症状の変遷
治療により、メインの神経回路には原因からの情報が流れて来なくなります。
すると、メインの症状を造っていた神経回路は役立たずになり、他の神経回路を抑え込んでいた抑制回路は消失します。
そのため、抑制回路でそれまで患者さんが自覚してはいなかった症状が新たに出現するのです。
さらに治療が続き一定期間経過すると、2番目に出てきた新しい症状も消失し、同様に抑制回路がなくなるので、また新しい症状が出てきます。
症状は消失しても神経回路は何十年でも残っていますから、治療を怠たると神経回路が再び復活するので、注意が必要です。
この現象の逆バージョンも存在します。つまり新たな神経回路が出来て、他の症状の神経回路を抑えるというパターンです。
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コメント
いつも先生の研究熱心にビックリ、どこから閃くのか・・・!閃いて、
先生の学説をぜひ若い勉強中の医学生にご教授願いたいものです、将来の日本の泌尿器科の為にも、今の偉い先生方には理解できない理由もおありでしょうから、先生の診療しながら、研究熱心さには頭が下がります、日本の泌尿器科の常識も先生の努力で変わりつつあるような感じはします(無謀な針生検について)
【回答】
ご声援、ありがとうございます。
投稿: けんじ | 2011/08/13 17:35
先生こんにちは。お聞きしたいことがあります。
僕は発症から半年ですが、最初の症状は足の痺れと睾丸痛でした。それが2か月ほどで残尿感と尿意に変わり、さらに坐骨痛が出てきました。今は1か月ほど前から会陰部痛が出始め、さらにここ数日は約5か月ぶりに睾丸痛が復活しました。痛む場所も痛み方も前と同じです。
僕は一般的な慢性前立腺炎の患者さんと違っあまり症状が固定化せず、あれこれ症状が変遷していくタイプのようです。
この記事を読むと、治療がうまくいってるから次々と神経が交代してゆくとあいりまう。つまり治療の効果が上がっているからこそ症状を形作る神経が抑えられ、交代していくとプラスに考えていいのでしょうか?あれこれ症状が変遷するのもうんざりします。
【回答】
この記事に書いた症状変遷モデルは、分かりやすく解説するために極端に単純化したものです。
実際の脊髄の中の状態はもっと複雑な筈です。
ですから、人によって様々なパターンがあります。
投稿: スワン | 2011/12/17 20:50
こんにちわ。慢性前立腺炎を患っているのですが、耳の下、顎が痛いなどの症状があります。関連痛でしょうか?
【回答】
関連痛はどの場所であってもどのような性状であっても可能性はあります。
投稿: | 2012/11/08 22:27
高橋先生こんにちは。質問があります。私は、現在慢性前立腺炎と亀頭包皮炎を患っているもので、メインの症状は鼠蹊部痛や副睾丸痛などです。最近は、亀頭先部分の痛みと排尿痛があり、関連痛かなと思っていたのですが、よく考えてみるとパートナーとの接触した直後(1、2日後)にこの症状が現れることに気づきました。これは、性病が原因の可能性を疑ったほうが良いでしょうか?ちなみ、行為の際にパートナーが喉に異物感があると言っておりました。以前の亀頭先痛の際には抗生物質を飲み続けていた時期だったので、もし性病だとしても大丈夫だったのだろうと考えるのですが、今はエブランチルを服用しています。
【回答】
射精をすることで前立腺や膀胱頚部に負荷がかかり、関連痛症状として今の症状が出現するのでしょう。
投稿: | 2013/02/23 10:40
高橋先生にご質問があります。
この病気になっておよそ3年。時々の尿意系症状に苦しんでおります。
現在もアルファブロッカー、調子の悪い時のみ頓服でデパスを服用中です。
最近、これまでになかった下半身の痛みや痺れ系の症状が出始めました。でも相変わらず尿意系症状も時々出現します。(同時に)
これも一過性のもの、治療による膀胱頸部の変化と捉えてよろしいのでしょうか?
【回答】
はい。
投稿: 自転車生活 | 2013/05/15 13:35
メインの症状が治療によって消えても、メインの症状によって抑制されていた別の症状が発現し、症状が変遷していき、しかも一度できた回路は何十年も残っており、治療を怠ると発現するということは、この病気には、完治はないということでしょうか?
【回答】
症状のソフトは永遠に残りますが、そのソフトが起動しないようにすれば良いだけです。
そのために、患部からソフトを起動する刺激がないようにすれば良いことになります。
つまり排尿障害の薬を服用したり、内視鏡手術をするのです。
蛇足ながら、この世に治る病気はほんのわずかです。
例えば、風邪や骨折は治りますが、それ以外の病気で完治するものはありません。
糖尿病、高血圧、高脂血症、冷性、猫舌、慢性肝炎、慢性気管支炎、喘息、気管支拡張症、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、慢性胃炎、加齢黄斑変性症、緑内障、尋常性乾癬、口内炎、動脈硬化、坐骨神経痛など挙げたら切りがないくらい、ほとんど病気は完治しません。
ほとんどの病気は完治しないと思っている方が気が楽です。
完治はしないけれど、何らかの手段(治療)で病気の症状が自覚しないように出来れば良いと考えたらいかがですか?
投稿: ゆのみ | 2013/06/28 06:38
先生にご質問です。
たびたび訪れる尿意系の症状の波ですが、薬でコントロールしてるとはいえ、なぜ不定期的にいきなり突然襲ってくるのでしょうか?
毎日薬を飲んでいるのに効果はそんなにも持続しないものなのでしょうか?こうも毎回同じ症状が襲ってくるのは一体なぜだろうといつも不思議に思うのです。
ちなみに私はこれまで何度も同じ症状が再発するタイプなので他の症状を経験した事がありません。
【回答】
病気の症状は患者さんの体の中で作るソフトウェアの個性に左右されます。
例えば、日中は頻尿はないのに夜間頻尿になる患者さんもいますし、日中は頻尿なのに夜間は目が覚めない人もいます。
昼夜無関係に頻尿の人もいます。
つまり、症状の性格は、その患者さんの個性と考えます。
気が遠くなるような詳細に検査すれば原因は判明するのでしょうが、ある意味、ブラックボックスとして捉えた方が現実的だと考えます。
投稿: 慢性患者 | 2014/08/09 01:35
先生、ご回答ありがとうございます。
実は長いこと安定していた症状が久しぶりに再燃し、ここ数日間、非常に参ってます。
仕事も辛く、精神的に追い詰められて行きそうですがなんとか耐えております。
自分の持つ症状ソフトにスイッチが入った状態ですが、このまま服用を続けてまた未病の頃に戻るのか不安です。
これも一時的なものとして考えて良いのでしょうか?
【回答】
症状には体調に応じて波が出てきます。
様子をみましょう。
投稿: 慢性患者 | 2014/08/11 19:13