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磁気刺激装置とファラデーの法則

Faladylaw前回解説した磁気刺激装置の作用効果で私が勘違いをしていたので、ここで詳細に原理・効果を解説しましょう。

磁力線が生体(骨盤底筋・神経)に直接作用して生物活性を促すものだと思っていましたが、実はそうではありませんでした。
Hatsudenki学生時代に勉強した物理学の知識でファラデーの法則というものがあります。伝導体の近くで、磁場に方向性や強弱に変化を与えると、渦電流(うず電流)が発生するという原理・原則です。この原理を利用して発電機が電気を作っています。水力発電も火力発電も原子力発電もガスタービン発電も、すべてこの原理の発電機を利用しなければ電気を作れないのです。

Falady1患者さんの椅子の下に仕掛けられたコイルから強い磁力線が発生します。しかし、この磁力線は、方向(ベクトル)と強さに絶えず変化しています。
【図:コイルから外側の基盤に磁力線が流れている(緑の線)場合と、外側の基盤から中心のコイルに磁力線が流れている(赤い線)場合とでは、下部尿路・膀胱に流れる渦電流は交互に逆方向に流れ刺激する。】

Falady2骨盤底筋や神経は電線と同様に伝導体ですから、磁力線に直角に渦電流(うず電流)が流れます。この渦電流は磁力線の方向に変化し、電流の向きが交互に変化します。つまり、皮膚を通さずに深部の生体組織に、直接電気が流れ刺激されるのです。
磁気刺激装置の「うたい文句」の骨盤底筋を刺激して、過活動膀胱の頻尿を改善させる理由には、かなりの論理の飛躍があります。骨盤底筋は骨格筋であって膀胱などの内臓の筋肉ではありませんから、鍛えても頻尿の治療には役立ちません。腹圧性尿失禁には効果があるかも知れませんが・・・。もしもこの理論が正しいのなら、腹直筋を電気刺激すると、急性胃炎や胃潰瘍の痛みが治ると言っているようなものです。
もう一つは陰部神経などに磁気誘導の電気が流れて刺激されて、その結果、脊髄レベルの尿意中枢が刺激されて頻尿が改善するというものです。ところが、この理論にも疑問を感じます。磁気誘導された無機質の電気刺激が、それなりの意味を持った生理的な神経刺激と同じ振舞いをして、膀胱の過敏を抑制するという考え方に・・・、そんな都合のよいことがなぜ起きるのか?という疑問です。

ところが、この磁気刺激装置が厚労省から認可を得たということは、臨床治験を実施して過活動膀胱の治療に有為に効果が得られたということです。膀胱や尿道を含めた下部尿路に電気を通すと、尿失禁を伴うような強い頻尿が軽減するというのは、論理的に不思議な現象です。下部尿路の平滑筋や神経が電気刺激で今までの興奮を納めてくれるというのです。

表の理論にはない、本質的な理論が隠れて存在するのでしょう。膀胱平滑筋の緊張を緩める、α‐ブロッカーやβ3刺激剤や抗コリン剤やPDE5阻害剤(ザルティア)などの薬理作用・効果と同じ過活動膀胱を治療できる訳ですから、磁気刺激装置の作用も膀胱・前立腺の平滑筋の緊張を緩める効果があると考えても間違いないでしょう。

恐らく、あくまでも恐らくですが、磁気刺激で誘導された渦電流が、この病気で過剰反応している膀胱・前立腺の平滑筋を一時的に麻痺させているのかも知れません。そうすると、神経という正規のルートで入力侵入した病的電気刺激パルスが、膀胱・前立腺の平滑筋に拒否されるので、病的症状が改善するという論理です。私が実施している仙骨神経ブロックによる治療と似ているかも知れません。

