50例 慢性前立腺炎と誤解された若者の膀胱頚部硬化症
若年者(10歳代~29歳まで)の非細菌性慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の原因である原発性膀胱頚部硬化症を多くの泌尿器科医にサッパリ認知されていないので、ここでは男性の実例を挙げていく試みをします。
予定としては50症例です。このくらいの数だと泌尿器科学会で報告した際に、ある程度体裁が整うでしょう。少しずつリアルタイムで掲載していきます。来年(平成23年4月)の名古屋で開催される第99回日本泌尿器科学会総会の報告まで間に合うかどうか、こうご期待です。また、私しかできない3D超音波エコー検査は原則として判断材料にはせずに(参考に供覧するかも知れませんが)、医師であれば誰でもできるであろう2D超音波エコー検査と尿流量測定(ウロフロ)を検査の軸にします。
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【1】
患者番号24085 24歳男性です。
4年前から頻尿で苦しんでいます。1日20回~30回の頻尿です。これまでに関西の大学病院を含めた5軒の泌尿器科を受診しています。診断名は「過活動膀胱OAB」です。
この写真は超音波エコー検査の側面像です。膀胱出口の左に膀胱三角部が台形状に盛り上がっています。通常膀胱三角部は超音波エコー検査ではほとんど描出されませんから、この時点で正常ではありません。
前立腺の大きさは21ccです。若い人の前立腺の大きさの正常は15cc以下と私は考えていますから、少し大きくなっています。排尿障害の振動刺激による前立腺の反応性肥大です。 膀胱出口・括約筋間距離(膀胱括約筋と膀胱出口との距離)は10mmで距離が少し離れています。正常は5mm以下と考えています。
注:膀胱出口・括約筋間距離(Outlet-sphincter-distanceあるいはOrifice-sphincter-distance略してOSD)は私の造語ですから常識と思わないで下さい。
尿の勢いの検査=排尿曲線です。 腹圧性のよわよわしい排尿です。前立腺肥大症のそれと似ています。
最大尿流速度9.3mL/秒(正常25以上)で平均尿流速度4.6mL/秒(正常15以上)でした。
主要下部尿路症スコア(CLSS)は18点(正常は0点~5点以下)、QOLは6点(正常は0~3点以下)です。患者さんの辛さは強いと判断します。
この患者さんは結果として、内視鏡手術を希望されました。手術後1週間しか経過しませんが、頻尿は10回~15回に減少(以前は20回~30回)しました。以前にあったという膀胱(下腹部)の締め付け感と陰茎の痛みもなくなりました。下腹部の締め付け感が消失した代わりに下腹部がスースーと感じるそうです。1ヶ月後の診察が楽しみです。
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【2】
患者番号23994 25歳男性です。
中学生の頃から(10年以上前)、1日16回以上の頻尿です。夜間も3回尿で眼が覚めます。常に尿意切迫感が付きまとい、月に1回くらいは間に合わなくて尿失禁してしまいます。有名な泌尿器科クリニックを受診して「過活動膀胱OAB」と診断されましたが、治りません。
2D超音波エコー検査の側面像です。膀胱出口・括約筋間距離は13mm(正常は5mm以下)と距離が離れています。前立腺の大きさは16ccでほぼ正常です。
排尿曲線は正常型ですが、力強くありません。
最大尿流速度19.5mL/秒、平均尿流速度9.9mL/秒です。
内視鏡検査では、膀胱頚部硬化症特有の柵形成(Bar in the sky)を認めます。
主要下部尿路症スコアは10点(正常5点以下)、QOL6点(正常3点以下)です。
この患者さんは内視鏡手術を行い、1日の排尿回数は5回(治療前は16回以上)、夜間は尿で起きなくなりました。尿意切迫感は、手術前の具合の悪さを100%とすれば、現在5%以下だそうです。もちろん尿失禁は、手術後3ヵ月経過しましたが一度もないそうです。
主要下部尿路症スコアは10点から1点に改善し、QOLも6点から0点に正常化しました。
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【3】
患者番号24296 28歳男性です。
8年前から右の睾丸の不快感(引張られる感覚・鈍い痛み)を感じていますが治りません。いくつかの病院を受診しましたが「異常なし」です。排尿回数は1日5回~6回、夜間は起きません。
2D超音波エコー検査で観察すると膀胱出口が山のようにせり出しています。膀胱出口・括約筋間距離は14mm(正常5mm前後)と離れています。前立腺嚢胞も確認できます。
山の左右の頂上に硬化像を認めます。膀胱頚部硬化症です。
前立腺の大きさは18ccと年齢の割には大きくなっています。この年齢の正常は10cc~15ccです。
主要下部尿路症スコアは1点と正常ですが、QOLは6点と具合の悪さを表しています。
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【4】
患者番号24327 27歳男性です。
約1ヵ月前から陰茎皮膚の痛み(ジンジン)を感じ、皮膚科で抗生剤や軟膏の治療を受けましたが、まったく改善しないために高橋クリニックを訪れました。痛む場所の皮膚は問題ありません。
2D超音波エコー検査で膀胱出口の硬化像を容易に認めることができます。前立腺の大きさは20ccと年齢からすると大きい方です。1日の排尿回数は9回(正常7回以下)と多めです。
膀胱出口・括約筋間距離は19.8mm(正常5mm前後)で異常を認めます。
主要下部尿路症スコアは2点、QOL4点でした。
主要下部尿路症スコアの欠点は、畜尿症状と排尿症状を中心に評価していますから、この患者さんのように痛みだけの場合、スコアが低く出ます。
3D超音波エコー検査で確認すると、直感的に膀胱出口の硬化像を確認できます。
硬い出口がリング状になって確認できます。
膀胱三角部は膀胱括約筋ほど硬くないので、3D超音波エコー検査では透明で描出されません。そのため膀胱出口の下唇に見える部分が強調されて、リング状に観察されるのです。
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【5】
患者番号24231 21歳男性です。
