前立腺の膀胱内突出 IPP(intravesical prostatic protrusion)
以前にブログの中で前立腺の膀胱側への突出度をエコー検査を行い統計を出したことがありました。
昨年2008年にエジプトで開催された第38回国際禁制学会のレポートで、ブラジルの医師の報告に似たような内容のものがあったのでここでご紹介します。
内容の詳細は、右画面をクリックしてお読み下さい。
この報告者の内容は、2D画像での前立腺の突出程度と排尿障害の程度とを相関させようとする企てです。私も過去において前立腺肥大症や慢性前立腺炎の患者さんの前立腺の突出程度に何らかの意味があるのか統計をとりました。
しかし、2D画像からだけでは、排尿障害の本質を完全に見極めることはできませんでした。
ところが3D画像と2D画像とを一致させたことで、試行錯誤を繰り返し、その結果2D画像の読影能力が格段に高まり、排尿障害の本質が見えてきたように思います。(思い込みかも知れませんが・・・。)
右のイラストは、ある外資系の製薬会社の勉強会で使用するために作成したスライドの一部です。男性が前立腺肥大症になるまでに2つのルートを取ることが分かりました。一つは、一見正常型ですが、実は機能性の排尿障害が隠れていて、次第に膀胱出口に前立腺が侵入し、排尿障害で生じる震動が前立腺を刺激し前立腺肥大症になるというルートです。
二つ目のルートが、機能的には全く問題のない男性が、加齢とともに前立腺肥大症になるルートです。
排尿障害の程度は、膀胱内への突出(IPP:intravesical prostatic protrusion・・・こんな専門用語は初めて知った)の程度にすべて依存する訳ではなく、膀胱出口周囲の膀胱括約筋がいかに障害されているか、または前立腺肥大症の大きさによる密度・圧力と組織硬度(腺性過形成<筋性過形成)に依存します。
一つ目のルートの途中で、比較的若くて前立腺が大きくない男性が、慢性前立腺炎と誤診されるのです。
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コメント
そもそも膀胱三角部ってどこにあるんですか?
高橋クリニックからの回答
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/2008/01/post_1981.html
をご覧下さい。
投稿: 匿名 | 2009/04/11 13:42
どうも。
では排尿障害による膀胱頸部硬化症から間質性膀胱炎症状を発生し、膀胱全体から出血するようになるメカニズムを教えて下さい。
高橋クリニックからの回答
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2008/09/post-bbcf.html
をお読みください。
投稿: 匿名 | 2009/04/14 12:11
膀胱頸部硬化症は水分を控えると言う理論を簡単に説明していただけますか。
高橋クリニックからの回答
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/2007/05/post_8bb6.html
と
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/tlz/2007/06/post_6120.html
をお読み下さい。
投稿: 匿名 | 2009/04/16 22:09
慢性前立腺炎、間質性膀胱炎の原因は排尿障害以外ありえないのでしょうか?
高橋クリニックからの回答
私は、そのように考えています。
投稿: 匿名 | 2009/04/17 12:21
なぜそれほど排尿障害に考え方が固執したのですか?考えられる物理的炎症は本当にそれ以外ないのでしょうか?
高橋クリニックからの回答
医師も含めて一般のほとんどの人が、治らないのにもかかわらず、「慢性前立腺炎=炎症」に固執しているのを不思議に思ったからです。
「慢性前立腺炎=排尿障害」として治療すると治る患者さんが多いという事実が、私を固執させるのでしょう。
投稿: 匿名 | 2009/04/19 07:58
排尿障害以外にもマスターベーションのやり過ぎやその他陰けいへの刺激、打撲などで物理的炎症はおこらないのですか?
高橋クリニックからの回答
おきないでしょう。
投稿: 匿名 | 2009/04/20 12:31
なんでおきないと分かるんですか?理由は?
高橋クリニックからの回答
排尿障害は膀胱頚部や前立腺を振動という形で「直接」刺激します。振動ですから1回の排尿で何百回もです。1日5回の排尿になれば、1000回以上は振動することになります。
ところが、マスターベーションや陰茎の刺激は、間接的な刺激であって、膀胱頚部や前立腺を直接物理的刺激を与えることはできません。外傷に至っては、年に数回あるかないかの間接的な刺激でしょう。その程度のわずかな刺激を無視する方が論理的だと私は考えます。
マスターベーションを行うと慢性前立腺炎症状が強く発現する事実があるから、マスターベーションが慢性前立腺炎の原因だということにはなりません。口内炎があるからキムチを食べると痛いという事実が、口内炎の原因がキムチだということにならないのと同じです。
投稿: 匿名 | 2009/04/20 16:52
残尿が一滴でも残ってたら排尿障害ですか?
