« 患者さんの著書 | トップページ | 慢性前立腺炎の症状#23「精子運動率の低下」 »

慢性前立腺炎の症状#22「急性副睾丸炎と急性前立腺炎」

慢性前立腺炎を訴えて来院される患者さんの中には、過去に急性副睾丸炎にかかっている患者さんがいます。
一般的には、雑菌が体内に侵入して急性副睾丸炎や急性前立腺炎に罹患すると考えられていますが、実は慢性的な排尿障害がその原因だと私は考えています。

しかし、そのような事実や文献の記載は存在しません。ですから、この考えは私オリジナルな荒唐無稽の考えと思って読んでください。
排尿障害があると、尿道内、特に前立腺部尿道内に排尿中に尿によるジェット流が生じます。ジェット流は渦流となり尿道粘膜に負荷をかけます。その負荷は物理的エネルギーですから尿道周囲・前立腺内にストレスをかけます。生体はストレスがかかると、生体反応が起きます。いわゆる炎症という生体反応です。

炎症は、病原菌やウィルスや真菌などの病原体だけが原因ではありません。生体にかかるあらゆる刺激に対して炎症が起きます。白血球やリンパ球やマクロファージなどがうようよと集まってきます。そして炎症を作るのです。
生体の中は常に無菌とは限りません。病原性のない細菌、つまり常在菌が存在します。興奮した白血球やリンパ球は、この常在菌を炎症の原因である病原体と、間違って認識して攻撃をかけます。

さあ慌てるのが攻撃をかけられた常在菌です。常在菌は無力ですから抵抗する術を持っていません。唯一出来ることは、細胞分裂して自分たちを増やすだけです。そこで常在菌の数が増え増殖します。常在菌が増殖すると、ひとたび抗原認識した免疫システムが興奮し、さらに常在菌に攻撃をかけ、炎症は増幅し、前立腺内に留まれば急性前立腺炎に、炎症が精管を逆向すると急性副睾丸炎なってしまうのです。

したがって、初めて急性副睾丸炎や急性前立腺炎になった患者さんを拝見した時には、必ず隠れた排尿障害を疑い、患者さんにアドバイスします。

|

« 患者さんの著書 | トップページ | 慢性前立腺炎の症状#23「精子運動率の低下」 »

コメント

デパス以外で神経回路に効く薬はありますか?
【回答】
抗うつ剤、抗不安剤、向精神薬などいろいろです。
その人に合う薬剤を探さなければなりません。

投稿: | 2016/03/19 17:34

高橋先生

 いつも有難うございます。私も2010年に激しい痛みと尿が出ない症状が始まった当時、他医院での尿検査で細菌も出ないのに、CRP高値と潜血反応、37.5度程度の微熱が1年近く続きました。当時のドクターからは相手にされなくなりました。高橋先生に診て頂くようになって、膀胱頚部硬化症がわかり、投薬で症状が改善されていくにつれCRPも潜血も微熱も治まりました。
 先生のオリジナル理論は決して荒唐無稽などではないと私の経験、実感から思います。
 文献にも学会にも無い理論であっても、高橋先生のように、荒唐無稽と言われようとも苦しむ人を救うことを第一義にひたすら考え続けて下さるドクターが少しでも増えれば、あらゆる病気の患者にとってどれほど希望になる事でしょう。これからもどうか宜しくお願いいたします。
 

投稿: masa.y | 2016/03/31 13:09

高橋知宏先生

初めてメールを出させて頂きます。東京在住の52歳男性です。
今回、自身の症状に色々と疑問に感じていた折に先生のブログを拝見し、慢性前立腺炎に関しての明快な解析に、非常な感銘を受けました。幸い先生のクリニックが勤め先から五駅程の距離なので、近日中に診察を受けに伺うつもりですが、手短に自身の既往症及び現状をお伝えしておきます。
発端は33歳時に急性前立腺炎を発症し、それが所謂慢性前立腺炎になり、一度は完治したものの6年後に二度目の発症。初回も二回目も抗菌剤中心の治療で、大体二週間から一ヶ月程で症状が治まりました。
今回の三度目は13年振りで、平成28年2月半ばくらいから前立腺部に違和感を感じ、2月末辺りから残尿感なども強くなって来たので、いつもの抗菌剤(クラビット)治療を始めました。二週間程で症状が治まって来たと思いきや、突然の排尿痛を発症。それは一日程で治まりましたが、今までお世話になって来た医師、薬剤師さんからも「前立腺は血流が少ないので、薬が非常に届きにくい。時間を掛けて根気よく服用を続けて下さい」と言われ、薬剤師さんが漢方医の先生でもあるので、炎症を鎮める効果のある漢方薬(五淋散、猪苓湯のブレンド)も処方してもらいました。しかし細菌性に起因する炎症であれば、服用から二週間以上経って何故症状が出るのだろうと、そう思った次第です。
そこに来て「これはもしや他に要因があるのではないか?」と言う疑問が生じた訳です。
それから色々と調べまして、先生のブログに行き着く事が出来ました。書かれている事を拝読する度に益々もってこれは自分も、自身ではその自覚がない「隠れ排尿障害」に違いないと確信するに至りました。思い返せば、若い頃から人より排尿に時間が掛かっていた様な気もするし、尿意を結構我慢したあとに大量に排尿すると、排尿痛などが起こっていた事を思い出しました。
平成28年4月初現在では、残尿感(日によって重かったり軽かったり)と前立腺部の鈍痛、ヒリヒリ感、日によっては軽い排尿痛などが見られます。診察に伺った暁には、よろしくお願い致します。

投稿: Nao.T | 2016/04/02 13:35

★久しぶりに連絡します。先生に手術、診察をしてもらった者です。★今までの経過 :2004年に膀胱頸部硬化症で手術をして術後は次第に回復しました。が、10年後2014年に股に少しひりひりする痛み(特に左側)を感じ通院しました。その時はエコー検査では前立線の大きさはふつうの大きさで、「水分の取り過ぎによる」と言う診断でした。ハルナールを3ケ月分処方され服薬後、次第に痛みは治まりました。その後2~3ケ月に一回くらいの頻度で4,5日尿道出口あたりがひりひりしました。それほど強い痛みでなく、次第に回復するといった感じでした。以後水分のとりすぎには注意をするようにしてきました。
★先月中旬くらいから股下がひりひりする感じがあり、1ケ月以上続いています。その部分を指で押すとジクっとしる痛みがあります。(特に左側、右はそれほどありません。)横になって休むと改善しますが、動いたり立ち仕事をするとまたじくじくします。それほど強烈な痛みではありません。2014年に再通院したときとほぼ同じような感じです。
★先生の病院に通院すればよいことなのですが、新潟で遠方です。電話でも薬の処方はできますか?2014年から年月が経っているので、再通院したほうがいいでしょうか。もしそうであるなら7月の休診日や都合の悪い日はありますでしょうか。
【回答】
電話で直接依頼してください。
その際に、FAXで保険証のコピーを送ってください。
FAX:03-3771-8033

投稿: A | 2016/06/29 19:48

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 慢性前立腺炎の症状#22「急性副睾丸炎と急性前立腺炎」:

« 患者さんの著書 | トップページ | 慢性前立腺炎の症状#23「精子運動率の低下」 »