2年前から睾丸が痛く苦しんでいます。痛みは右だったり左だったり移動性の痛みです。
泌尿器科を7軒ほど受診しましたが、いずれも「分からない」、「非細菌性慢性前立腺炎」の病名です。
膀胱出口の腹側が山のように盛り上がっています。前立腺の大きさは12ccで正常です。
膀胱出口・括約筋間距離は11mm(正常5mm前後)と異常を示します。
睾丸の痛みは、排尿障害→膀胱三角部過敏→関連痛の病態から来るものだと思われます。
この患者さんの尿流量測定です。
膀胱頚部硬化症や慢性前立腺炎の患者さんの特徴であるギザギザ排尿曲線です。排尿量は474mlもあるのに最大排尿速度は25ml/秒前後で頭打ちになっています。57歳の私でさえ410mlの排尿量で最大排尿速度は45ml/秒を超えていますから、21歳では排尿障害の排尿曲線です。
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【6】
患者番号23967 25歳男性です。
6年前から尿の出が悪いと感じるようになりました。寝ていると15分毎に突然尿意を感じることがあります。1日の尿の回数は10回以上、夜間は2回です。
地元の泌尿器科で「慢性前立腺炎」と診断されています。
超音波エコー検査で、前立腺の大きさは20ccと年齢的には大きいです。
膀胱出口・括約筋間距離は14mm(正常5mm前後)と距離があります。
尿流量測定検査の所見です。
排尿曲線は25歳にもかかわらず、「前立腺肥大症」型で排尿障害を強く示唆します。
主要下部尿路症スコアは15点、QOLは6点です。
α-ブロッカーの4ヵ月治療により、主要下部尿路症スコアは10点にQOLは5点になりました。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は36点が11点に改善しました。
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【7】
患者番号23518 29歳男性です。
3ヵ月前から残尿感・頻尿・排尿障害を訴えています。地元の2軒の泌尿器科で「慢性前立腺炎」と診断されました。
頻尿は1日10回~20回です。夜間は起きません。
2D超音波エコー検査では、膀胱出口の硬化像と前立腺結石を認めます。
膀胱出口・括約筋間距離は14mm(正常5mm前後)と距離が長いです。
尿流量測定ではご覧のようにダラダラと力のない排尿曲線です。前立腺肥大症型の曲線です。自尿は336mlですが、残尿は187mlと紙コップ一杯分の量が優に存在します。
主要下部尿路症スコアは8点、QOLは5点でした。α-ブロッカーの服用により頻尿は1日7回以下になりました。治療8ヵ月で主要下部尿路症スコアも4点、QOLも4点に下降しています。
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【8】
患者番号24357 27歳男性です。
5ヵ月前から陰茎の根元がかゆくて仕方がありません。地元の泌尿器科を受診して治療しているのですが、治りません。
2D超音波エコー検査では、前立腺の大きさ19ccと若干大きめです。膀胱出口の硬化像を認めます。膀胱出口・括約筋間距離は13mm(正常5mm前後)と長めです。今日は尿をためた状態では来院しなかったので尿流量測定検査(ウロフロメトリー)はできませんでした。
主要下部尿路症スコアは0点ですが、QOLは痒みのため6点満点で5点です。
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【9】
患者番号18317 来院時20歳の男性です。
症状は毎日右下腹部に走る「ズキン」という痛みです。1日に5回ほど前触れもなく起こるのです。
2D超音波エコー検査では膀胱出口硬化像と膀胱三角部の肥厚を認めます。
膀胱出口・括約筋間距離は11mm(正常5mm前後)ですから長めです。前立腺の大きさは13ccと小さめです。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のようにダラダラした排尿曲線を示します。前立腺肥大症と膀胱頚部硬化症の中間型の排尿曲線です。
自尿は689mlでしたが、残尿は267mlと大量でした。
早速、α-ブロッカーの服用を始めたところ、痛みは激減し、平成17年11月から平成22年4月に至るまでコンスタントに通院しています。
主要下部尿路症スコアは11点から5点に改善しました。QPLも6点から4点に加工しました。
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【10】
患者番号23193 来院時24歳の男性です。
2年前から会陰部痛・睾丸痛が発症、都内の有名な泌尿器科クリニックを受診するも、「よく分からない」「何の病気でもない」とあまり相手にされませんでした。
私のブログを参考に、エブランチルを希望し服用していましたが、痛みが陰部から腰痛に移動するようになったので、高橋クリニックを受診しました。
2D超音波エコー検査では、膀胱出口の硬化像と膀胱三角部の肥厚を認めます。膀胱出口・括約筋間距離は10mm(正常5mm前後)と長めです。
前立腺の大きさは12ccと小さめです。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は高さの出ない前立腺肥大症型です。自尿は215mlで残尿は28mlでした。
水分制限とα-ブロッカーの服用で症状が少し軽快しましたが、患者さんは内視鏡検査を強く希望され、手術になりました。
この写真は手術直前の内視鏡所見です。膀胱頚部硬化症特有の柵形成を認め、麻酔がかかっているにもかかわらず、膀胱出口は2mm前後しか開いていません。
内視鏡手術直後の所見です。せりあがっていた柵形成部分を切除して膀胱出口を開放しました。もちろん膀胱三角部も処置しました。術前の所見と比較すると明らかに異なる膀胱出口です。
術後会陰部痛・睾丸痛・ペニス痛は消失しました。
術前の慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は22点でしたが、今現在(平成22年8月)10点です。
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【11】
患者番号23543 28歳男性です。
平成21年6月から陰茎が痛くなりました。8月に高橋クリニックを受診し、排尿障害を疑ったので、水分制限を指示したところ、陰茎の痛みは消失しました。
