博多で開催された日本泌尿器科学会に出席しました。九州大学大学院泌尿器科が主催です。クリニックを4月13日(木)~4月15日(土)の間休診にしてまでの参加でした。
しかし学会の発表は、残念ながらそれほど変化のある内容ではありませんでした。でも学会場で開いている医学書店でたまたま購入した専門書が大当たりでした。
医学図書出版株式会社刊 LUTSエキスパート・マネジメントという題の医学書です。コーネル大学ヴァイル医科大学・ニューヨーク医科大学の教授らが書いたLUTS(lower urinary tract symptons 下部尿路症)の専門書で、帝京大学泌尿器科の医師が翻訳したものです。
目次をご覧になれば分かりますが、私が今までこのブログで詳細に解説したような、世間で「気のせい」「年のせい」「慢性前立腺炎」と診断されてしまうような症状で苦しむ患者さんと同じケースの方々が、実は排尿障害であったということが詳細に解説してあります。しかし、執筆者たちは難治性の慢性前立腺炎=排尿障害とは気付いていないようです。また関連痛についての記載が皆無であるのは不思議です。
前立腺肥大症や尿道狭窄の患者さんは一定の割合で関連痛を訴えます。それが皆無であるということは、恐らくは執筆者らが意図的に削除したのでしょう。なぜなら関連痛は神経症的症状として判断されやすく、客観性に欠け誤解を招くので、編集・監修の段階で全て排除したのでしょう。
神経学的検査アプローチがメインで、私とは若干アプローチが異なりますが、本質的には同じです。
この本をお読みになって、「な~んだ!ただの排尿障害の専門書じゃない。」とお感じになった貴方、慢性前立腺炎を原因不明の一生の病気だと安易に診断する医師と50歩100歩です。目の前の見えている事しか判断・理解できない医師と同じです。
隠れ排尿障害を懸命に探そうとしている医師がアメリカにも存在したことに私は喜んでいます。
画面をクリックしてLUTSの定義にについてお読み下さい。
私は、非細菌性慢性前立腺炎も間質性膀胱炎も全て排尿障害が原因のLUTS範疇内の病気だと考えています。
この本をご希望の方は、サイドバーの推薦書をクリックして下さい。定価5,250円と高価ですが、慢性前立腺炎の本質を見極めるためには良い教材です。
全部で41症例掲載されています。
その中で慢性前立腺炎と誤診された方の第12例目をここで紹介します。それぞれの写真をクリックすれば、読める大きさに拡大します。順番は左からです。
過去に前立腺炎と診断された、頻尿を訴える25歳の若者に対して、ここまで詳細に調べる医師が日本に存在するでしょうか?
専門書ですが、素人が読んでもだいたい理解でる筈です。
典型的な非細菌性慢性前立腺炎=隠れ排尿障害という知識が常識になるのはいつのことでしょう?掲示板などを読むと、未だに表面的な関連痛だけに惑わされて右往左往している患者さんが多いのに驚きます。単純に表面的な症状=病気の本質であれば、私も含めて医師は完全に治療できるでしょう。ところがそうではない所に、病気の難しさがあるのです。
2チャンネルの諸君、オープンな掲示板ですから私も時々読ませていただいています。カチンと頭に来ることもありますが・・・。意見は10人10色ですから仕方がありませんね。
「反論とも言える内容に変わってる。しかも最初から疑問に思ってたように書いてあるのがまた・・・」
私のブログ内容に関する批判や疑問に対して、当然のように答える義務があると思っています。そうすることでブログ内容が充実し完成度が高くなり、誰が読んでも理解できるでしょう。生命システムのフィードバック・コントロールのようなものです。また、私の治療がマイナスイメージになる患者さんのレポートもドシドシ掲載していくつもりです。私にとって都合の良いことばかりを掲載するのでは、体裁ばかりで面白くないでしょうから。




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