前立腺マッサージ後の尿沈渣
岡山の日本泌尿器科学会に行った際、専門書も何冊か購入しました。
尿沈渣検査症例アトラス(医歯薬出版㈱)に、前立腺マッサージ後の尿沈渣が写真で掲載されていましたので、ここに紹介します。
右の写真が正常の所見です。前立腺液成分が薄青色に染まっています。白血球は認めません。
所どころ濃く染まってい部分は、前立腺細胞の核です。
慢性前立腺炎の患者さんのマッサージ後尿沈渣所見です。
薄青色に染まった前立腺液成分を背景に、ピンク色の丸い白血球が散見されます。
一般的に細菌感染巣には、白血球の数よりも細菌の数の方がはるかに多く(2桁は違う)存在します。しかし、この顕微鏡所見では、細菌は認められません。前立腺マッサージにより白血球が出てくるのであれば、白血球よりもはるかに小さい、そしてはるかに多い細菌が検出されない事実に、不思議さを感じませんか?
この所見とは別に、細菌培養で細菌が検出されれば、細菌性慢性前立腺炎、細菌が検出されなければ、非細菌性慢性前立腺炎と診断されます。
しかし、尿沈渣で検出されない程度の菌数では、細菌培養では検出されません。細菌培養で陽性になるためにはかなりの細菌数が必要になります。
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コメント
これからいくつか医者に言われた説を書き込みます、なにがおかしいか教えて下さい!
1.
⇒慢性前立腺炎の最初の原因はやはり細菌ではあるが時間をかけて前立腺の細胞をゆっくり時間をかけていためるので、最初の細菌感染から症状発言までには長く時間がかかり、いったん症状が出ると、例え細菌を抗生物質などで除去しても痛んだ細胞の再生には時間がかかりもしくは免疫力や体力が低下している人では再生しないため延々と治らない。このため前立腺マッサージをすると白血球もみとめられる。
【高橋クリニックからの回答】
痛んだ細胞の再生に時間がかかるのであれば、次々に細胞は消滅し、前立腺は次第に小さくなり萎縮するでしょう。
実際にはそのようにならないので、嘘です。
急性前立腺炎の時の白血球と慢性前立腺炎の時に認められる白血球とは異なります。前立腺マッサージの際に認められる白血球は細菌を貪食(どんしょく)していません。
投稿: 匿名 | 2009/05/04 12:29
前立腺が炎症すると慢性の場合、バリアが出来るため薬が浸透しない、ところが急性の場合はこのバリアが壊れるために薬が浸透しやすくなり、このため慢性の前立腺炎は治りにくいが急性はあっさり治る。
【高橋クリニックからの回答】
確かに、前文の如く、見てきたように説明される医師はいますが、私の勉強不足か、そのような単純な前立腺内の病理所見の写真を今まで拝見したことがありません。血液脳関門(blood brain barrier)は組織構造として認められますが、前立腺のそのような構造は知りません。前立腺内のそのようなバリアの顕微鏡写真のサイトか書籍をお教え下さい。
投稿: 匿名 | 2009/05/04 12:37