平成22年になって今度は会陰部が不快になり、4月にふたたび高橋クリニックを受診しました。
2D超音波エコー検査では膀胱三角部の硬化像が認められます。前立腺の大きさは15ccで正常です。
膀胱出口・括約筋間距離は11mmと長めです。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)ではご覧のように大波小波のダラダラした勢いのない排尿曲線を示しています。自尿は679mlですが、残尿は173mlと大量です。
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【12】
患者番号24428、23歳男性です。
2年前から会陰部痛(特に長時間座ると)で悩んでいる患者さんです。地元の泌尿器科で「慢性前立腺炎」と診断を受け、抗生剤、セルニルトンを処方されましたが効き目はありませんでした。唯一、α-ブロッカーであるエブランチルは効果がありましたが、全身倦怠の副作用があったので、中止しました。
超音波エコー検査では、膀胱出口・括約筋間距離14mm(正常5mm前後)で異常です。前立腺の大きさは13ccで正常範囲内です。
主要下部尿路症スコアは4点、QOLは4点でした。患者さん本人の訴えの割には、スコアは上がりません。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のように、20歳代の男性の尿の勢いとしては『どうでしょう?』という印象です。
エブランチルの副作用があったので、今回は水分(お茶・コーヒーを含む)摂取を控えることを治療としました。
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【13】
患者番号24432、26歳男性です。
3週間前から仕事中に1時間~1時間半に1回のペースで尿意を感じトイレに行くようになりました。さらに、左ソ径部も痛くなり高橋クリニックを受診しました。
超音波エコー検査では、ご覧のように膀胱出口の硬化像を認めます。
前立腺の大きさは12ccで正常、膀胱出口・括約筋間距離は11mmと長めです。
超音波エコー検査正面画像では、膀胱出口のV字にそって硬化像が数珠状に確認できます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、中途半端なギザギザの膀胱頚部硬化症型排尿曲線です。
主要下部尿路症スコアは、仕事中のみの頻尿なので2点です。QOLは3点でした。1日1.5リットル以上水分を摂取しているので、1日1リットル~500mlまで制限するように指示しました。
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【14】
患者番号24373、22歳の男性です。
3年前から右の睾丸の痛みが続き、高橋クリニックを受診しました。触診上も視診上も左右の睾丸に差はなく、副睾丸炎・陰嚢水腫・睾丸腫瘍などの所見は認められません。
尿を十分にためて来られなかったので、尿流量測定検査(ウロフロメトリー)はできませんでしたが、超音波エコー検査でもある程度推理できます。
前立腺の大きさは14ccで正常範囲内です。膀胱出口・括約筋間距離は10mmと長めです。
膀胱括約筋の肥厚が認められます。膀胱三角部の表面にも硬化像が認められました。
早速、α-ブロッカーを処方し治療開始です。
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【15】
過去(25歳)に膀胱頚部硬化症の内視鏡手術を行った29歳の患者さんです。
内視鏡手術後1年間は下半身のしびれ感は軽快しましたが、その後再び症状が出現し、地元のクリニック(神経科・ペインクリニックなど)で治療しましたが、症状がますますひどくなり、再び高橋クリニックを訪れました。平成18年9月の手術以来初めての診察です。「手術後なぜ通院しなかった!」とさんざん注意されたのは、私の性格からすれば容易に想像できるでしょう。
この超音波エコー検査では、どこを手術したのか分からないくらい治って(再発?)います。前立腺の大きさは16ccでほぼ正常、膀胱出口・括約筋間距離は16mmとかなり長めです。膀胱三角部は台状に突出しています。
平成18年当時の超音波エコー検査所見とほぼ同じです。
これは平成18年当時の尿流量測定検査(ウロフロメトリー)です。膀胱頚部硬化症特有のギザギザが目立つ排尿曲線です。このとき自尿が238ml、残尿が269mlもありました。その際に再度排尿してもらい、2回目の残尿が128mlと排尿障害が強く検査に表れていました。
平成22年5月の尿流量測定検査(ウロフロメトリー)です。
ギザギザはなくなり左右対称のきれいな排尿曲線ですが、高さが足りません。残尿は8ml以下と前回と比較すると2ケタ違います。
本人の強い希望で、今月内視鏡手術になります。
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【16】
患者番号24110、26歳の男性です。
18歳の頃から残尿感と頻尿で悩んでいました。
地元の泌尿器科を受診、何と「前立腺肥大症」と診断されたのです。18歳の若者に前立腺肥大症の病名を付けた医師のセンスを疑います。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は21点でした。
超音波エコー検査では、確かに前立腺は大きく、大きさ34cc(正常20cc以下)です。
膀胱出口は硬く、前立腺周囲の静脈は拡張していて、排尿障害を示唆します。
膀胱出口・括約筋間距離は21mm(正常5mm)と長く、膀胱出口の形も変形しています。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、一見正常です。
膀胱出口が固く閉ざしている割には、勢いがいいのです。おそらく、膀胱の筋力と腹圧の関係で、一見正常の勢いに見えます。まるで倒産する会社の粉飾決算のようです。
超音波エコー3D検査画像では、ご覧のように、出口が真一文字に結んだように見えます。
本来は、丸い穴のように見えるのが、正常な膀胱出口です。
出口が横に隙間のように観察できるということは、膀胱出口の筋肉が上下に発達しているためです。
この画像をジ~と観察していると、何か見えてきませんか?
