慢性前立腺炎の症状♯18「カウザルギー」が前立腺の治療で消失
前立腺癌腫瘍マーカーであるPSAが6.47(正常は4.0以下)と高く、前立腺癌が心配で来院した患者さんです。
過去に膀胱癌の既往があり、2009年3月と11月に内視鏡手術をしています。その後、BCG膀胱内注入を6回と5回実施されていました。
排尿障害もあり、ハルナールを半年間服用しています。
調べてみると、前立腺は35cc(正常20cc以下)と大きく、前立腺結石を認め、膀胱出口の硬化像を認めました。また、水分を1日に4リットル以上摂取していました。
そこで、排尿障害によるPSAの異常値と判断して、α-ブロッカーをハルナールからユリーフに変え、また、前立腺も大きいのでプロスタールを処方しました。さらに、大豆イソフラボンもサプリメントとしておすすめしました。
1ヶ月後、患者さんは来院し、感激しながら話下手だからと言って、次のレポートを私に手渡しました。
私は『・・・?』でした。
なぜなら、このレポートに記載されていることを初診時にいっさい聞かされていなかったからです。患者さん曰く、これらの症状を口にすると「精神的に病んでいる」と思われるからという理由でした。しかし、喜びを隠せなくなりレポートとしてまとめてきたのです。
患者さんの一番の強調は「カウザルギーcausalgia」の消失です。20歳の時に左手親指を怪我しました。その後、左手から左肩に激痛(カウザルギー)が走り、30年以上も苦しんでいたのです。27歳の時に左額を怪我をし、その後、左顔面のしびれに悩んでいました。たびたびの神経ブロックや向精神薬を服用してきたのでした。
それら、一見、荒唐無稽ともとられてしまう症状が、ユリーフ・プロスタール・大豆イソフラボンの内服と水分制限の翌日に軽快したというのです。それは驚くでしょう。私も驚きました。
逆に排尿障害を意識できるようになったというのです。
今まで患者さんの悩んでいた症状は、排尿障害の関連痛だったのかも知れません。それがPSA異常値で排尿障害が分かり、その治療により、関連痛が解消され、関連痛により隠れていた排尿障害の症状が顕在化したと考えられるでしょう。
PSA異常値は排尿障害を発見するためのマーカーと私は考えます。
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コメント
>>排尿障害によるPSAの異常値
これはすごい是非、学会などで発表してください。
【回答】
学会で報告するまでもなく、常識です。
PSA高値=前立腺癌と馬鹿の一つ覚えのように誤解している医師が泌尿器科医も含めて多いのにウンザリしています。
PSAの成り立ちをチョッと真面目に勉強し直せば、組織学や解剖学・生理学を学んだ者であるならば、PSA高値=前立腺癌ではないことが容易に理解できる筈です。
前立腺癌はPSA産生能力は、正常前立腺細胞よりもはるかに低いのです。
高橋クリニックにPSA異常値で来院した患者さんがこの2年間で現在100人以上います。
その方たちを異常値になる理由を説明し、納得した上で、排尿障害の治療と前立腺の治療だけで様子をみています。
5年を経過すれば、針生検の不利益が証明されるでしょう。
詳しくは下記のブログをご覧下さい。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/bph/cat21776274/index.html
PS:(年齢にもよると思いますが)この人が生検しておけばよかったと後悔しないことを祈ります。
【回答】
針生検が後悔する検査そのものです。
PSAの値にかかわらず、一定の確率で我々男性は前立腺癌を持っています。
50歳代12%・60歳代20%以上・70歳代30%以上・80歳代50%以上です。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2009/12/15/lectureevidencepca19.jpg