高橋クリニックからの回答
1滴は、超音波で確認できませんから、ないと判断されます。
また、残尿は相対的なものです。尿をいっぱいためた状態で排尿した後に残尿が認められる人でも、尿が少なければ残尿はゼロのなります。
しかし、健常者で排尿障害がない人であれば、尿が多くても少なくても残尿は常にゼロです。
排尿障害は、残尿・排尿曲線(ウロフロ)・充満時の膀胱の形状など総合的に判断します。残尿量単独の判断では誤診します。
投稿: 匿名 | 2009/04/23 11:37
これは高橋先生に聞くことではないかもしれませんが、インターネットなどを見るとαブロッカーや内視鏡手術をしなくても鍼灸や漢方薬などで前立腺炎症状が軽減された方もいるみたいです。これは何故だと思われますか?排尿障害以外に原因があったからではありませんか?
【高橋クリニックからの回答】
排尿障害から慢性前立腺炎症状に至るには、脊髄・脳中枢を巻き込んだ複雑な神経回路を形成して、体のあらゆるシステムを混乱させます。
鍼灸は体壁・体表の神経を刺激することで、膀胱頚部・前立腺から上向する神経をブロックし症状を軽減させます。関連痛理論を逆手にとったような作用機序です。
漢方薬には神経安定作用や水センサー調節作用など自律神経安定作用があり、私がよく利用するデパスなどと同様の作用があるので効くのも不思議ではありません。
でも、鍼灸・漢方のどちらも対症療法にしかすぎません。
投稿: 匿名 | 2009/04/24 10:57
漢方薬や鍼灸は身体自体を立て直して身体のバランスをとって病気を治すと聞いたことありますが…。
【高橋クリニックからの回答】
慢性前立腺炎の患者さんが漢方や鍼灸で症状改善すれば、そのように感じるでしょう。
しかし、バランスを崩したのは患者さんの体本来の性質(顔かたちや性格と同じ)ですから、漢方・鍼灸を止めれば、再びバランスを崩します。よって治ったことにはならないのです。
また、中国4千年の歴史の中で、漢方・鍼灸は、急性疾患(骨折・風邪・インフルエンザ・食中毒・急性胃炎・淋病・急性膀胱炎・尿管結石発作など)の治療のために編み出された治療法です。急性の病気で崩れたバランスを改善させる目的で使用される治療法です。当時の中国には慢性疾患はほとんどなく(平均寿命が30歳前後ですから)、ましてや慢性前立腺炎などという病気は存在しません。
投稿: 匿名 | 2009/04/26 09:01
ではなぜインターネットであんなに漢方薬や鍼灸のホームページが多発しているのですか?みんな詐欺ですか?
【高橋クリニックからの回答】
それぞれの人間が自分の知識を信じて医療行為を行っています。
100人医師が存在すれば、100人の考えかあります。私には私の考え方で、正しいと思うことを実行しています。
漢方・鍼灸を実践している方々も己の道が正しいと考えて行っています。病気の本質を説明するのに絶対的に正しい事柄はありません。ですから病気に対する考え方は様々な考え方が入る余地があるのです。
あなたは漢方・鍼灸を例に出していますが、西洋医学の源流はアラビア医学、漢方の源流はインド医学、アラビア医学とインド医学の源流はメソポタミア医学でしょう。そのほかにもチベット医学やエジプト医学など多種多様です。それぞれの医学が何千年も存在しているということは、それぞれがある程度正しいのだろうということです。
真実は一つの面ではなく、多様な面をを持っているのが事実なのです。たとえば、あなたを一言で表現して下さいと言われても表現できないのと同じです。
私は慢性前立腺炎が「排尿障害を原因」と信じているだけです。他の医師は炎症だと信じているだけです。それぞれがある意味正しく、ある意味正しくありません。100%正しいのであれば、100%治せるでしょう。
残念ながら、あなたが希望するような答え、白黒はっきりできるデジタルな答え、真実はありません。
投稿: 匿名 | 2009/04/26 10:55
そんなことを聞いているのではありません。高橋先生は漢方や鍼灸を『対処療法で、デパスと同程度の物で、急性病疾患が専門で、慢性前立腺炎という病気は対象疾患として存在すらしない。』と言われてる訳です。でもその物を勉強してる人達は全く違うことを言って完治療法としてホームページに治療法などを記載している訳です。高橋先生もそこまで断言出来るということはきちんと東洋医学を勉強した上でおっしゃってるのでしょうから、また向こう側も専門に勉強してる訳ですから、高橋先生の言うことが本当ならきちんと鍼灸、漢方を治療法にしてる人間も高橋先生の言うことが分かってやってる訳です。だとすると分かりながら全く別の事を言って薬を売る訳なので詐欺同然ですよね?そもそも他の慢性病の治療法として薬を宣伝することさえ詐欺同然で良心のかけらもないということになります。これを確認した訳です。
【高橋クリニックからの回答】
どうして詐欺同然になるのですか?