Kura4ファラデーの法則だけが磁気刺激装置の治療根拠なのか?と考えながら、いろいろ調べてみると、磁力線による活水装置の解説を発見しました。
磁力線に直角に水流を流すと、水分子が細かくなるという原理です。化学で教わった水分子はH2Oは、それ単独フリーの状態で存在している訳ではなく、集団の塊で存在しています。その塊が大きい分子量であると、溶媒としての水の働きが低下します。水分子の大きな集団を細かい塊にしてあげるのが磁力線活水器なのです。
血液は、そのほとんどが水ですから、その水の分子が細かくなればなるほど、生体内の毛細血管内の血液本来の役目は十二分に発揮されるでしょう。すると膀胱や前立腺の内部環境は改善され、それが原因の症状も薄皮を剥ぐように改善するでしょう。

Jikiionさらに活水装置で水流内の様々な物質はイオン化し、水道管の状態を安定させます。
毛細血管内も同様の現象が起き、血流の改善と、生体にとって必要な物質のイオン化で活性化するでしょう。

今回の日本光電の磁気刺激装置は10Hzで磁力線の方向が逆転しています。10ヘルツは1秒間に10回ですから、0.1秒間に1回の間隔で磁力線の方向が変化しています。
血管内での血液の流れは、毎秒60cmですから、0.1秒に6cmの血流に磁場が掛かることになります。

この治療器の1回の治療時間は25分間ですから、25分×60秒×60cm=90000cm=900mの血流を活性化していることになります。0.1秒6cmの血流が約1ccの血液量と換算して、900m÷6cm=15000cc=15㍑という相当な量の血液を活性化しています。一人の人間の血液量は4㍑~5㍑ですから、1回の治療時間で全身の血液を3回~4回活性化していることになります。

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コメント

よろしくお願いいたします
3ヶ月前まで高橋クリニックにお世話になっていたものです お陰さまでだいぶ楽な生活を送っております。 今現在ペインクリニックにてソラナックスを飲んでいますがデパスより楽になります デパスより鎮痛作用が高いのですか?
【回答】
効果は人それぞれです。

投稿: | 2014/07/27 00:14

先生
大豆イソフラボンの治験結果はどうだったのでしょうか?
【回答】
大豆イソフラボンの治験を目的に来院される患者さんは皆無でした。
また長年苦しまれている方がほとんどなので、マイルドな大豆イソフラボンの投与だけの治療は医師として出来ませんでした。
よって、治験は中止しました。

投稿: 慢前 | 2014/08/07 13:47

高橋先生 宜しくお願いします
先生の治療を受けていましたがえ陰部や膀胱痛が常時復活していて とりあえず痛みを抑えたいのですが デパスは飲んでます心療内科でトリプタノールりリカなど処方してもらったほうがよいですか? それかペインクリニック受診など
【回答】
それぞれ試してみる価値はあると思います。

投稿: 慢前 | 2014/08/11 11:47

お忙しいなかすみません
どうぞよろしくお願いいたします

慢性前立腺炎の治療において
低周波 や 高周波 などの治療は
効果の期待はありますか?
【回答】
低周波治療はツボ刺激程度でしょう。
高周波治療は聞いた事がありません。」