そうです。私が高校生の頃、良く見ていたウルトラQシリーズに出てきた、まるでウルトラマンの口のようです。
この口は、その後「ヒーロー」ものに継承され、映画「ロボコップ」の口にも印象が見られます。
高校生からの悩みを早く決着をつけたいということで、手術を強く希望されて、平成22年9月に手術を実施しました。
この写真は、手術直前の所見です。麻酔がかかっている状態で、膀胱出口の直径は3mm以下と狭く、「柵形成」も顕著に認めます。
手術直後の所見です。
膀胱出口の6時と12時を切除しました。「柵」は消失し、膀胱出口に軟らかさも出てきました。
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【17】
患者番号17394、22歳の男性です。両側の睾丸の痛みで地元の泌尿器科を受診、精索静脈瘤と診断され、都内の有名病院で入院して精索静脈瘤の手術を受けました。
ところが、睾丸の痛みは改善せずに、次に「慢性前立腺炎」と診断されセルニルトンの処方を受けました。
睾丸の痛みは一進一退で、平成17年6月に高橋クリニックを初診されました。
超音波エコー検査では、前立腺の大きさ24ccと若干大きく、膀胱出口の硬化像を認めます。膀胱出口・括約筋間距離は15mmと長くなっており排尿障害を示唆しています。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、一見正常の排尿曲線です。しかし、残尿が24mlと比較的多く認められます。
膀胱頚部硬化症による慢性前立腺炎症状と判断して、α-ブロッカーを処方しました。1ヶ月後睾丸の痛みは40%になり、平成17年12月(治療半年後)には睾丸の痛みは消失しました。その後も5年経過していますが、お薬のみで症状は出現しません。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は19点から2点まで軽快しています。
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【18】
患者番号17255、27歳の男性です。
平成16年6月頃より、残尿感と尿道の不快感(ムズムズ感)があります。実は「尿道のムズムズ感」は中学3年生の頃からありました。
都内の有名泌尿器科クリニックを2軒受診し、「慢性前立腺炎」の診断で抗生剤を処方されました。しかし、症状の改善なく、平成17年5月高橋クリニックを初診しました。
超音波エコー検査では、前立腺大きさ17ccで正常、膀胱出口に硬化像、前立腺結石を認めます。膀胱括約筋の肥厚を認め、膀胱出口・括約筋間距離は9.8mmと若干長めです。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は一見正常の排尿曲線ですが、自尿380mlに対して、残尿67mlと多い事実がありました。
排尿障害による慢性前立腺炎症状と判断し、α-ブロッカーを処方しました。1ヶ月後、残尿感とムズムズ感は50%に改善し、1年後には症状はほとんど消失しました。
その後、平成18年には患者さんは結婚し、平成21年には子宝に恵まれました。
治療始めてから5年経過していますが、慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は31点であったのが、現在(平成22年7月)5点です。
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【19】
患者番号21075、29歳の男性です。
平成15年頃より、振動で会陰部痛と太ももの内側の痛みが出ます。数日から数カ月に1回の不定期な間隔で症状が出現します。
気になり、平成19年8月に高橋クリニックを初診で訪れました。
超音波エコー検査では、前立腺大きさ16ccで正常ですが、膀胱出口から膀胱三角部にかけて硬化像と肥厚が目立ちます。膀胱出口・括約筋間距離は20mmととても長いです。前立腺周囲の静脈の拡張を認めます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、排尿曲線は正常型をしていますが、自尿は84mlで残尿は50ml以上とかなりのものです。
排尿障害を認めたので、α-ブロッカーの処方で痛み症状は消失しました。
平成22年7月の尿流量測定検査(ウロフロメトリー)の結果です。完全な正常の排尿曲線ではありませんが、十分な量を排出することができます。自尿は310mlで残尿は4mlです。以前の残尿50mlと比較すれば、大躍進です。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は19点が、3年経過した現時点で7点と改善しています。
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【20】
患者番号24602、29歳の男性です。
平成22年2月から両側睾丸痛と両側ソ径部痛が出現し、地元の市立病院泌尿器科を受診しました。診断結果は「非細菌性慢性前立腺炎」でセルニルトン、マイスリー(睡眠薬)、ロキソニン、セレナール(安定剤)の処方を受けましたが改善しません。それぞれの痛みは左右に移動します。1日の排尿回数は6回、夜間は尿では起きません。
超音波エコー検査では前立腺大きさ11ccと正常、膀胱出口と膀胱三角部に硬化像、前立腺結石を多数認めます。前立腺周囲に静脈の拡張を認めます。膀胱出口・括約筋間距離は14mmと長くなっています。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のような膀胱頚部硬化症型特有のギザギザの排尿曲線です。自尿は276mlで残尿は19mlです。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は27点でした。
排尿障害による慢性前立腺炎症状と考え、さっそくα-ブロッカーを処方しました。
1ヶ月後睾丸の痛みは消失、ソ径部の痛みは60%程度に落ち着いたそうです。
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【21】
患者番号24547、28歳男性です。
高校2年生(11年前)から、排尿時に会陰部痛が出現し治りません。
1日の排尿回数は4回、夜間は1回起きます。小学4年生の時に虫垂炎の手術を脊椎麻酔で行っています。
超音波エコー検査では、典型的な膀胱頚部硬化症の所見です。
膀胱出口の硬化像、膀胱出口・括約筋間距離が25mmとかなりの距離です。前立腺結石も認めます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は尿量が少なく判定できませんが、量が多かったとしても左右対称の放物線でないことだけは想像できます。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は19点でした。
排尿障害による慢性前立腺炎症状と判断し、α-ブロッカーを処方しました。1ヶ月後、排尿時の会陰部痛は20%(5分の1)にまで軽減しました。
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【22】
患者番号24706、25歳の男性です。
5年前から原因不明の亀頭の痛みで悩んでおられます。
頻尿は1日20回、夜間は3回です。こんなに頻尿が多いのにもかかわらず、私から質問するまで患者さんは頻尿について語りませんでした。頻尿は苦痛ではないのでしょう。
超音波エコー検査では、前立腺大きさは17ccで正常、膀胱出口に硬化像、膀胱括約筋がワニ口変形を認めます。
膀胱出口・括約筋間距離は16mmと長いです。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)はご覧のように、力のない排尿曲線です。自尿が95mlで残尿が94mlでした。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は21点でした。
