、排尿機能障害が隠れていると判断して治療するべきです。

 

 

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