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過活動膀胱の治療薬

 過活動膀胱の治療薬である頻尿治療薬である、抗コリン剤(トビエース・ベシケア)とβ3作動薬(べオーバ・ベタニス)があります。一般の医師は、単なる頻尿治療薬としか思わないで、処方しているだけです。

 抗コリン剤の作用するムスカリン受容体と、β3作動薬の作用するβ3受容体は、膀胱に均一に分布している訳ではなく、また人によって同じではありません。ですから、この事を常に想像して患者さんに工夫して処方をするべきです。

 しかしながら、それぞれの受容体(ムスカリン受容体・β3受容体)の分布が人によって違うという事は、実証はされてはいません。ムスカリン受容体もβ3受容体も膀胱全体にあると思われていますが、臨床経験上、そうではないと私は考えています。ムスクあリン受容体おはほぼ全域に存在し、β3受容体は膀胱三角部を中心に存在すると考えています。そこで、私が40年以上も患者さんと接すると、思い付いてだんだんと予想できることがあるのです。

Juyotaim_20200903102201❶イラストのように、🅰️ムスカリン受容体は膀胱のほぼ全体に分布する人と、🅱️膀胱の体部だけに分布する人に分かれます。
🅰️の患者さんに抗コリン剤を服用すると、膀胱全体と出口の平滑筋の緊張が緩むので、腹圧をかけると、尿がスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんが抗コリン剤を服用すると、膀胱大部だけが緩むのですが、膀胱出口は緩まないので、腹圧をかけると、相対的に膀胱出口が収縮してしまうので、オシッコが出にくくなったり、尿閉になる人が出て来ます。

Juyotaib_20200903102201❷β3受容体が🅰️膀胱三角部周囲から出口まで分布する人と、🅱️膀胱出口には分布しない人がいます。
🅰️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱出口周辺が緩むので、腹圧がかかるとオシッコはスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱三角部だけが緩んで膀胱出口が緩まないので腹圧をかけると膀胱出口が閉じてしまい、尿が出にくかったり、尿閉になることがあります。

以上のパターンの組み合わせ、❶🅰️🅱️と❷🅰️🅱️との組み合わせで、2✖️2=4タイプの人が存在します。最近では、抗コリン剤とβ3作動薬の併用で、頻尿を抑える効果が期待されていますが、必ずしも上手くいくとは限りません。特に【❶🅱️+❷🅱️】タイプの人は頻尿が減るかも知れませんが、オシッコの出が悪くなる可能性が高くなるのです。

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コメント

山梨在住の65歳です。6年程前に前立腺肥大の診断を受け、その後会陰部の違和感が始まり、慢性前立腺炎の診断を受けました。近医にてザルティア、セルニルトン、タムスロシンを中心に内服を継続していましたが、症状の改善がみられず、2年前にはPSAが7.1まで上昇したためMRI検査を実施しましたが癌の所見は無くアボルブ0.5mgの服用を開始しました。
2018年12月に上京し高橋先生に診察していただき、処方に従って、アボルブ、ユリーフ、ベタニスを中心に近医より処方してもらっていました。2019年以降、PSAは2.4~2.8で推移していましたが、今月の検査で3.8まで上昇してしまいました。掛かり付け医の指示で、今年の7月よりベタニスを中止し、アボルブとユリーフの2種類のみにしたのですが、今回のPSA上昇とは何か関係があるのでしょうか? 
また、最近頻尿傾向であることを医師に話しましたら、べオーバ錠50mgが処方されました。この薬は今後も飲み続けた方が良いのでしょうか?
【回答】
頻尿が増加すると、排尿時の圧力が前立腺に何回も負担され、PSA値が上がるのでしょう。」

また、PSAの上昇が気がかりなのでMRI検査を受けた方が良いのでしょうか? 本当は高橋先生の診察を受けたいのですが、コロナ禍もあり上京出来ません。お忙しいところ恐縮ですがアドバイスを宜しくお願い致します。
触診で前立腺ガンが触れなければ、何もしなくていいでしょう。

投稿: | 2020/11/14 23:20

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