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【23】
患者番号23181、18歳男性です。
1年前から下腹部痛、切迫性頻尿で苦しんでいました。地元の泌尿器科で「急性膀胱炎」の診断を受け治療していましたが、改善しません。
平成21年4月に高橋クリニックを受診しました。
超音波エコー検査では、前立腺大きさ14ccで正常、膀胱出口の硬化像、膀胱括約筋の肥厚、膀胱三角部の肥厚、前立腺結石の存在、前立腺周囲の静脈拡張を認めます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、尿がためられないので排尿曲線の評価ができませんが、どうみても出が悪い状態です。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は36点とかなりの悪さです。
α-ブロッカーの服用1ヵ月で、症状は5分の1にまで改善しましたが、その後不安定でした。平成22年4月になり授業中に尿意切迫おきて落ち着かず、1日頻尿20回、屋kん頻尿3回です。ついにお父様と一緒に来院し、手術を希望されました。
手術直前の内視鏡検査所見です。
膀胱出口の6時の位置が硬く盛り上がり、膀胱粘膜の点状出血を認めました。膀胱三角部には血管が増生していて膀胱三角部炎の所見です。
手術直後の所見です。
膀胱出口が十分に開き、全体的に緊張がゆるみました。
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【24】
患者番号24327、27歳の男性患者さんです。
平成22年3月初旬の頃から、陰茎の左がジンジン痛むようになりました。地元の皮膚科を受診し、軟膏と抗生剤を処方されましたが治りません。4月に高橋クリニックを受診しました。
皮膚にハッキリした所見がなく、症状が治りづらい場合、まず膀胱頚部硬化症を私は疑います。
尿回数は1日9回と多めです。
超音波エコー検査では、ご覧のように膀胱出口の硬化像を認めます。膀胱出口・括約筋間距離は2cmと長いです。
早速、エブランチルを処方しました。1ヶ月後、陰茎の痛みは本人いわく5%に軽減したそうです。
5ヵ月後、陰茎の痛みは3%に軽減しました。5ヵ月後の超音波エコー検査では、膀胱出口の硬化像は軽減していました。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は29点から11点に改善しました。
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【25】
患者番号23751、25歳男性です。
3ヵ月前に他院で包茎手術を行いました。その後、縫合部が痛くなり高橋クリニックを受診しました。
包茎手術の縫合部はきれいな仕上がりで問題ありません。1日の排尿回数をお聞きすると、1日15回とかなり多いのです。
超音波エコー検査で前立腺大きさは13ccで正常ですが、膀胱出口の硬化像と膀胱三角部の肥厚を認めます。前立腺の石灰化(結石)も認めます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、まるで前立腺肥大症の排尿曲線です。
エブランチルを処方し、1ヶ月後、頻尿は8回に、縫合部の痛みは50%に半減しました。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は35点から19点に減りました。
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【26】
患者番号22995、25歳男性です。
3年前から下腹部痛、残尿感が出現しました。「精神衰弱」の診断を受け漢方薬を処方されましたが改善しません。2週間前から亀頭が痛くなり、高橋クリニックを受診しました。
小学6年生の頃より、陰嚢も痒くなりました。
超音波エコー検査では前立腺の大きさは19ccと年齢の割には少し大きいようです。膀胱出口から膀胱三角部にかけて硬化像が認められています。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のようにヒョロヒョロとした排尿曲線で、膀胱頚部硬化症類似の排尿曲線です。
排尿障害による膀胱刺激症状と考え、エブランチルを処方しました。2ヵ月後には症状は軽減しました。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は、初診時32点でしたが、治療後、一番新しいスコアは3点に激減しました。
治療1年6ヵ月後の超音波エコー検査の所見です。
膀胱三角部の硬化像が、初診時の所見と比べて、ほとんど認められません。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【27】
患者番号19036、24歳男性です。
平成17年に下腹部痛(緊満感)にて、地元の泌尿器科を受診、慢性前立腺炎の診断でした。平成18年4月になり下腹部痛が増し、高橋クリニックを受診しました。
超音波エコー検査で、前立腺大きさ22ccと少し大きめ、膀胱出口の硬化像と膀胱括約筋の変形を認め、前立腺石灰も確認できました。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は、ギザギザの膀胱頚部硬化症の排尿曲線です。
エブランチルを処方し2カ月間通院していましたが来院しなくなりました。平成20年7月再び下腹部痛出現し、エブランチルを再開しました。症状は50%に半減しましたが、患者さんが内視鏡手術を強く希望され、手術の運びとなりました。
手術前の内視鏡検査所見です。
膀胱頚部硬化症特有の「柵形成」を認めます。
手術後の所見です。
「柵」は手術で無くなりました。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は27点から手術後16点に改善しました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【28】
患者番号24783、24歳男性です。
平成22年5月から頻尿と下腹部不快感が出現しました。8月に都内の有名病院を受診、「過活動膀胱」と診断されくするの処方を受けました。しかし、症状が悪化し、再診したところ、「気のせい」と診断されてしまいました。
8月下旬に高橋クリニックを受診しました。頻尿は1日10回以上です、
超音波エコー検査では、前立腺大きさ14ccと正常、前立腺石灰、膀胱出口の硬化像、膀胱三角部の肥厚を認めます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、正常型の排尿曲線ですが、残尿100ml以上と大量でした。最大流量率(排尿速度)16.4ml/秒、平均流量率(排尿速度)7.9ml/秒です。
α‐ブロッカーの投与1ヵ月で、慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)19点が5点に改善しました。頻尿は1日5回に減少しました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【29】
患者番号24756、24歳男性です。
この患者さんは中国人で、2年前に「慢性前立腺炎」と中国で診断され、点滴治療を受けた既往があります。
しかし、常に尿意・残尿感があり悩んでいました。来日したのをきっかけに、高橋クリニックを受診しました。
1日の排尿回数は5回~6回で正常です。しかし、常に尿意があります。