詐欺とは、真実と反することを認識しながら、お金儲けのために、真実だと偽って行う行為です。しかし、漢方・鍼灸を行う方々は、歴史ある漢方・鍼灸の考え方で慢性疾患が治ると信じて商売しているのですから、なんら詐欺にはならないでしょう。
私は漢方・鍼灸の考え方で慢性疾患は治らないという考え方・立場をとっているだけです。
漢方・鍼灸を行う方々が、私の考え方とまったく同じであるにも関わらず、漢方・鍼灸を行っているのであれば、詐欺でしょうが、それを確認することはできません。
東洋医学をきちんと勉強したから、みな同じような考え方を持つ訳もありませんし、ひらめきの方向性も異なります。真実を勉強すれば結果が一つと考えるのは、学校教育の弊害です。テスト問題の答えは一つでしょうが、現実の世界では答えはいくつも出てきます。
投稿: 匿名 | 2009/04/27 09:20
処置の仕方や出す薬などが完全に一致するとは言いませんが、対処療法か、根治療法か、作用がデパスと同じかどうかなどのメカニズムなど、きちんと勉強した同士なら普通はある程度基礎となる根本的な考え方が一致するはずですよね。
【回答】
一致しないのです。
あなたと私のこの程度の議論ですら、考え方の一致をみないではないですか。まして漢方・鍼灸では、細部まで知識を習得しようとしたら、一人の人生では覚えきれないほどあり、それぞれの知識が非常にあいまいに表現されています。その知識は習得する者の能力によって、千差万別の花を咲かせます。ですから一致しないのです。
また、漢方にも様々な流派があり、また中国の漢方(中医)と日本の漢方は異なります。診察においても中国は脈診と舌診を重要視しますが、日本では腹診を重要視します。
基本的な考え方自体が全く異なるというのは明らかにおかしいでしょう。
【回答】
おかしくありません。
根本的な考え方自体を偽って宣伝してるなら詐欺なんじゃないんですか?
【回答】
偽っているかどうかを確認するすべはありません。
投稿: 匿名 | 2009/04/27 11:48
しかも漢方薬が慢性病に使えるか前立腺炎が対象疾患として存在するかなど、これらは考え方やひらめき以前の問題ですよね?あるかないかですから。この真実は一つでしょう。
【回答】
急性疾患に対する考え方が、慢性疾患にも応用できると「ひらめいた」訳ですから、問題ないでしょう。
高橋先生は病名すらない、鍼灸、漢方の方はあると言ってるのですからこれは明らかな矛盾です。
【回答】
考え方の発展・成長と考えて下さい。
漢方・鍼灸の効果に疑問を持っている私ですら、漢方や鍼灸を否定する訳ではありません。「みんな違ってみんな良い」という考え方ができませんか?
投稿: 匿名 | 2009/04/27 12:11
そこまで言われるならインターネットで泌尿器障害専門にしている漢方薬局があるので、ひらめいたものなのか対処疾患として本当に文献的にあるものなのか今日中に聞いてみます。
みんな良いならなぜ先生は他の医者を自身のブログで否定するんですか?
【回答】
論法テクニックの問題です。自分の意見の真偽を証明するために、対照となるなる考え方を例にあげるのは一般的です。私の考え方からすれば、治る人も治らなくなると考えるから、否定的な事柄を掲載します。
独り言とは言ってもインターネットというメディアに載せる以上不特定多数の人間がみるのは当然周知のことです。
本当にただの独り言なら部屋で独りでブツブツ言ってたらすむ話ですし。
ある程度自分の治療法を広めたいから載せるんじゃないんですか?
【回答】
私の考え方が医師の間の一般的な常識と思われる誤解を避けるため、「独り言」という言葉で非常識というニュアンスにしています。
私の考え方を広めることで、漫然と意味のない治療による患者さん(ある意味被害者)を少しでも減らそうとするためにブログを書いています。
私の考え方・治療をブログや学会発表で広めれば、賛同者は増えてきます。現実に日本全国から患者さんは訪れますが、この考え方・治療法が広まれば、患者さんは地元で診察・治療を安心して受けることができるのです。
ブログに掲載するのも学会で発表するのも同じことです。学会発表は年2回程しか実行できませんが、ブログは毎日発表できるとても便利なメディアです。
投稿: 匿名 | 2009/04/27 12:36
ではみんな良くてみんな悪いって考えでないですよね。みんな良いのであれば普通の医者の治療を意味がないとか言う必要ないですから。
医者の治療が意味がないというのは間接的に良くないと思っていて、自分の治療の方がいいと思ってるからですね。
【高橋クリニックからの回答】
立場・スタンスの異なる人間同士が、相手をどのように考えようと自由です。
投稿: 匿名 | 2009/04/27 15:45