膀胱頚部硬化症における器質所見の改善例 #3
患者番号23286、31歳男性です。
23年も前から陰嚢掻痒症で苦しんでいました。高橋クリニックに来院するまで6軒~7軒の皮膚科や泌尿器科を受診して軟膏治療を受けていましたが、一向に治りません。
2年前には肛門までかゆくなりました。
超音波エコー検査では、前立腺の大きさは10ccと正常範囲です。膀胱括約筋の肥厚が目立ちます。
膀胱出口から膀胱三角部に至る粘膜の硬化像も明確です。
超音波エコー検査正面像では膀胱出口の硬化像がひときわ目立ちます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は正常範囲でしたが、超音波エコー検査により膀胱頚部硬化症を疑い、α‐ブロッカーを処方したところ、治療1ヵ月で陰嚢の痒みは8割減少し患者さんは大喜びです。陰嚢の皮膚所見も驚くほど改善しました。
治療1年経過した後の超音波エコー検査所見です。
膀胱括約筋はスリムに変身しています。また、膀胱三角部表面の硬化像はわずかに認められますが、依然と比較して全く問題になりません。
膀胱出口の硬化像はほとんど確認できません。
超音波エコー検査正面像を比較すると、硬化像の消失が顕著です。
患者さんの陰嚢の痒みは、月に2回~3回ほど思い出したように出現する程度だそうです。初診時は痒みで歩けなくなっていましたから、地獄から天国だそうです。
主要下部尿路症スコアは3点が1点へ、QOLは6点が2点に改善しました。
【補足】
この患者さんの経過と皮膚の所見は、2009年10月の松本で開催された第74回日本泌尿器科学会東部総会で報告しています。
興味ある方は、そちらをご覧下さい。
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