超音波エコー検査では、前立腺の大きさは18cc、膀胱出口に硬化像、膀胱三角部の肥厚、膀胱括約筋の変形を認めます。膀胱頚部硬化症の所見です。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は、全くの正常の排尿曲線です。しかし、残尿が26ml認めたので、この検査では正常に見えても、排尿障害があることを示唆しています。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は14点でしたが、α-ブロッカーの投与1ヵ月で10点に改善しました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【30】
患者番号24910 24歳の男性です。
10年前から頻尿と尿切れの悪さで地元の泌尿器科を受診しました。「前立腺炎」の診断で点滴治療や薬の処方を受けましたが改善しませんでした。
症状が改善しないので、別の泌尿器科を受診しましたが、やはり結果は同じでした。
最近では頻尿は1日20回以上、尿がなかなか出ない(排尿開始遅延)、右睾丸痛、右足裏の痛みとしびれ、残尿感と症状はなかなかしつこいようです。朝一番の排尿の後は、5分おきにトイレに3回行ってしまう状態です。
医師からは、セルニルトン・クラビット・ベシケアの処方を受けていましたが、効果がありません。
超音波エコー検査では、大きさは17ccで、この若さでは少し大きいようです。膀胱出口の硬化像があり、膀胱三角部も厚く、膀胱括約筋の変形も認めます。膀胱出口・括約筋間距離は14mmと長めです。膀胱頚部硬化症の所見です。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のような頼りない排尿曲線です。最大流量率(排尿速度)10.2mL/秒、平均流量率(排尿速度)3.6mL/秒と前立腺肥大症で苦しまれる高齢者並みです。さらに残尿は106mLと大量でした。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)35点でした。
α‐ブロッカーを処方しました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★【31】
患者番号16540 28歳男性です。
右睾丸の不快感が最近出てきました。3年前にも同じ症状が出現し、その際には抗生剤で改善しましたが、今回はそうはいきません。
1日にの排尿回数は10回と多めです。夜間は起きません。
超音波エコー検査では前立腺の大きさは17ccで正常、膀胱出口の硬化像と膀胱括約筋の変形(カニの爪様)を認めます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、膀胱頚部硬化症の排尿曲線です。残尿は5㏄と正常範囲内です。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は20点で高めです。
水分(お茶・コーヒーを含む)を今まで1.5Lから1L以下に極力控えてもらい、α-ブロッカーを処方しました。1ヶ月後睾丸の不快感は5分の1になり慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)も20点から12点になりました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【32】
患者番号25010 28歳男性です。
3月頃より左睾丸の痛みと肛門の痛みが出現しました。1日10回以上の頻尿もあり、常に残尿感があります。
地元の泌尿器科を2軒受診し、「慢性前立腺炎」の診断で抗生剤とセルニルトンの処方を受けましたが改善しません。
10月に高橋クリニックを受診しました。
超音波エコー検査では、膀胱括約筋の不連続所見と膀胱三角部の肥厚・硬化像を認めます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、尿を十分にためられていないことを差し引いても、明らかな排尿障害の排尿曲線です。
α-ブロッカーの服用1ヵ月により、慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)36点が14点に改善しました。睾丸の痛みは20%に軽減、肛門の痛みは完全に消失しました。1日の頻尿は同じ10回ですが、残尿感がなくなり日常生活のクオリティが上がったそうです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【33】
患者番号25137 13歳男性です。
平成21年6月ころから、陰嚢掻痒症になりました。皮膚科を4軒~5軒受診しましたが、「原因不明」「精神的」と判断されて困り果てていました。陰嚢掻痒症の痒みは著しい時には眠れないくらいでした。
お母さんがインターネットで探しに探して、ついに高橋クリニックを平成22年11月に訪れました。
超音波エコー検査では、前立腺の大きさは9ccと正常ですが、膀胱出口の硬化像と膀胱内突出像が見られます。膀胱三角部は肥厚しており、膀胱括約筋は不鮮明です。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のようにギザギザな排尿曲線です。膀胱頚部硬化症の排尿曲線です。最大流量率(排尿速度)20.1ml/秒、平均流量率(排尿速度)11.8ml/秒と若者にしては元気がありません。
残尿はほぼゼロでした。慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)27点とかなりのハイスコアです。
膀胱頚部硬化症による排尿障害が原因の陰嚢掻痒症と判断して、α-ブロッカーを処方しました。
服用10日目で痒みが軽減したと自覚でき、2週間目には痒みがなくなりました。その後、痒みは、完全に消失しました。
慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は27点から何と1点に改善しました!13歳の患者さんはクールで淡々としていましたが、お母さんは大喜びです。来年は良い正月が迎えられそうですね、お母さん!
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コメント
高橋先生様
初めてメール差し上げます。当方息子(25歳)が膀胱頸部硬化症で先生にお世話になっている旨、先日初めて本人から聞かされました。
大学時代から3年間、一人でこの病気で悩み、ネットを通し高橋先生に出会い、今は手術を受けたいとのことでした。
その後私も、先生のブログを読み漁り、一縷の希望と且つ相反する不妊(逆行性射精)の心配とで 日々悩んでおります。
母の私に出来ることは何も無く、先生の手術の技におすがりし、神仏に祈るぐらいです。息子の手術を受けたいという気持ちに変わりはないようです。
つきましては、インフォームド・コンセントを受けに息子と供に近い内にお伺いしたいと思っておりますので どうぞその節は詳細なお話しをお聞かせ下さいませ。
切にお願い申し上げます。
若年性膀胱頸部硬化症に悩む息子の愚母より
【回答】
了解しました。
投稿: 愚母 | 2010/03/27 15:14
【2】の患者さんは、
とても重い症状を抱えていましたが、
手術後は1日の排尿回数は5回、
夜間は尿で起きなくなったということで、
手術は大奏効したといえます。
この患者さんは1回の手術でこのような
大好転を遂げたのでしょうか?
【回答】
手術は1回です。
また、患者さんは手術をして何日後くらいに、
症状の軽快を実感されたのでしょうか?
【回答】
手術後1週間で頻尿は10回になりました。
尿意切迫感は、下腹部のチクチク感に変化しました。
手術後1ヵ月で頻尿は4回~8回に減り、夜間は1回になりました。尿意切迫感(チクチク感)は20%~30%程度まで軽減しました。
投稿: レイニーブルー | 2010/03/29 12:36
お返事ありがとうございます。
高橋先生のブログを読んでいると、
1回の手術で自覚症状がかなり改善される患者さんと、
2回目の手術を受けても満足な自覚症状の改善が得られず、
3回目以降の手術に挑戦される患者さんがいらっしゃるようですね。
手術による自覚症状の改善のこのような違いは、
どういった要因によるのでしょうか?