今回導入された椅子の治療器具で
改善を感じられる方々の存在をしり
ご質問させて頂きました

投稿: | 2014/11/04 18:05

日頃からお世話になっている患者です。
高橋先生、2014年4月に開催された第102回泌尿器科学会の報告はないのでしょうか?
【回答】
予定はありません。

投稿: 患者 | 2014/12/03 01:21

「慢性前立腺炎か慢性骨盤痛症候群なのか分かりませんが症状改善せず悩んでおります。」
高橋先生 御侍史 はじめまして、千葉県○○在住のTMと申します。090-0000-0000
現在59歳で、デスクワークの仕事をしております。
今年2月に知人女性にフェラされ、その1週間後に性器のムズムズ感があり、地元泌尿器科「やまとクリニック」を受診しました。藤原先生は淋菌クラミジア検査を行った結果、陰性で雑菌性との診断でした。計3種類の抗生物質(ビブラマイシン12日間、スオード7日間、レボフロキサシン5日間)を処方され服用しました。しかし性器の疼痛感は改善されず、先生はあまり気にするなとのことで説明もないままセルニルトンとリリカを1週間処方され服用しました。院外薬局の薬剤師に確認したところ、先生は既に菌は消失したと考えているのでしょうとのことでした。納得できませんでしたので、ネットで色々調べ、2つ目の病院として、大久保の「新宿さくらクリニック」を受診しました。澤村先生は尿のSDAで淋菌クラミジアの検査を行いながら、抗生物質(シタフロキサシン7日間)を処方され服用しました。1週間後の再診で、尿検査の結果、淋菌クラミジアは陰性である。発症時は菌がいたかも知れないが、今はもういない。これ以上、抗生物質を服用しても無意味であり、泌尿器科学的にはこれ以上の治療方法はないとのことでした。病名を尋ねるとLUTSとのことで、前立腺の薬と痛み止めとして、セルニルトンとセレコックスを処方されました。西洋医学ではこれ以上は治らないのかと思いながら服用し、並行して鍼灸院(これまで朝岡鍼灸院4回、健身院17回)で鍼治療を施術しました。しかし会陰部の不快感と性器のムズムズ不快感は一向に改善しませんでしたので、再びネットで検索し、3つ目の病院として泌尿器科疾患で比較的、分かりやすい説明をされていた中目黒の「五本木クリニック」を受診しました。桑満先生は尿検査、血液検査、前立腺エコーを行い、尿は異常なしとのこと。前立腺はやや大きいもののPSA値は異常なしとのことでした。性器のムズムズは、前立腺と性器の神経は連動しているので、亀頭の痛みや不快感は、慢性前立腺炎で間違いないとのことで、セルニルトンとセレコックス(14日間)を処方され服用しました。しかし、その後も性器のムズムズと会陰部の不快感は改善されませんので、4つ目の病院として地元の君津中央病院大佐和分院を受診しました。片海先生は、前立腺を触診し、前立腺は固くもなく、大きくもなく滑らかなので、前立腺炎ではないとのことでした。このまま治療しなくてもこれ以上悪くなることはないとのことで、セルニルトンは飲み切りとし、ワイパックス(14日間)を処方され服用しました。しかし、性器のムズムズは依然改善されず、性器が冷たく感じるときは痛みもあり、その旨を告げると前立腺炎は全否定できないとのことで、エビプロスタットとベンザリン(30日間)を処方され服用しました。しかし、その後も改善されない旨を告げると、今度は漢方薬の補中益気湯(30日間)を処方され服用しました。症状さえ消失すればと思いながら、再度ネット検索し、5つ目の病院として田町のきつかわクリニックを受診しました。吉川先生は、前立腺触診と尿の流量測定を行い、排尿は若い時の3分の1ということでしたが、残尿エコーでは問題ないとのことで、ザルティアとエビプロスタットと桂枝茯苓丸(14日間)を処方されました。3種類の薬は現在も服用中ですが、仕事にも支障を来たし焦りも生じ、このまま一生続くのかと思うと憂鬱でならず、精神的にかなり滅入っていたところ、本日、高橋先生のブログを拝見し、希望の光が湧いて参りました。是非、診察をして頂きたいと思っておりますが、高橋先生の解説から考えますと、私の性器のムズムズと性器の冷たい感覚、それに会陰部の不快感は、隠れ排尿機能障害で排尿改善と頻尿改善の治療が必要と思われますが、一日も早く改善させたいので、高橋先生に診察して頂ける最短の日時を教えてください。また、診察の際には膀胱に尿を貯めて行った方がよろしいでしょうか?また、それまでザルティア(本日5日目)とエビプロスタット、桂枝茯苓丸は飲み続けていてもよろしいでしょうか?
よろしくお願いいたします。
【回答】
まず初めに、コメントには実名を記載しないでください。
フェラチオをキッカケに、排尿機能障害の症状=慢性前立腺炎が出ただけでしょう。
元々貴方に隠れていた排尿機能障害が顕在化しただけです。
排尿機能障害を治せば、軽快します。

投稿: ○○敏史 | 2019/08/05 16:14

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