しかし、PSA検診→PSA異常→針生検で発見される前立腺癌は日本の正式な文献では、たったの0.75%です。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2009/12/15/lectureevidencepca18.jpg
つまり、かなりの確率で存在する筈の前立腺癌のほんの「一部」の人たちだけが前立腺癌を発見され、その人たちの中から前立腺癌が原因で5年以内に20%~30%の確率で癌死しているという現実があるのです。
PSA検診が原因で、泌尿器科医が前立腺癌死を増やしているという事実を自覚して下さい。
投稿: すごいですね | 2011/10/22 19:30
本人です、高橋先生。文章書くのが下手で早速書いて頂き感謝しております、先日は帰りに友人宅立ち寄りここ二年間出来なかった、パソコンサポートそれもマックブックプロ新品OSのダウングレードに12時間かかりましたが、成功しました、膀胱がん再発予防治療の痛みも悪化させてましたね、もう出張サポートや修理は無理かと思って居り、今働ける喜びに心地よさを感じております、有難う又三か月後、良いご報告が出来るよう、生活態度改善に努めます。
【回答】
効果が続くことをお祈りします。
投稿: この人 | 2011/10/23 18:47
先生いつもお世話になります、大豆イソフラボンの恐るべし排尿障害への効果!私も7月はじめにPSAが高く排尿痛があり先生に相談してアドバイスで勧められ飲み続けたら排尿痛がなくなりPSAが4.5から1.7に下がりました、有難うございました、それにしても、カウザルギー患者さんの症状が無くなったのにはビックリです!ここまで効くのかイソフラボンですね!それにしてもこの方の主治医は何を診て診療されたのでしょうか?
【回答】
主治医は整形外科医・麻酔医・心療内科医で、患者さんの訴える症状に対して、それぞれが努力して治療していました。
腕の痛みや顔のシビレの原因が排尿障害と考える方が常識的に無理があります。
投稿: けんじ | 2011/10/23 21:24
京都・大阪あたりにもα-ブロッカーやデパスなどを処方してくださるお医者様はおられるのでしょうか?
【回答】
内科医でも処方できる薬です。
訳をいえば、処方してくれるでしょう。
投稿: 関西人やねん | 2011/10/23 23:52
高橋先生いつもブログ拝見しております。
約10日前からアグリマックス社の大豆イソフラボンを服用しております。
先日ドラッグストアーに行きましたら、大塚製薬からアグリコン型のイソフラボンを見つけました。価格がアグリマックス社と比較しずいぶん違うのですが「アグリコン型」と記載もあるので、素人の私にはほぼ同じなのかな?と思うわけです。
継続的に服用するには経済的に助かるし、しかもドラッグストアーにて購入できる、という手軽さもあります。
高橋先生としては業者様と共同で臨床データーを取ることを進めておられることは承知しております。
可能であれば大塚製薬の製品でも同等の効果なのかどうか見て頂けませんでしょうか。
http://www.otsuka.co.jp/product/naturemade/item_307/
【回答】
個々の会社の製品の生物活性は不明ですから、試してみてください。
投稿: 藤 | 2014/02/19 23:37
高橋先生
ご無沙汰です、実は翌年手の麻痺で脳梗塞診断、それより怖い右頸動脈閉塞(100%)となり神奈川区から出るなの医師命令?でも神経内科医もかかりつけ医師も水分2リットル及び汗相当ぶん摂取と先生同様の指示でした、以後カウザルギーも出なくなり、先生の事今も不思議な神様かと思う時が有ります、唯癌や脳梗塞、心筋梗塞等は自業自得の病と思う歳になり、現在知人ALS患者様の意思伝達装置製作に励んでおります。
手の麻痺は血管腫で一昨年除去致しましたが、非定型との事でフォローして居ます。
御礼もせず申し訳ない気持ちですが、お許し下さいませ。
膀胱癌のフォローも、PSA検査受けてしまった診療所にて受けてます、(前立腺癌否定するつもりだったとの事?)(^。^)。
☪️回答
お元気で良かったですね。
これからも、人生をエンジョイしてください。
投稿: 戸田 | 2017/09/10 09:18