手術によって患部を切開、蒸散させたときに、
それが尿意を敏感にさせている部位に
うまく命中していれば、1回の手術で十分な
自覚症状の軽減が得られる。
しかし、尿意を敏感にさせている部位を
取り除ききることができなかったときは、
自覚症状の軽減が満足できる程までは
得られないということでしょうか?
【回答】
あなたの思われる事も一理あります。
私は次のように考えています。
【1】
この病気が、センサーである膀胱三角部や膀胱頚部硬化症に依存している場合は、内視鏡手術でセンサーを破壊することで症状の軽快は容易です。
【2】
しかし、この病気が次の段階にステップアップしている場合には、センサーを破壊しても容易に症状は軽快しません。
なぜなら、脊髄レベルで症状を作るための神経回路が発達し、増幅回路のようになってしまっていると、センサーの要所要所を破壊した程度では、わずかでもセンサーの感覚が残っていれば、脊髄レベルで情報が増幅されますから、症状がなかなか軽快しないのです。
投稿: レイニーブルー | 2010/03/30 23:45
高橋先生
慢性前立腺炎の内視鏡手術についてお伺いしたい点があります。
先生のブログを拝見していると、手術中は麻酔が効いているため、あまり痛みはないとのことですが、仙骨ブロック注射をする時はやはり痛いのでしょうか?
【回答】
人それぞれです。
また、術後の痛みの方はいかがでしょうか?
【回答】
人それぞれです。
情けない質問で申し訳ございません。
投稿: yahyah | 2010/04/01 21:27
ご回答ありがとうございます。
病気が次の段階にステップアップしている患者さんは、
排尿障害を患っている期間が長いという傾向にあるのでしょうか??
1.例えば、20歳のときに頻尿症状が出た患者さんが居たとして、
この患者さんは小学校1年生のときから微細な排尿障害があったとします。
2.例えば40歳のときに頻尿症状が出た患者さんが居たとして、
この患者さんは小学校1年生のときから微細な排尿障害があったとします。
上記1.の患者さんを100人、上記2.の患者さんを100人手術したとして、
1回の手術で満足な結果が得られる確率は、
上記1.>上記2.ということになりますか?
【回答】
この考え方は、罹患期間が長ければ病気は複雑になり、脊髄神経は増幅回路として完成されて、症状が難治性になるという、一方通行の直線的な考え方です。
しかし、実際には要素がたくさん存在し罹患期間だけの要素では説明できません。
1.機能性障害による膀胱出口の振動は膀胱出口を硬化させます。その振動は膀胱の駆出力とそれを受ける膀胱出口の厚みによって様々な振動バリエーションが生じます。バリエーションがあるということは様々な患者さんの存在を示唆します。
2.振動刺激は、末梢神経の発芽を促しますが、その成長はまちまちですし、方向性も3次元的広がりを持っています。
3.硬化部と発芽した神経が結合しなければ、症状は出現しません。ですから硬化像がたくさん存在しても、症状の出現しない人がいたとしても不思議ではありません。
4.脊髄内の神経増幅回路も完成度の高い人もいれば、中途半端で終了する人もいるでしょう。すると時間がどんなに経過しても、わずかな症状しか存在しません。このような患者さんは1回の手術で治りやすい人といえます。
異常のように要素はいくらでも考えられます。ですから、単純に「上記1.>上記2.」とはいえません。
投稿: レイニーブルー | 2010/04/02 18:10
度々の質問に対して、ひとつひとつ丁寧にお答え下さり、
ありがとうございました。
投稿: レイニーブルー | 2010/04/03 23:26
これは、私の治療法ですが、結局座り過ぎて、なるのだから、座る時間を減らして運転しよう。
後は、痩せる事(私はデブで、勉強ばっかやってて、むくんでなったので)
投稿: | 2010/05/20 12:41
質問したいことがありましてメールいたしました。
私の主人のことです。イタリア在住です。
ひん尿で5年くらい前からこちらのドクターに何度も通いました。
最終的に膀胱の出口が狭いので手術で広げるという事になりましたが、2年手術の順番待ちです。本日も予定の手術が1カ月延ばされました。これでは、次も延期?になるかもと思い、日本で手術をする場合費用はどの位かかるのかを教えて頂きたくメールをしています。もちろん保険はありませんので実費となります。こちらのプライベート病院も考えておりますが、エアーチケット代を払っても日本のほうが確かな手術をしていただけるのではと思ってます。
お忙しいとは思いますがお返事いただけると幸いです。
【回答】
20万円以上かかります。
投稿: ヌーティ | 2011/07/26 03:02
30歳の同僚なのですが、数年前から残尿感と排尿時の勢いが弱くなり、たまに軽度の痛みもあるようです。
受診を勧めてもなかなか応じてくれないのですが、慢性前立腺炎の場合放っておくとどうなのでしょうか?
【回答】
症状が更にひどく、複雑になっていきます。
投稿: okapi | 2013/06/26 22:08
先生は診察時、手術が必要な場合は初診であっても言っていただけるのでしょうか?
【回答】
まずはお薬からです。
投稿: | 2014/02/24 20:32
高橋先生
20代の患者です。
質問なのですが、エコー写真をとった時に前立腺が2つ丘の用に膀胱側に突き出てしまうのは、排尿障害による無理な排尿の為なのでしょうか!?
その場合、前立腺を小さくする薬を飲めばよいのでしょうか!?
【回答】
α-ブロッカー(エブランチル)で軽減します。
投稿: | 2014/03/13 23:46
先生、いつもお世話になりありがとうございます。半年くらい前から座ったときに会陰部が痛く先生の診察を受けたものです。
フリパスを半年ほど服用していますが病状に変化なく最近ひどい頻尿がでてきました。
いままでは痛み系だけでしたので非常に驚いています。このままフリパスの服用だけでよろしいのでしょうか?よろしくお願いいたします。
【回答】
色々考えましょう。
投稿: 〇〇〇〇忠男 | 2014/03/15 07:14
現在エブランチルで治療をしています。2ヶ月間服用しておりますが、尿意や頻尿といったものが出たりしてきています。ですが、排尿に関しては以前よりスムーズになっていると思います。こかんぶにあった不快感も軽減しておりますし、良い点もあるのですが、他の方々みたく尿意が減ったり、回数の減少というのはありません。
まだ2ヶ月なので、これでよいのでしょうか?
それとも再度診察に伺い、薬を変えた方がよいでしょうか?
【回答】
このまま様子をみましょう。
投稿: | 2014/03/24 23:56
高橋先生
以前にも質問を投稿させていただき、先生からご回答をいただいた者です。
先生のブログに記述されている考察には、一人の慢性疼痛患者として賛同しています。なぜなら、先生のおっしゃるとおり、フリバス・ハルナール・ザルティア・デパス・レキソタンで耐え難い慢性疼痛が大幅に軽快し、その改善している状態がいまのところ(3年間ほど)は保てているからです。
ちなみに、他の30名近い各科の専門医師から処方された合計50種類前後の薬は、ことごとく無効もしくはほぼ無効。残薬を調剤薬局に返品して返金してもらいたいくらいです。
私は医学の専門家でもなければ物理や生化学の学者でもありませんし、学業成績も小中高とずーっと下でしたので、先生のブログを拝読していると、理解しにくい記述箇所に出くわすことがしばしばあります。
いくつか質問があるのですが、とりあえず今回の分を以下に書きますので、よろしくお願いします。
先生は、『慢性前立腺炎の要約(2008/06)』ならびに『間質性膀胱炎の要約(2008/07)』の記事において、「「何らかの原因」とは言ったものの、本心から言えば、膀胱出口・膀胱頚部の発育不全・未成熟だと考えています。これは形態学的な異常ではなく、機能的な発育不全・未成熟と考えます。初期すなわち10代後半の頃に発現しますが、その頃は症状はなく「未病」の段階です」と書かれています。
すなわち、先生のこの記述に従って理解すれば、「膀胱出口・膀胱頚部の機能的な発育不全・未成熟は、10代後半の頃に発現するが、その頃は「未病」の段階である」ということになると思います。
しかしながら、『陰嚢掻痒症の膀胱出口3D画像』の記事に寄せられたコメントに対して、先生は「今通院している患者さんで一番若いお子さんは8歳です」と回答されています(2015/02)。
また、別の記事に寄せられたコメントに対して、先生は「排尿障害が原因の慢性前立腺炎症状でしょう。当院では、あなたと同じような患者さんで最も若いのが8歳です」と回答されています(2016/06)。
さらにまた、別の記事に寄せられた「私は6歳くらいから陰嚢が痒かった覚えがあります。中学生くらいから多汗でもあり、緊張すると下痢でした。生まれながらの自律神経失調の方もいるみたいですが、この病気の要因がそこにあることは考えられないでしょうか?」という相談者からの質問に対して、先生は「この病気が原因で陰嚢掻痒症・多汗症・下痢症・自律神経失調症になると考えます」と回答されています(2012/11)。
これらは、6歳から8歳くらいの人であっても、排尿障害の関連症状が、症状のない「未病」ではなく、自覚症状として出現する場合があることを示しています。
【回答】
その通りです。」
推定される結論として、
「膀胱出口・膀胱頚部の機能的な発育不全・未成熟は、10代後半どころか、人生のもっと早い時期、遅くとも乳幼児期、早ければ胎児期から存在する。幼少期に既に排尿障害の関連症状を何らかの症状として自覚する人もいるが、それは少数派であって、大多数はその症状に無自覚であり、かすかに自覚はあってもそれを「病気の症状」と認知する人はこれまた少数派である。10代後半の頃から症状を自覚する人の数が徐々に増加し始める」と考えるほうが現実的で妥当するのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【回答】
幼少期から頻尿や夜尿症が認められていますが、体質だと思い込んでいることが多いのです。
それが、我慢できないような症状に変化した時点で、慢性前立腺炎と自覚しているのです。」
それとも、膀胱出口・膀胱頚部の機能的な発育不全・未成熟があれば、膀胱出口・膀胱頚部における器質的な排尿障害(膀胱出口の硬化・膀胱括約筋の過形成)に先立って、あるいは器質的な排尿障害がなくても、排尿障害の関連症状が出現し得る場合もあると考えるほうが良いのでしょうか。
【回答】
患者さんによって、症状の完成度や成熟度は異なります。
形態学的変化があってもなくても、症状は形成されます。
患者さんは色々で、ワンパターンの考え方で診断・治療に終始すると、治療のタイミングを逃してしまいます。
投稿: 今回は匿名希望です | 2016/08/09 11:52
ご回答ありがとうございます。
先生のおっしゃる「形態学的変化」と「器質的変化」は同義と考えてよろしいのでしょうか。
【回答】
はい。
投稿: 今回は匿名希望 | 2016/08/23 06:08
ご回答ありがとうございます。
以前から「?」だったことの1つが解決しました!
投稿: 今回は匿名希望 | 2016/08/23 13:30
高橋先生、ご無沙汰しております。お忙しいところすみません。H15の4月に手術していただいた○倉です。実は、2年前の1月に精巣上体炎になりました。抗菌剤にてすぐに治ったのですが、再発し、慢性前立腺炎に移行してしまいました。抗菌剤で少しは良くなりますが、完治しません。薬は、抗菌剤がスオード、オゼックスで、フリバス、プラダロン、牛車腎気丸などです。症状は、残尿感や肛門圧迫感ですが、今回の再々々発で、オシッコの勢いも悪くなってしまいました。何か、新しい薬や治療法がありましたらお教え下さい。上京して、先生に診ていただこうと考えています。宜しくお願いいたします。
【回答】
以前に解説したように、排尿機能障害が、症状を作るのです。
手術しても、機能障害は完全に治せませんし、手術でセンサーを破壊しても、脊髄神経回路が再びセンサーを作ります。
治療としては、αブロッカー(ハルナール、ユリーフ、エブランチル)とβ3作動薬(ベタニス、ベオーバ)を服用してください。
投稿: 匿名希望 | 2019/10/21 22:50